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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『猿飛三世』

英語での奇抜な予告編に惹かれて、録画してみました。

一転、オープニング映像はまるで昔の忍者時代劇のよう。ルパン三世と影の軍団を足して2で割った感じです。

中身はごくごくオーソドックスな、忍者のタマゴの成長譚のようです。

佐助のキャラクターがちょっと定まっていない気がしますが、その他の登場人物が元気なお姫さまから怪しい商人、先祖からのライバル忍者まで多彩なので飽きも来ず、テンポ良いストーリーと迫力あるアクションシーンにぐいぐい引き込まれました。この枠のドラマは、あまり冒険せず、そのぶん丁寧に作られている気がします。

幼なじみの忍者たち、バカ三人組といった様相の彼らはこのあとどのような変貌を遂げるのでしょう。佐助とお市さまの関係も少し気になります。お辰のきりりとした立ち居振る舞いも素敵です。

物語の行方は、おそらく失踪した鬼丸の再登場が鍵を握っているのでしょう。うーん、もしやあの男・・・? 

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『ゴーイング マイ ホーム』

ん? なんだか、いつものドラマと雰囲気が違う・・・。まるで映画みたい。

という違和感は大当たり、監督・脚本があの是枝監督でした。ずいぶん思い切ったことをするものです。

大安売りの安っぽい絆ではなく、あまり画面ごしには観たくない人間のイヤな部分がどしどし描かれていて、なんとも肌触りのざらざらした、居心地の悪さを提供してくれます。意識不明の父親を前に涙にくれるわけでもなく今後を押しつけ合う姉弟、食卓は仕事場で食事はソファのローテーブル、そのお皿の上の料理さえお仕事道具である家族。決してあたたかくも平和にも描かれない田舎の風景。

しかしそのざらざら感が、吸い込まれるような2時間を終える頃だんだん快感になっていくのも不思議なことで。

10時間の映画を週にわけて観るようなものなのでしょう。いつものながら観でなく、ちょっと落ち着いた体勢で鑑賞したいと思います。

『純と愛』

初回の演出に前作との大きな差を感じて、「大丈夫かな・・・」と心配になってしまいましたが、テンポの良さと朝ドラとは思えないきわどい脚本に、これからの展開がまったく読めず毎朝楽しんでいます。

純ちゃんはドジっ子でおせっかいの自分を曲げない典型的なやんちゃ系ヒロインですが、そんな主人公に周囲も影響されていくというお決まりパターンが、今回は通用しそうにありません。純もそういう自分と周囲の差をちゃんと感じていて、苦悩する姿がちょっと切なさを誘います。孤独なヒロインを救うはずの王子様は、ちょっと異質な男の子。イケメンでもヒーローでもない愛と純が、この後どう結ばれていくのか、兄妹の不思議な能力が今後の物語にどうかかわっていくのか、気になります。

オープニングのえほんのようなイラスト、HYの主題歌も朝からさわやかな気持ちにさせてくれるドラマです。

『梅ちゃん先生』

医者になろうが母親になろうが、一貫してほわわわ~んなぷりてぃー梅ちゃんでした。

「一途でかわいいヒロインが飛んだり跳ねたりして皆に好かれて」、「どうしよう~どうしよう~と言っていれば勝手に周囲が助けてくれて」「やっぱりイケメンと結婚して」「たいしてがんばらなくても医者になれたり医院が持てたり家庭と仕事と両立できたり」「あっさり夢がかなっちゃう物語」というスタンスに当初はイライラしていたものの、「これはファンタジーなんだ!」と理解した終盤は落ち着いて観ることができました。

当初はソロパートが気になって仕方なかったSMAPの主題歌も、毎朝聴いているとどんどん味が出てきましたし。

松岡先生・坂田先生に続いて、光男くんという魅力的なキャラも出てきましたし。終盤はワキに追いやられてしまいましたが。ノブの存在感の薄さも尋常ではなかったなあ・・・。

希望どおりヒロシくんも現れましたし。イケメンになって現れて梅ちゃんと結婚するという夢は叶いませんでしたが。池松壮亮という『とんび』(NHK)を観てビックリしたほどの実力派若手を起用した割には、その効用が薄かったのが残念です。棒読み&無表情は苦労してきたヒロシの半生を物語る演出だったのでしょうが、オチを引っ張りすぎてちょっと逆効果だったかも。近所にいるはずだったのに最終回にも出てこなかったしなあ・・・。

弥生さんと山倉の今後はスピンオフとして描かれるようですが、『てっぱん』スピンオフのようなガッカリクオリティにならないことを願います。徳永えりは、『ブラッディマンデイ』から比較するとかなりの実力派になったなあと思います。

さて、10月からは『純と愛』です。あいかわらず元気印の朝ドラヒロイン造形のようですが、『それでも、生きてゆく』で圧巻の演技を見せた風間俊介に期待します。それに、舞台が大正区と宮古島なんですよね・・・Bs関係者、出てこないかな・・・。


 

『浪花少年探偵団』

視聴率がすこぶる振るわなかったことばかり記事になっていましたが、このストレートなタイトルと目新しさのないキャスティングでは、それもやむなしかと。

それでも、質はそこそこ良かったのではないかと思います。

私が大阪人だからかもしれませんが、原作はとても好きでした。著者が大阪の良いところも悪いところも知り尽くしたうえで、それもひっくるめての愛すべき浪花の下町をしのぶやそれを取り巻く人びとに託し、東野圭吾らしいヒネリの効いたミステリーに仕立てていました。このドラマは、その原作の良さをきちんと生かしていたと思います。

大阪出身ではない多部未華子がどこまではっちゃけたコテコテの大阪の女を演じられるか、あまり期待せずに観始めたのですが、予想を上回るリアルなしのぶでした。むしろ原作以上にキュートで、表情豊かでアクティブでした。多部ちゃんは『鹿男あをによし』の仏頂面女子高生のイメージしかなかったので・・・。

こちらは関西人の小池徹平や子役たちの自然な演技も良かったです。本間さんは別の俳優さんが良かったかなあ。

ただ一時間で放送するには、ちょっと枠が長すぎたかなという気もしました。深夜の30分枠でちょうどいいくらいだったのではと思います。

 

『息もできない夏』

オープニングとエンディングは良い選曲でした。もうそれ目当てでしかないというくらいにダレて期待はずれもいいところだったなあ・・・。

こういう難しい題材をいったいどういう目的でわざわざ選んだのだろうかと。

タイトルも意味不明だし、着地点ありきで登場人物誰もが都合良く行動し立ち聞きと偶然ですべてが進展する酷い脚本、ツッコミ待ちの演出、もうすべて観る者を逆なでしているとしか思えない作品でした。

武井咲ちゃんの「?」なダボダボファッションや江口洋介のボンバーヘッドは、あれも一種の演出なのでしょうか。

一生懸命演じている役者さんがかわいそうでした。

それだけウンザリしながら最後まで観続けたのは、中村蒼演じる草野くんの行く末が気になったからなのですが(それも最終回で脱力しましたが)、陰のあるいい俳優さんだなと思いました。また注目すべき若手めっけ。


 

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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