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『八重の桜』
あいかわらず低視聴率がやり玉にあがる大河ドラマですが、作中八重が人生を燃焼しつくし終えたように、視聴者である自分も一年間その生涯に伴走しエンドロールを迎えて「ああ、これが生きるということなのだ」とようやく詰めていた息を吐き出したような思いにかられる、大河ドラマとしてその役割をじゅうぶんに果たした作品であったと思います。
歴史上悲劇として以外語られることのない幕末の会津ですが、その戦の制作側が描きたかったであろう重さは痛いほどに伝わりました。戦争とはいつどこのどんなものにおいても、当事者の些細ないざこざで始まるものでは決してなく、時代の潮流に否応なく巻き込まれた者たちがやむをえず引鉄を引かざるをえない状況に追い込まれて始まるものです。いずれ朝敵の汚名を着せられることになるとは予想だにしなかったであろう会津の忠誠心が丁寧に描かれれば描かれるほど、一方の価値観を壊滅させる革命というものがいかに残酷な歴史の大回転であるかを感じました。
会津戦争があまりにも悲惨であったために、その修羅場を乗り越えた八重と尚之助には新たな時代でふたたび幸せになってほしいと、結末を知りながらも願わずにはいられませんでした。新島襄との出会い、教育と信仰の前に立ちはだかるさまざまな困難をふたりで乗り越えていく姿には明治という時代を一から作らなければならなかった文化人たちの苦悩を知ることができましたが、ふたりの愛の偉大さを感じ取るには、それまでの思い入れが深すぎたかもしれません。
当初は少し不安でもあった「歴史的に無名の女性の物語」でしたが、非常にクオリティ高く大河ドラマらしい大河ドラマであったことも加えて一年間非常に満足できた作品でした。先日発表された再来年の大河が「さらに無名の女性の物語」であることに解消しかけた不安がまた首をもたげましたが…。
来年はひさびさの戦国時代。主演は岡田准一くん。どんな参謀を見せてくれるのか、また楽しみな日曜日になることを望みます。
『クロコーチ』
なんだろう、「一流の食材を使っているはずなのに、食後の満足感がまるでない」料理を食べたあとのような、この感じは…。
コンセプトもモチーフも素晴らしいです。役者も曲者ばかり(ヒロインが浮いていてかわいそうなくらい)で魅力的です。つかみかけた証拠がするりと逃げて焦らされて、次週が待ち遠しかったはずなのに。
演出と脚本の出来が非常に悪い…。
いろいろなことが起きている割に展開が遅く、重要事項がつねに口で語られ、それも黒河内のあの口調なものだからにわかに受け止めがたく、そもそもこの黒河内という人間の造形が浅く一定でない、これは長瀬くんのせいではなく指導できない制作側の責任でしょう。黒河内と清家のコンビもまるでアンバランスで最後までなじめませんでした。
まだ完結していないという原作を読めばこのモヤモヤ感も消化できるでしょうか…。