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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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10/12 パ ☆☆F6-0H  セ ☆☆C5-0DB
それぞれリーグ優勝チームが先勝し、アドバンテージを含めて白星をふたつ先行させました。
パ・リーグは大谷が連勝で札幌に乗り込んできたソフトバンクの勢いを一掃。温存した武田も6失点と期待に応えられませんでした。エラーで動揺してしまったのでしょうが、交代のタイミングにも一考の余地ありです。投手・大谷が8番に入る挑戦的なオーダーで、送りバントはなんとプロ初、しかも成功。何をやってもうまくいく、とことん漫画の主人公な選手です。点差があったおかげでマーティンのリハビリ登板もできました。これは大きな収穫です。
セ・リーグはジョンソンが完封勝ち。1stを3戦戦ったチームはFinalを勝ち抜いた例がないそうですが、これは選手の疲弊以上に、良い先発3人を使い切ってしまうからでしょう。モスコーソではやはり広島打線を止めるのは厳しかった。1番・田中を全打席出塁させたことも相手を勢いづけてしまいました。

10/13 パ ☆☆F4-6H☆  セ ☆☆☆C3-0DB
レアードのホームランで同点に追いつき、中田が勝ち越し打。主軸の活躍で逆転し、このままマーティンで〆か? と思われましたが、そこはさすが昨年の覇者、ソフトバンクが意地を見せました。立役者は何といっても福田。死球で出塁した時はそうとう痛そうでしたが、マーティンのクイックに隙があると見るやすかさず二盗、三盗。見ているほうもボルテージが上がりました。そこからの本多、柳田のタイムリーに内川のヘッドスライディングには気迫を感じました。これぞCS、これぞクライマックス。
いっぽう、セ・リーグは広島が連勝で早くも王手。DeNAはロペス・筒香などが打って打撃戦に持ちこまないと勝機が見えてきません。二試合連続完封負けは何とも淋しい。今日も田中は絶好調。シリーズ男になりそうな予感です。

10/14 パ ☆☆☆F4-1H☆  セ ☆☆☆C0-3DB☆
千賀が初回から乱れたことは誤算でした。ここぞのレアードは、いったい今までどうやって打ち取っていたのだろう、と不思議に思うくらい一発が出ます。その次の回にソフトバンクがすぐさまチャンスを作るも、有原がきっちり抑えて流れは一気に日ハムへと傾きました。もともと精彩を欠いている中島に加え、田中賢の調子も少し心配ですが、それを補っても余りある底力が、日ハムにはあります。ソフトバンクは柳田に一発出れば勢いを取り戻せると思うのですが、うまくはいかないものです。
DeNAが執念を感じるプレーで一勝をもぎ取りました。水際の先発を託された井納の精神力には驚かされました。石川・梶谷のフェンス際の体を張った捕球には、敵味方なく広島ファンも拍手を送っていましたが、気持ちが全面に出たプレーでした。後のない試合、「骨はもう折れているから」と出場を続ける梶谷には、胸を打たれます。

10/15 パ ☆☆☆F2-5H☆☆  セ ☆☆☆☆C8-7DB☆
崖っぷちのソフトバンクが一発攻勢とバンデンハークの好投で2勝目奪取。大谷のタイムリーで反撃するものの、時すでに遅し。守りのミスも響きました。王手をかけているはずの日ハムですが、あまり余裕を感じないのはシーズンのG差のとおり、両チームの実力が拮抗しているからでしょう。こうなると追われる者より追う者が有利になることもあります。日ハムの勝ち抜けか、ソフトバンクの逆王手か。ルーキー加藤か、ベテラン攝津か。休日の午後に野球が見られる喜びもさりながら、勝利のゆくえも楽しみです。
いっぽう、先に日本シリーズへ駒を進めたのは広島カープ。結果的にはルーズヴェルトゲームにはなりましたが、試合は初回で決していました。いや、むしろ、先頭・田中の11球目、粘られたあげくのインコースをボール判定されたあの一球で。心を折られたまま投げなければいけなかった今永に、広島打線の勢いを止めることは不可能でした。
そこからじわじわと追い上げていったのは今年のDeNAを象徴する粘り強さでしたが、このFinal最後まで調子を上げられなかった筒香が最後の打者となってしまいました。
あの先頭打者の一球の判定が変わっていれば、勝敗はどっちに転んでいたかはわかりません。1stでも二塁牽制をめぐって審判の不可解な判定がありましたが、人間である以上ミスはつきものとはいえ、審判のさじ加減で試合の流れを左右するようなことはあってはならないはずです。くしくも広島も昨年、その審判の判定ひとつでCS出場を逃しています。今季、さまざまなところで審判の判定への意見が持ち上がっていましたが、試合中にころころストライクゾーンを変えるような審判がCSという大事な局面を任されて良いものか。見ている者も気持ちよく勝者を祝福し、敗者を讃えるような試合であってほしかったと、いち野球ファンは思うのです。
もちろん広島の強さは見事でした。今回「神ってる」田中の大活躍、さらに菊池・丸と続く上位打線に、元祖「神ってる」鈴木の調子が戻ればさらに強力打線が完成します。安定感ある先発とブルペン陣。中崎も無事復帰して隙がありません。秋までたなびく鯉のぼり! 球場が真っ赤に染められるのは、さあ北海道か福岡か!

10/16 パ ☆☆☆☆F7-4H☆☆
日ハムがゲームセットの瞬間まで劇的に決めた逆転勝ちで、広島行きの切符を手に入れました。
ラストを飾った主人公は大谷でしたが、その影に隠れてしまった功労者はバースと谷本by我が家の解説者。
加藤と攝津で打ち合いを予想していましたが、そのとおりソフトバンクが4点先取。これはおとといの逆かとも一瞬思いましたが、少しずつ返していく日ハム打線に、あとを受けた中継ぎも無失点と持ちこたえます。ソフトバンクベンチはたまらず攝津を降ろし、このシリーズほぼ出ずっぱりの東浜に交代させました。結果的に、継投の是非が勝負の分かれ目となりました。
投手コーチの入れ替わりで様相の変わったソフトバンクの継投策。蓄積疲労している東浜のブルペンでの調整はうまくいっていたのでしょうか。点差のついていた初戦、東浜の登板は必要だったのでしょうか。
ここで大野に代打・岡のカードを切って追いついた日ハムに対し、ソフトバンクは反撃の場面で痛い走塁死など、終始裏目に出た感がありました。マーティンが不在にもかかわらずなぜか1イニング早出しの継投に、解説の建山が「ウルトラC」で抑え大谷の登板を示唆していましたが、まさか本当に出てくるとは思いもしませんでした。かつて楽天が則本→田中のリレーで日本一を決めましたが、栗山監督もこういうドラマチックな演出を行うとは…。
1イニング全力の大谷には、ソフトバンクベンチもお手上げで見守っているように見えました。いやー、大谷くん、もう日本でやることないっしょ?(しつこい)

さあ、これで対戦相手は決まりました。週末のマツダスタジアム、おそらくジョンソンー大谷で、2016年の日本シリーズは幕を開けます。広島が、日本じゅうが一投一打に揺れるであろう秋の夜。お酒とおつまみ用意して、プレイボールのその時を、テレビの前で待っています。






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