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『サキ』
サスペンスだと思っていたら、まさかホラーコメディだったとは・・・('ェ';)
理事長がメインターゲットになってからは、まさに苦笑の連続でした。あのおっそいおっそい猛ダッシュだの、灯油`;:゙;`;・(゚ε゚ )ブーッ!!だの、なんだか演じている本人もわかっていてわざとやっている? と穿ってしまいそうな熱演でした。
『美しい隣人』とはずいぶん趣が違っていました・・・。で、結局網浜サキとマイヤー沙希が同一人物なのかどうかは、ご想像にお任せしますといった感じですが、最後にわざわざお腹の大きなサキを登場させたのは、まさしくその想像をかきたてるラストシーンでした。経歴が異なるのは気になるところですが、もしそれが詐称だとしてサキと沙希が同一人物だとすると、いつどのようにして筧と出会ったのか、スピンオフ、あるいは第3作が出来上がりそうな予感です。
それにしても、今回のサキは演出なのか何なのか、やたら貫禄がありました。服装もわざとそう見えるものを選んでいるようでした。自他ともに「おばちゃん」と呼称していて「なんでやねん!」とつっこまざるをえなかった『美しい隣人』よりも、よっぽど「おばちゃん」に見えたのですが・・・。
「ねえちゃん」と呼ぶのはいささかひっかかるところがあったものの、『クレオパトラな女たち』でも異彩を放っていた三浦祥平は憂いがあって、雰囲気を持っている俳優さんだと思いました。
『書店員ミチルの身の上話』
9話まではあっという間で夢中になって観ていました。最終回を前に、この広げに広げた風呂敷をどうまとめるのか気になっていましたが、いやな予感的中で、風呂敷はくちゃくちゃにしてポイっと捨てられてしまいました。この消化不良感はどうしてくれようか・・・。
高良健吾は同じNHK『おひさま』の和成さんのイメージを180度覆す怪演でした。もっとミチルたちを追いつめてほしかった。大森南朋は完全にもったいない使われ方でした・・・。
『最高の離婚』
脚本と俳優陣のすばらしさがマッチした、まさに「最高」の仕上がりでした。大方の予想どおりのラストでも、それまでのクオリティを損なうことのない爽やかな気持ちでエンディングを迎えることができました。諒と灯里の描写が少なかったですが、新しい命がふたりの関係を変化させたということなのでしょう。そのぶん、光生と結夏の微妙な心模様が丁寧に描かれていて、他愛もない会話の積み重ねがふたりの結びつきをよりいっそう強くする、夫婦とはそういうものなのだろうと感じる演出が心にくかったです。
やはり男女のドラマだとどうしても同性に肩入れしてしまうものですが、とりわけ結夏に感情移入してしまいました。離婚したものの光生と灯里が心通わせている姿を目のあたりにして気持ちの整理がつかず、テンションを激しく上下させてしまう場面は、涙を誘いました。もっとも芸達者ぞろいで、誰しもの言動や行動に無理を感じさせない演技を見せたあたり、見事なキャスティングだったなあと感服します。
『あぽやん~走る国際空港』
空港にはめったに行くことはありませんが、だからこそ特別な空間で、心が躍ります。これから楽しいことが待っている(ばかりでもないだろうけれど)パックツアーならなおのこと。
『FLY』の作者がみずからの体験を基にして書いた小説が原作だそうですが、『FLY』とはずいぶん雰囲気の異なる娯楽作品のようです。伊藤淳史も部下を持つトシになったのか・・・と思わず感慨深くなりますが、毎回お客様のために猛ダッシュする姿がさまになっていました。お話はいかにも一話完結のドタバタドラマで予定調和でしたが、それもまあ良いかと思えるほど、空港という場所の特異性が活きていましたし、実力者ばかりのキャストも大げさな脚本を抑え気味にしてくれました。
『八重の桜』
会津の歴史は、かつて興味を持って本を読みあさったことがあります。
中でも印象的だったのが、落城後の会津城の写真でした。
砲弾により破壊されながらも凛然とそびえる天守閣。
それはまるで、折れず屈せぬ会津藩士の心意気を示しているかのようでした。
最前線に立つのは刀を持ち銃をたずさえた男たちですが、戦場となった城を守り戦ったのは女も同じ。
戦国時代に較べるとよほど近い歴史である会津戦の談話はより生々しく、鮮烈な情景となって眼前によみがえりました。
悲劇として語られることの多い会津藩の最期。
しかしそれ以上に悲劇であったのは、むしろ落城後の元藩士たちの生きざまであったかもしれません。
そしてそれはか弱き女ならば、なおのこと。
いまは黒船来航も遠き江戸の話、花が舞う穏やかな春風を受けて、少女が空を見上げます。
あえて「福島」を舞台に選んだ今年の大河。
残酷な敗者の歴史を、いかにして希望ある未来として描くのか、一年を通して見守っていきたいと思います。
『サキ』
