忍者ブログ
おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

『真田丸』
大坂の陣以降のスピード感には惹き込まれました。結末を知っているはずなのに、結束する牢人たちに「勝てるかも!」と肩入れして見ていました。今年の大河は大当たり。三谷幸喜やキャストはじめ、スタッフの大勝利でしょう。
当初は父や兄より目立っていなかった信繁ですが、大坂城に入ってからのカッコよさといったら。
歴史上、大阪の陣でしか活躍しない真田幸村ですから無理もありませんが、十か月間は真田昌幸をはじめ、秀吉、家康という魅力的な人物たちの陰に隠れてしまっていました。前半のMVPはなんといっても昌幸パパ。敵のみならず味方をも飄々と欺く野心家で、時には籤引きに頼るような茶目っ気も見せる。その教えは信之、信繁兄弟にしっかりと受け継がれました。最終回、死を前にした信繁が敵を倒したその一手は、昌幸が大助に説いたものでした。本多正信の領地である玉縄にて、大坂からのしらせの内容を悟り、前を見据えて歩き出す信之の一歩は、父から託された国を背負う覚悟への道でした。真田丸――信繁が主役のはずの物語は、その船の舵を託された信之のカットで終わりました。
大河のようなスパンの長いドラマは、途中でブレが発生するととたんに駄作となってしまいます。近年「あ、これは制作側から茶々が入ったな」と伝わってくる大河が多かったのですが、今作は三谷幸喜という著名な脚本家だからこそ貫き通せた信念と、それへ捧げるキャストやスタッフからの無償の信頼を感じました。全員が同じ方向を見ていれば、おのずと団結力が生まれていきます。
放送されている間、『真田太平記』と『城塞』を続けて読んだのですが、前者は信之兄ちゃんがとにかく素敵でした。大泉洋演じる兄ちゃんは弟へのコンプレックスにいじける人間くささがあって、それも大きな魅力のひとつではあったのですが、エリート長男な兄ちゃんもそれはそれで見てみたかったです。終盤、お通に熱を吹くところは少しガッカリでしたが。それ以上に大河の中でのお通はあんまりなガッカリ幕引き…。きりも最後は評価を覆したけれど、当初はとんでもない叩かれようでしたし、三谷幸喜は女性を描くのが苦手なのか?
『城塞』の初読はおそらく中学生の頃図書館で借りたものでしたが、地元含め馴染んだ地名が出てくるので夢中になり、長じて文庫本を買いました。今でも司馬作品のうち五本の指に入るほど好きな作品です。
とくに印象深かったのが、「家康本営に対する幸村の突撃は二度にわたっておこなわれた。」という一文です。戦闘の凄まじさと幸村の執念が伝わってきてゾクゾクしました。
ドラマではさすがにドラマチックがすぎましたが、家康と幸村の対峙の場面はこのドラマで描いた戦国という時代が凝縮されていたと思います。ネット上でラスボスと称された家康ですが、決してわかりやすい「悪役」には描いていません。
豊臣方の視点から描けば天下統一の野望を燃やした家康が、家康の視点から描けば旧時代の権力にとらわれ平和を乱す豊臣方が、悪役ポジションに立たされがちです。しかし、豊臣方には豊臣方の、家康には家康の義があります。ドラえもんもこう言っています。



わかりやすい対立構造にせず、それぞれの義にしたがう生きざまを真っ向勝負させた最後の対決は、「これぞ大河ドラマ!」という珠玉の名シーンだったと思います。
歴史とは、振り返るものではありません。
価値観とは、過去、経験、口伝、それらの積み重ねです。
己が存在しなかった時間を現在の位置から省みたところで、現代的価値観からは逸脱できません。
最近の大河ドラマに欠けていたのは、作り手側の視点の時空移動です。
ただ、それはむずかしい。視聴者の歴史離れ、メディアにおいては大人の事情もありますし、作り手が歴史に精通しているかどうかも関わってきます。その点、司馬遼太郎愛好家の三谷幸喜は、視聴者の座標をたやすく歴史上に移動してくれました。
個人的にはもうちょっとおふざけ場面を減らしてくれたら…女性の台詞回しが現代的でなかったら…出浦さまを最後出してくれたら…と思うところは数々ありますが、昨年挫折しただけに、ようやく一年通して楽しめたことには満足でした。
おかげで個人的にも世間的にも次作へのハードルが上がってしまいましたが…。同じ戦国時代というのも不幸な話ですが、とりあえず予約はそのままにしておきます。



