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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『あまちゃん』
能年玲奈というヒロインの名前をまるで知らなかったのですが、フレッシュ(死語)な魅力にみちあふれていて、朝からビタミンを補給してくれます。
クドカンの脚本は随所にちりばめられたギャグがややくどい印象があるものの、演者が楽しんで演じているのが画面を通して伝わってきます。劇団俳優が多いせいか、画面のすみずみまで目が離せません。とくに、何かあるたびゴロンと転がる渡辺えりと勤務中に耳ダンボ状態の荒川良々は画面の中心よりも目を惹きます。
ウニ丼もまめぶも、食べたくなって仕方ありません。
『てっぱん』の冒頭を思い起こさせる海での祖母と孫のツーショット、そしてダイブ。キラキラした新進女優のヒロインと、重みのあるベテラン女優。ツンデレの初音さんとは違い、夏ばっぱは突然現れた孫がかわいくて仕方ない様子ですが、こちらは母と娘両方の顔を見せる春子さんを間にはさんで、三世代の女性それぞれの生きざまを感じることができます。ふざけていたと思えば突如として人間の本質に迫る台詞と展開を見せる、脚本が秀逸です。『カーネーション』以来、朝昼晩週末ダイジェスト、鑑賞し倒す朝ドラとなりました。
海女クラブはじめ、北三陸の人々誰もがいとおしい存在です。小池徹平が演じるひきこもり体質のストーブことヒロシさえも、愛すべきキャラクターです。WaTで溌剌と歌っていたイケメンの面影はまるでなく、ユイちゃんが託されたラブレターを指先でつまんでいた気持ちがわかりますが、これも演出と俳優が優れているゆえんでしょう。がんばれヒロス。負けるなヒロス。
あ、でも、組合長と菅原さんが一緒にいると、ちょっと・・・。
だからこそ、北三陸を離れてしまう展開が少し淋しくもあります。アキはいったいどのようなアイドルとなるのでしょう。
そして2008年から始まるこの物語が、2011年3月11日を避けて通ることは、作り手みずから許さなかった模様です。実際、北三陸のモデルとなった久慈の人的被害は軽微であったようですが、「登場人物の誰も死ぬことなく」かの災害を書くことが果たして許されるのでしょうか。そして今のこの楽しい時間が失われてしまうことも、それが現実だったとはいえ、耐えられるのだろうかという気にもなるのです。
ともかくも、その日までは物語の世界にどっぷりつかろうと思います。

『鴨、京都へ行く~老舗旅館の女将日記~』
ほわんとしたお嬢様役のイメージが強かった松下奈緒ですが、きりりとした気の強い財務省キャリアの役がハマっています。女将業を始めるまでの前置きが長かったことをのぞけば(あ、財務省キャリアがディナーとか京都旅行とかも無理だと思う;)、脚本も演出もよい匙加減です。伝統をコケにして鼻を折られるのも、モンスターカスタマーに振り回されるのも、ベタベタな展開のはずですが退屈せずに観られます。ロケの背景や小道具に観光地を舞台とした作品にありがちな「京都らしさ」を優先する強引さがなく、昔から自然としてそこにある京都の風景、失われることなく生き続けてきた伝統の美しさが伝わってきます。
一度でいいから、こんな高級旅館で過ごしてみたい・・・。

『家族ゲーム』
「いいねえ~」が口癖になっちゃいそうです。好青年の櫻井くんが、こんなに怖いと感じるなんて! 時折はさまれるフラッシュバックと、血染めのキーホルダー、吉本荒野にいったいどんな秘密があるのか(映画を観ておらず原作も読んでいないので)気になって見逃せません。

『雲の階段』
渡辺淳一の医療モノはたいてい読んだはずなので、こちらの原作も本棚に並んだ背表紙の記憶はあるのですが、ストーリーが思い出せません。というわけで、結末を知らずに楽しんでいます。長谷川博己のオドオドした姿勢が、『八重の桜』の尚之助さまと結びつきません。生まれ変わった野心家の三郎ともまるで異なります。が、あいかわらず所作はエロイぜ(『セカンドバージン』のイメージが強すぎる)。


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自己紹介:
ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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