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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『HOPE~期待ゼロの新入社員~』
入社までの流れはやや都合よく、パワハラ・セクハラの描写も極端ではありましたが、基本的には一ノ瀬はじめ同期たちそれぞれの苦悩と成長が丁寧に描かれていて見ごたえがありました。仕事に、上司に、理想と現実のはざまにもがき、それでも明日を必死になって見通そうとしたあの頃を経験したものなら誰もが、遠い昔を思い出し、またその頃聴いていたスピッツの澄んだ歌声にもいっそう切なさを催されたに違いありません。
キャスティングもそれぞれ個性が輝いていました。とくに営業三課の場面はアドリブらしきセリフが飛び交っていて楽しく、この三人が始めた新たな事業のこの先をまだもう少し見守っていたくなります。
一ノ瀬たち同期四人の上司もそれぞれ同期生だったのには驚かされました。桧山・結城のイケメンぶりとは対照的なちょっと冴えない安芸とすがすがしいほど小物な鳴海、彼らにも一ノ瀬たちのように悩んだ時期があったのかと、そういった過去すら想起させるような印象深いシーンでした。
しかしドラマを引き締めていたのは、やはり遠藤憲一演じる織田課長の存在感ですね。同じ曜日の『真田丸』でも悩める上杉景勝を演じていましたが、情に厚く懐深い理想の上司像であることは共通していたと思います。
主題歌めあてに見始めたわりには、楽しめました。

『そして、誰もいなくなった』
中盤から「この風呂敷、本当に畳めるのだろうか…」と不安になっていましたが、案の定、くちゃくちゃっと終わってしまいました。
一時期流行った映画のように、閉じ込められてどこかの誰かから指令が送られて謎を解いて…という、あのあたりから風向きが怪しくなりました。あのくだり、本当に必要だったのか?
で、弥生はどこへ? どうして斉藤の死体が保管されていた? 七つの罪って何だったんだ? …メガネの玉鉄がかっこよかったから、もうどうでもいいか。
藤原竜也の絶叫と「はっ?」「えっ?」が印象に残っただけでした。

『闇金ウシジマくん Season3』
「洗脳くん」を主に、「テレクラくん」「生活保護くん」のストーリーが描かれましたが、後者二作の印象はやや薄く、神堂が上原家を洗脳していく過程にぞっとさせられました。ウシジマくんも目立ったのは最後だけで、神堂に喰われた感がありますね。まあ、映画ではぞんぶんに活躍するのでしょうけれど。
神堂を演じた中村倫也はさすがの演技力でした。女装癖からサイコパスまで多彩だなあ。
深夜枠とあって暴力も下着姿も売春もどんと来いの世界ですが、原作よりユーモアがあって気楽に見られるのが救いです。ウシジマと戌亥の駄菓子屋前での会話の間も良いですし。映画はドラマよりシビアで不穏な空気が漂いそうですが。

『とと姉ちゃん』
戦争が終わり、花山との雑誌作りが始まって、広告をめぐる確執や商品試験にまつわるエピソードあたりのスピード感は楽しめましたが、ふたたび星野を登場させたあたりからトーンダウンしたように感じました。再会したら奥さんは亡くなっているわ、子どもに慕われるわ、舅には再婚すすめられるわ、これだけのお膳だてを見せられたら、モデルと異なって常子は結婚するのね! と期待しますがな。今度は転勤かい! 二番煎じもいいところ! で、萎えちゃいました。
朝ドラという特殊なジャンルでは、制作側と脚本の意思疎通がうまくいっていないと画面からすぐに伝わります。時間軸の設定の粗さ、エピソードの投げ捨て。半年間というなだらかな一本道を同じテンポで歩いているはずなのに、途中のでこぼこにつまずいてペースが乱れてしまう、そんな流れの悪さを時折感じたのです。
ととが最終回に登場して泣いていましたが、「そうだよ! あんたが今際の際によけいなこと言うから、常子は若くして家を守って、結婚もあきらめなきゃいけなかったんだよ!」と、ぶつけたくなりました。かかだって、常子が最初に星野さんと別れた時、大阪へ行けと背中を押してほしかった(本当にしたらそこでドラマが終わりますが)。もちろんそれが常子の望む幸せでなかったからこそ、今があるわけですが。うーん、同じように家を背負った糸子(『カーネーション』)とどうしてこんなにも受け止め方が違ってしまうんだろう。
どうも最近、AK制作はイマイチなことが多いです。
鞠子を演じた女優さんが印象に残りました。次の朝ドラ出世女優はこの人かもしれません。オリックス戦で始球式に来たんですよね…全然報道されなかったけど…。

『てるてる家族』
上作と較べると、毎日のワクワク感がまるで違いました。四姉妹それぞれのエピソードが丁寧に描かれていて、泣き笑いの日々でした。登場人物ひとりひとりに愛情を注げる、これが朝ドラなんだよなあ、と。
子ども時代が長いとだれてくることが多いのですが、こちらは両親が超個性的なだけに飽きることなく見られました。少女・冬子と和人の別れの回、ケセラセラの合唱には涙があふれました。
朝ドラ主人公のおっちょこちょいぶりにはたまにイライラさせられることが多いのですが、なぜか冬子は許せてしまう不思議。宝塚学校の日々も難なく見られました。文化祭には冬子の成長ぶりに感動。春子の国体も、夏子の紅白も、秋子の決意も、まるで自分が家族の一員になったかのように応援してしまうのです。これも四姉妹の魅力がきちんと表現されていたからだと思います。そしてそんな娘たちを育て上げたのがお母ちゃん。天真爛漫で、時には娘を傷つけるけれど憎めない。秋子も冬子もあれだけ上と差をつけられてないがしろにされたら反発しそうなものですが、お母ちゃんを嫌わない理由がちゃんと伝わってくる。そんな難解な魅力を演じた浅野ゆう子は素晴らしかったと思います。最終週、これまであまりツーショットがなかった秋子とお母ちゃんのベランダでのシーンは涙を禁じえませんでした。
そして度肝を抜かれた和人の告白。まさか「ラブミーテンダー」がここにつながっていたなんて! 涙と笑いの名場面のあとには、『てるてる家族』らしい全員集合のフィナーレ。隠れた名作とは聞いていたけれど、こんなクオリティの高い朝ドラとは思いませんでした。半年間があっという間でした。もう一度最初から見直したい、そんなことを感じた作品でした。









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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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