PR
『砂の塔~知りすぎた隣人』
オリジナル脚本のサスペンスは、えてして最終回にコケるもの。
「最終回に初登場の大物俳優が犯人だった」や、「伏線まったく回収せず風呂敷くちゃくちゃ」など、数えたらキリがありません。
このドラマは、それらに較べれば、まあまあ及第点だったかな。
「お兄ちゃん呼びの和樹は、実の子ではないのでは」という当初からの疑問はひっぱりにひっぱったあげくやはり連れ子という予想どおりの結果で、「いかにもキーマンな生方」が犯人なのは当然すぎて驚きもなかったですが、奇を衒ったあげく失敗に終わるよりは良かったと思います。
「ある事件の容疑者」と仄めかされ「目的のためなら手段を選ばない」と評される弓子が、実はいい母親だった、というのはミステリーにありがちなどんでん返しなのでしょうが、「逮捕されて服役しているのだから容疑者ではなく犯人だろ」や「我が子をかばったあげく世間体を鑑みての離婚だったのに、ココリコはそこまで弓子を批判する権利があるのか。それ以前に、弓子との離婚を当初拒否していたわりに、亜紀との再婚早すぎでないか」というあたりにひっかかりを感じました。
しかしそれらを凌駕したのは、弓子の和樹に対する思いでした。冷静に考えれば弓子のしたことは犯罪で無茶苦茶なのですが、「子を愛するひとりの母親」として揺れた最終前話からの松嶋菜々子の表情には心を動かされました。
ただ、虐待をからめたのは少し強引すぎた気がします。社会問題となって久しいテーマですが、解決の糸口は以前として見えてきません。子が母を愛し、母が子を愛す、その関係性は理想の親子ですが、そこに暴力が介して良い理由など微塵もありません。虐待された子がそれでも親を求めるのは、愛情の飢餓からなのではないでしょうか。自分にひどい傷を負わせた母親を最後までかばい続けようとした生方は、精神的に束縛された状態です。それこそが虐待であると思うのです。

『逃げるは恥だが役に立つ』
ムズきゅん力、はんぱなーーーーーーーい!!!
と、叫びたくなるような、今時めずらしい大人の恋愛ドラマでした。
若者メインの少女漫画でときめいていたのは幼い頃の話。まさかアラフォーになって、26歳無職女と36歳プロの独身男のふたりにここまできゅんきゅんさせられるとは…。
ですが、恋愛もので「どうなるの!? どうなるの!?」と興奮するのは片想いの間だけで、ふたりが結ばれてしまうと、とたんに興味を失ってしまいがちです。このドラマも社員旅行のあたりまではやきもきして泣かされたのですが、どうにかこうにか壁を超えてイチャイチャ期間に入ってしまうと、それはそれで可愛いのですが、トキメキ度合いでいえば下降線でした。
とはいえ、イイ歳したふたりのイチャイチャを「可愛い」と思えてしまうのは、新垣結衣と星野源ならではの感覚。このドラマの成功要因は、新垣結衣の愛らしさももちろんですが、なんといっても星野源のチョイスにあると思います。イケメンすぎず不細工すぎず、自尊感情の低い36歳童貞の挙動不審ぶりがこれほどハマる俳優は他にいないのではないかと思うほどです。
結婚のありかた、主婦業への対価、愛情の搾取システム、女性の社会進出の困難さという社会問題を孕んだテーマは、ふたりの恋愛模様の前に霞んでしまいました。しかしその部分を掘り進めば展開が固くなり、おそらくここまで話題を呼ぶことはなかったでしょう。それらは大人の女性向け雑誌に連載されている漫画というメディアだからこそ描けたテーマなのでしょうし、ドラマは恋愛のゆくすえを描くことに徹していて、両者棲み分けできて良かったのではないかと思います。
石田ゆり子や古田新太、真野恵里菜に大谷亮平など、脇役も輝いていました。オールスターの恋ダンスも楽しかったです。とくに石田ゆり子は五十処女のキャリアウーマンをいやみなく演じていて、ダンスもキレキレで魅力的でした。
残念だったのは、リアルタイムで見ることができないので翌日に録画を楽しんでいたのですが、朝のネットニュースで盛大にネタバレしていたことです。物語そのものではなく小ネタのネタ元程度であっても見出しで嫌でも目にしてしまう…初キスや藤井隆の夫婦共演は知りたくなかったなあ。