『美しい隣人』の続編・・・姉妹編? のような感じです。仲間由紀恵は髪も瞳も黒いイメージなのですが、白衣の天使も似合っていて、ますます悪女らしさが身に着いています。
サキの生き方はまるで『白夜行』と『幻夜』の女主人公のようです。復讐相手は今回ひとりではないようだけれど、うーん、オトシドコロはどうするのかな。
『書店員ミチルの身の上話』
キャスティングに魅力を感じて録画してみました。30分と他の連続ドラマよりは尺が短いので、あっという間に終わってしまいました。原作が良質なのでしょうか、ツカミの引力がとても強く、「えー! 次、どうなるの!」とワクワクする気持ちになります。
こちらもあまり、ひとりの女に振り回される男たちは幸せになれない様子ですね・・・。
『最高の離婚』
脚本が『Mother』や『それでも、生きてゆく』の坂元裕二。初回からなかなかショッキングな展開でしたが、その2本とは違ってコメディタッチなので、肩肘はらずに観賞できそうです。
瑛太はいつからこんなに演技がうまくなったのだろう? と不思議なくらい、うっとーしー亭主役がハマっています。尾野真千子のガサツっぷりはさすがだし、綾野剛の天然と真木よう子の二面性も興味津々。誰にもそれぞれ落ち度があって(今のところ真木よう子の本性が少し謎ですが)、これからどのように物語と人間関係が発展していくのか楽しみな作品です。
見どころといえば、エンディングのエロティックなダンス。いつもはクレジットに目が行くのですが、今回ばかりは人物から目が離せません。桑田圭祐の歌も「最高」です。
『純と愛』(続き)
・・・まあ、なんというか、本当に「挑戦的」ですね。放送前の宣伝文句、主題歌、すべてがうわっ滑りで、今までの朝ドラとは何だったのかというくらいブッ飛んだ作品です。それが良いか悪いかはともかく。
朝ドラといえば主人公の成長物語のはずが、年が明けて舞台が変わったはずなのに主人公も周囲も誰も何も変わっておらず、平気で人を傷つけておきながら困った時だけ頼ったり、死ぬだの殺すだの刺激の強い言葉を吐いたり、「え・・・被災地への勇気は? 人と人との絆は?」と首をかしげたくなるような毎日です。たぶん、NHKが今回の朝ドラ枠でやりたい、やるべきと考えていることと、脚本家のポリシーのようなものとの間に乖離があったのかなあと。
あと二ヶ月で、朝ドラらしい着地点(判例でいえば、里やが純の力で「まほうのくに」になるとか、純と愛の間に子どもが産まれて両家和解とか、あるいは数年後純が独立して宮古に「まほうのくに」を作るとか)が訪れるとはとうてい思えませんが、これはこれで、それなりに楽しく観ています。ただ、元来朝ドラを楽しみに観ていた視聴者からは受け入れられないだろうなあ、とは思いますが。
夏菜はじめ、キャストの面々はとても良い演技をしているだけに、若干評価しづらいこの現状が少し残念です。それでも純と愛のラブラブシーンはちょっとドキドキです。
『猿飛三世』
佐助のヘタレ設定が途中からどこかへ行ってしまったような気がしないでもありませんが、さわやかなラストシーンが印象的でした。続編や番外編があってもおもしろいかも。
『ゴーイング マイ ホーム』
主役でもないのに「山口智子のドラマ大コケ!」などと報道されて、ひどいなあと思うものの、視聴率の低さは無理もないと感じる連続ドラマとは思えない作りでした。これはほめ言葉であって、さすが是枝裕和、ドラマでも手を抜かない丁寧な脚本と演出で、毎週映画を観ているような満足感でした。ドラマは片手間にボーっと観るものですが、映画は両目を瞠って真剣に対峙しなければいけません。火曜日から感じなければいけないその一種の緊張感が視聴者離れにつながったのでしょうが、録画して観ている身にはへいちゃらなものです。
『遅咲きのヒマワリ ~ボクの人生、リニューアル~』
青年が人生を見つめなおす青春物語。これが学生ならおもはゆいですが、アラサーなので感情移入しやすく、また四万十の風景もなつかしく美しく、登場人物がそれぞれ際立ったキャラクターで、なかなかおもしろい作品でした。永遠に遠距離恋愛確定の丈太郎とかほりがどうやって愛をはぐくんでいくのか、気になるところではありますが・・・。
『平清盛』
視聴率の低さばかりが最後まで話題となってしまいましたが、確かにずいぶん趣向の変わった大河ドラマであったと思います。テーマにしろ演出にしろ脚本にしろ、ちょっと奇をてらいすぎたのかなあ。人間関係が複雑でよくわからないところもあったし、序盤主人公と一見かかわりのない後宮のドロドロがやたらクローズアップされていて、そこでリタイアする人も多かったのではないかと思います。清盛が天下を取った後半は非常に盛り上がったので、もったいないですね。個人的にはやはりナレーションの人選と、視聴者の興味を引くためか序盤随所にみられた安直で現代的なセリフをなんとかしてほしかったです。晩年、狂気に走る老いた清盛、伊豆でうつろに日々を過ごす頼朝、苦悩する重盛などは非常に好演でした。