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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『刑事のまなざし』
地味といえば地味な作りでしたが、丁寧な脚本と抑えた演出、俳優陣も芸達者ばかりだったので、じっくり雰囲気を味わいながら鑑賞できるドラマでした。
最近めっきり曲者のイメージがついた椎名桔平(『アウトレイジ』『SPEC』『鴨、京都へ行く』etc)ですが、今回はいたって正統派。犯罪に対して真摯に向き合いながらも、家族の前では人間らしい弱さをかもしだす、どこにでもいる平凡でまじめな、だからこそ人の心を溶かすことのできる刑事を素直に演じていました。周囲の刑事たちもゲスト俳優も皆どこかで必ず目にしたことのある有名俳優でありながら鼻につくことなく、とくに最終話のキーマンとなった窪田正孝はあいかわらず少年期のあやうい精神状態を巧みに演じていて胸に迫るものがありました。
結局、娘を寝たきりにさせた犯人は見つからず、目覚めることもありませんでした。続編があるのかはわかりませんが、もう一度見てみたいと思う刑事ドラマでした。

『太陽の罠』
NHKらしい、知的財産を取り扱った硬派なミステリー。そしてキャスティングも『平清盛』に出演していたAAAの西島隆弘はじめ、NHK好みの俳優が並びました。そしてこれは自分の好みでもあります。決して視聴率や話題づくりを狙わない、とっかかりにくくても内容は濃い、NHKのドラマ制作陣は地味に良い仕事をするなあと毎回感心します。全4回というのも間延びせず飽きることなく集中して見られます。意図せず陰謀に巻き込まれ頼りなさそうだった主人公が復讐に燃えはじめるその変貌、産業スパイの秘められた過去、会社と家族への愛と犯した罪のはざまで悩む次長の姿、すべてに見どころがありました。ただひとつ残念だったのは、弁護士役の石田ひかりがどうしてもやり手に見えずミスキャストであったことでしょうか。
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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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