『逃げるは恥だが役に立つ』
ガッキーがかわいすぎる――このひとことにつきる!
…って、ずっと前にも書いたような。
しっかし、かわいいんだよなあ。もはやおっさんの感想ですが。
契約結婚、というよくある設定なのに、新鮮なのはそこにしっかり「雇用関係」が確立されているところ。専業主婦=家事代行と書くと女性蔑視のにおいがするのに、平匡さんにはまったくそれを感じない。きちんとみくりの労働に価値を見出し、「養っている」ではなく「それに見合った報酬を適切に支払っている」からなのでしょう。時には謝意を述べるし、理想の雇用主であると思います。
原作を最初だけ読みましたが、みくりは家事をほとんどしたことがない設定だったので、いきなり仕事をテキパキこなしているところに違和感があったのですが、ドラマでは百合ちゃんのもとでごはんを作っていたり母親が掃除のエキスパートであったりとフォローがされていたので良いアレンジだと思いました。脚本にスピード感があり、芸達者な脇役も躍動していて、原作ものにしてはなかなか秀作だと思います。情熱大陸からビフォーアフターまで多彩なみくりの妄想癖も楽しいです。しまいにはエヴァンゲリオンまで出てきて驚きましたが…毎週話題になっているので、これからハードルが上がりますね。
押すと引いていく平匡さんのATフィールドを破壊すべく攻撃に出たみくりですが、これからキュンキュンの展開が待っていそうでトキメキから遠ざかって久しいアラフォーはワクワクです。

『砂の塔~知りすぎた隣人』
仲間由紀恵の『美しい隣人』を思わせる、謎の美女とトラブルに巻き込まれていく主人公という図式。さらにそこへタワーマンションの人間関係と謎のハーメルン事件が絡み合って、初回から落としどころが気になるミステリーです。
高層階と低層階の格差社会の描き方には実際のタワマン住民から批判が寄せられたとか。確かに、「住みたくないわ~(住むことないけど)」と感じましたしね。最上階住民が皆横山めぐみのようなボスママと思われてはたまらないでしょう。回が進むにつれ、一見悪気がないように暴言を吐くセレブっぽさがなくなって、あからさまに主人公と体操コーチの仲に嫉妬するような器の小ささを露呈してきたのは、フィクションを強調する演出なのかもしれません。
松嶋菜々子の謎めいた存在や、窮地に追い込まれた健一など、一話ごと波乱を呼んでいく展開は楽しめるのですが、ボスママに忠告されてもなお生方と接近する亜紀の行動にはやや鼻白んでしまいました。生方はおそらく事件のキーマンなのでしょうが、あまり魅力を感じない俳優さんだなあと思っていたらエグザイル系でしたか。しかも亜紀の息子と区別がつかん…。
その息子も、亜紀の「お兄ちゃん」呼びと相まって不思議な存在です。妹とは歳が離れすぎているし、高校生にもなって妹をかわいがりすぎだし、亜紀がそらの子育てに悩んでいるのもふたり目にしては不自然なような…。健一の連れ子なのでしょうか? そういえば、実家に問題を抱える亜紀と健一がどこで知り合って結婚したのか、まだ語られていません。何やらいわくありげです。
ミステリードラマは何かとオチで失敗することが多いので、このドラマはぜひ納得のいく最終回にしてほしいですね。
 
『べっぴんさん』
展開、早っ!
一週間で結婚して妊娠して夫が出征して出産して終戦を迎えて…そんな朝ドラがかつてあっただろうか。
『とと姉ちゃん』が比較的スローペースだったので、ギャップに驚きました。時計がわりや家事の合間に流し見していたら、ついていけません。視聴率の低下もそのあたりに原因があるのでは。
しかしその数週間で、おっとりお嬢様風だった芳根京子の表情がみるみる母親らしくきりっとしてきたのが印象的でした。
ファミリアは出産祝いやプレゼントを買いに百貨店に行った時にのぞいて回るので名前を知っている程度。実際にお店で買ったことがあるかどうかも記憶は定かではありませんが、その創業者のお話と聞いてもイメージがあまりわきませんでした。もっともこれまでも、『暮しの手帖』も読んだことなく、大同生命も知らなかったしコシノ三姉妹の服にもなじみがないので、そのあたり同様、完全なドラマとして経緯も結末も知らずに楽しむこととします。
神戸生まれ神戸育ち、超がつくほどお嬢様のすみれとゆりの姉妹。疎開先できつく当たられたり、闇市の一角でならず者に囲まれながら暮らさなければならなかったり、いちおう戦争でそれまでの優雅な暮らしを破壊されたように描かれていますが、実際のところはバラックと言いながらきれいな木造の小屋を建てることができたり物資にも困っている様子はなかったりと、荒廃した街の片隅で生きている人たちに較べればそこまでの苦労は負っていないのかなあと。もちろん、愛する人の生死さえわからない状況は過酷かと思いますが…ドラマ(とくに朝ドラ)の難しさは、戦中戦後をリアルに描くと気が重すぎて見る気が失せてしまうところにありますね。顔ドロドロ、衣服ボロボロの主人公なんて、朝から見たくありませんし。たとえ非現実的でも、お肌ツルツル、ブラウス真っ白、毛玉ひとつないセーターでいちおうもんぺ、みたいな恰好でないと視聴率が下がってしまいます。
それはともかく、女学校のお友達とも再会して、ファミリアの前身であろう小さなお店が始まりました。と思ったら、女友達あるあるで早くも離散危機。お嬢様たちへのコンプレックスと対等に四つ葉のひとつになりたい思いが相まって反抗的な口しかきけない明美さん、それを理解できない良子ちゃんの確執。夫が復員してきたら友情よりそちらを優先してしまう人妻たち。先にしあわせを取り戻した友達に複雑な思いを抱えてしまうすみれ…。非現実的なようでいて、ここはリアルです。
行動的なゆり、内向的なすみれ。先に潔とともに会社再興へ一歩を踏み出したはずのゆりが、なぜかすみれに後れを取っている。蓮佛美沙子はふくれっつらが似合います。それでも妹に笑顔を送る姉を、応援したくなります。初回に最後の展開を見せているため、姉妹のドロドロはなさそうで安心です。
最後といえば紀夫さん。復員してくることは確かなのですが…そろそろ帰ってきてくれませんかね。友達に置いていかれたすみれがかわいそうです。ホの字の栄輔も気になるし(朝ドラあるあるで結局明美さんとくっつくのでは、と予想)。『おひさま』の頃に較べたら、永山絢斗は兄と同じくいい役者になりましたね。『64』の記者役はとても光っていました。
で、近江の面々は今後再登場するのでしょうか。本田博太郎に山村紅葉に三倉茉奈、ときて、まさかあれっきりはなかろう…。



『HOPE~期待ゼロの新入社員~』
入社までの流れはやや都合よく、パワハラ・セクハラの描写も極端ではありましたが、基本的には一ノ瀬はじめ同期たちそれぞれの苦悩と成長が丁寧に描かれていて見ごたえがありました。仕事に、上司に、理想と現実のはざまにもがき、それでも明日を必死になって見通そうとしたあの頃を経験したものなら誰もが、遠い昔を思い出し、またその頃聴いていたスピッツの澄んだ歌声にもいっそう切なさを催されたに違いありません。
キャスティングもそれぞれ個性が輝いていました。とくに営業三課の場面はアドリブらしきセリフが飛び交っていて楽しく、この三人が始めた新たな事業のこの先をまだもう少し見守っていたくなります。
一ノ瀬たち同期四人の上司もそれぞれ同期生だったのには驚かされました。桧山・結城のイケメンぶりとは対照的なちょっと冴えない安芸とすがすがしいほど小物な鳴海、彼らにも一ノ瀬たちのように悩んだ時期があったのかと、そういった過去すら想起させるような印象深いシーンでした。
しかしドラマを引き締めていたのは、やはり遠藤憲一演じる織田課長の存在感ですね。同じ曜日の『真田丸』でも悩める上杉景勝を演じていましたが、情に厚く懐深い理想の上司像であることは共通していたと思います。
主題歌めあてに見始めたわりには、楽しめました。

『そして、誰もいなくなった』
中盤から「この風呂敷、本当に畳めるのだろうか…」と不安になっていましたが、案の定、くちゃくちゃっと終わってしまいました。
一時期流行った映画のように、閉じ込められてどこかの誰かから指令が送られて謎を解いて…という、あのあたりから風向きが怪しくなりました。あのくだり、本当に必要だったのか?
で、弥生はどこへ? どうして斉藤の死体が保管されていた? 七つの罪って何だったんだ? …メガネの玉鉄がかっこよかったから、もうどうでもいいか。
藤原竜也の絶叫と「はっ?」「えっ?」が印象に残っただけでした。

『闇金ウシジマくん Season3』
「洗脳くん」を主に、「テレクラくん」「生活保護くん」のストーリーが描かれましたが、後者二作の印象はやや薄く、神堂が上原家を洗脳していく過程にぞっとさせられました。ウシジマくんも目立ったのは最後だけで、神堂に喰われた感がありますね。まあ、映画ではぞんぶんに活躍するのでしょうけれど。
神堂を演じた中村倫也はさすがの演技力でした。女装癖からサイコパスまで多彩だなあ。
深夜枠とあって暴力も下着姿も売春もどんと来いの世界ですが、原作よりユーモアがあって気楽に見られるのが救いです。ウシジマと戌亥の駄菓子屋前での会話の間も良いですし。映画はドラマよりシビアで不穏な空気が漂いそうですが。

『とと姉ちゃん』
戦争が終わり、花山との雑誌作りが始まって、広告をめぐる確執や商品試験にまつわるエピソードあたりのスピード感は楽しめましたが、ふたたび星野を登場させたあたりからトーンダウンしたように感じました。再会したら奥さんは亡くなっているわ、子どもに慕われるわ、舅には再婚すすめられるわ、これだけのお膳だてを見せられたら、モデルと異なって常子は結婚するのね! と期待しますがな。今度は転勤かい! 二番煎じもいいところ! で、萎えちゃいました。
朝ドラという特殊なジャンルでは、制作側と脚本の意思疎通がうまくいっていないと画面からすぐに伝わります。時間軸の設定の粗さ、エピソードの投げ捨て。半年間というなだらかな一本道を同じテンポで歩いているはずなのに、途中のでこぼこにつまずいてペースが乱れてしまう、そんな流れの悪さを時折感じたのです。
ととが最終回に登場して泣いていましたが、「そうだよ! あんたが今際の際によけいなこと言うから、常子は若くして家を守って、結婚もあきらめなきゃいけなかったんだよ!」と、ぶつけたくなりました。かかだって、常子が最初に星野さんと別れた時、大阪へ行けと背中を押してほしかった(本当にしたらそこでドラマが終わりますが)。もちろんそれが常子の望む幸せでなかったからこそ、今があるわけですが。うーん、同じように家を背負った糸子(『カーネーション』)とどうしてこんなにも受け止め方が違ってしまうんだろう。
どうも最近、AK制作はイマイチなことが多いです。
鞠子を演じた女優さんが印象に残りました。次の朝ドラ出世女優はこの人かもしれません。オリックス戦で始球式に来たんですよね…全然報道されなかったけど…。

『てるてる家族』
上作と較べると、毎日のワクワク感がまるで違いました。四姉妹それぞれのエピソードが丁寧に描かれていて、泣き笑いの日々でした。登場人物ひとりひとりに愛情を注げる、これが朝ドラなんだよなあ、と。
子ども時代が長いとだれてくることが多いのですが、こちらは両親が超個性的なだけに飽きることなく見られました。少女・冬子と和人の別れの回、ケセラセラの合唱には涙があふれました。
朝ドラ主人公のおっちょこちょいぶりにはたまにイライラさせられることが多いのですが、なぜか冬子は許せてしまう不思議。宝塚学校の日々も難なく見られました。文化祭には冬子の成長ぶりに感動。春子の国体も、夏子の紅白も、秋子の決意も、まるで自分が家族の一員になったかのように応援してしまうのです。これも四姉妹の魅力がきちんと表現されていたからだと思います。そしてそんな娘たちを育て上げたのがお母ちゃん。天真爛漫で、時には娘を傷つけるけれど憎めない。秋子も冬子もあれだけ上と差をつけられてないがしろにされたら反発しそうなものですが、お母ちゃんを嫌わない理由がちゃんと伝わってくる。そんな難解な魅力を演じた浅野ゆう子は素晴らしかったと思います。最終週、これまであまりツーショットがなかった秋子とお母ちゃんのベランダでのシーンは涙を禁じえませんでした。
そして度肝を抜かれた和人の告白。まさか「ラブミーテンダー」がここにつながっていたなんて! 涙と笑いの名場面のあとには、『てるてる家族』らしい全員集合のフィナーレ。隠れた名作とは聞いていたけれど、こんなクオリティの高い朝ドラとは思いませんでした。半年間があっという間でした。もう一度最初から見直したい、そんなことを感じた作品でした。









『HOPE~期待ゼロの新入社員~』
プロの囲碁棋士になる夢を絶たれ、流されるまま一流商社のインターンシップ試験を受けることになった主人公が、そこで出会ったアクの強い上司や個性豊かな同期生にもまれながら、社会とは何か、仕事とは何かを考えるうち、自分自身を見つめ直す日々を描いた物語。
あらすじを聞いた当初は、囲碁の世界で培った能力を発揮して社内外の問題を次々解決し活躍するサクセスストーリーかと思っていましたが、いきなり社会に放り込まれて悩める若者の姿を等身大で描いており、また中島くんの素直な演技もあって、遠くなりつつある若かりし頃をしみじみ思い出し、また改めて感じ入りながら視聴することができます。
韓国ドラマのリメイクとあって韓国ではメジャーな囲碁出身となっていますが、同じように年齢制限のためプロへの道を阻まれた棋士たちを描いた『将棋の子』を読んだことがあるので、その無念、突然社会に放り出された困惑は、感情移入しやすかったです。
少し前、人工知能を特集した番組で見たのですが、囲碁の世界は将棋同様凡人にははかり知れない記憶力や洞察力が必要で(だからこそそれを凌駕する人工知能の凄まじさを知ることにもなったのですが)、たとえプロにはなれなくとも、最後までその座を争った主人公にはそれらの能力が備わっていることになります。ですから一ノ瀬が一夜にして貿易用語を暗記できたり、使ったことのないパソコンをすぐに使いこなせるようになったり、立派なプレゼン資料を作りあげることができるようになっても何ら不思議はないのですが、そのあたりあまり囲碁棋士の特性が活かされおらず、もったいないように感じました。また、プレゼン発表の場において、仕事にもっとも必要なコミュニケーション能力や協調性をアピールすることもでき、めでたく入社試験を突破することになるのですが、かんじんのプレゼン内容があまり伝わらなかったのも残念です。香月や桐明の合格するに足る能力はよくわかったのですが…。まあ、めでたく与一物産の社員となったこれからが本番ですかね。

『そして、誰もいなくなった』
『アンフェア』の秦建日子脚本とあって、まだ2話なのに息もつかせぬ展開のサスペンスドラマ。
追いつめられる役ばかりなイメージの藤原竜也。今回もわけがわからぬまま他人になりすまされ、社会から抹殺させられようとするシステム開発研究員を演じています。
今のところ、味方が誰ひとり存在しなさそうな新一の周囲の面々。赤の他人のはずだった出演者たちまでことごとく敵に回っています。眼鏡の玉鉄…美しすぎる…じゃない、怪しすぎる。しかしこういうわかりやすい怪しさの人間は往々にして犯人でないことが多いのですが、どうなのでしょう。学生時の仲間、ミムラは早くも3話にして本性を現しそうです。まさかこいつに重要な役は演じさせないだろう、と思っていたキンコメも普通に怪しい行動をしていたのですが、もうちょっと配役は考えてほしかった。他が他だけに目立ってしまいます。
オープニングのクレジット時に表示される単語が意味深です。

『闇金ウシジマくん Season3』
映画の第2弾を見ないまま始まってしまいましたが、今のところついていけそうです。
さまざまなエピソードが一度に始まるのですが、今回はどんな債務者がどんな窮地に立たされるのでしょうか。漫画ほど深刻度がなく、ウシジマくんやカウカウファイナンスの面々が時にトボケた一面を見せるので、空気が和らぎます。
これが終われば映画2本で完結だそうですが、どんなオチをつけるのでしょう。






カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
さや
性別:
女性
自己紹介:
ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
ブログ内検索
バーコード
ATOM  
ATOM 
RSS  
RSS 
Copyright ©   風花の庭   All Rights Reserved
Design by MMIT  Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]