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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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今井雅之さんを知って20年が過ぎていました。
追っかけの20年でした。

1994年。織田裕二主演のテレビドラマ『お金がない!』に出演していた脇役の今井さんをはじめて見て、釘づけになり、大河ドラマ(『花の乱』)に出演していると知るやそれまで見ていなかったのに途中から出演場面だけ視聴していました。
翌95年、『WINDS OF GOD』が公開された時には、生まれてはじめてひとりで映画館に行きました。
上映後、売店で買った単行本は今でも宝物です。



初版本です。もう絶版ですので自分の中ではちょっとした自慢です。

 

パンフレットも買ったはずなのですが、見つかりません。実家に置いてきてしまったのかな。

キャストにその名を見つけるととにかく視聴しました。結局再放送されることはありませんでしたが『ギフト』(97年)の役は印象的でした。『お見合い結婚』『リミット』(2000年)と、この頃には名脇役の地位を手に入れていたように思います。それには『味いちもんめ』(96年)で中居くんと共演したことも大きいのではないかと思いますが、これだけ今井さんを追いながら中居くんが苦手という理由で見なかったことが今でも大きな後悔のひとつです。今では中居くん好きですが。ちなみに『中居くん温泉』(97年)は見ました。

いつか今井さんの舞台を見てみたいという思いがかなったのが、2000年。
『THE WINDS OF GOD』ジャパンツアーの京都劇場でした。
映画よりもずっとずっと心に響いて、涙が止まりませんでした。
しかしクライマックスの場面でひとりの観客のマナー違反があり、気が削がれてしまったのが残念でした。
同年、ハワイ・真珠湾で上演を果たした『WINDS』の凱旋公演が行われました。全編英語、それでも伝わる熱い思いにスタンディングオベーションで手が痛くなるほど拍手を送りました。
着メロはすでにブルーハーツの『青空』でした。

次のジャパンツアーは2001年。
新卒入社1年目で、余裕がなく、チケットを買えませんでした。友人から「キンタかわいかった! 去年の宮川大輔キンタもかわいかったけど、松本リスのキンタもかわいかった!」と報告されて悔しかったような記憶がなんとなくあります。それでまだ当時は互いのメールアドレスでやりとりをしていたヤフーオークションでチケットを入手。昨年悔しい思いをしたクライマックスの場面もじっくり堪能し、ようやく、きちんと『WINDS』の魂を感じ取れたような気がします。

ちなみにオークションでは、こんなものも買いました。



一度目は高値更新され失敗、二度目はそれ以上の値段で落札。いったい誰が欲しがるのか。

この年で、今井さんは『WINDS』に幕を降ろしました。
冬は安寿ミラと共演した舞台『カッコーの巣の上を』。私の中でのマクマーフィは今でも今井さんです。

2002年は『“MAKOTO”~ゆく年くる年 Hello,X''mas~』。『WINDS』と異なり大勢のキャストがくり広げるアドリブ合戦に笑い、皆が去りゆく静かなラストにすすり泣きでした。

2003年、今井さんがはじめてメガホンを取ると聞いてわくわく。先行上映が行われたのは翌2004年の2月。城崎まで行きました! 温泉よりもカニよりも、生今井さんがメインの旅。



5列目くらいから見上げる今井さんはメッチャメチャかっこよくてまばたきすら惜しいほどでした。新山千春の細さと顔の小ささも衝撃でしたが。



サイン入りDVDも買いましたが、サインはげかけてる…。

アカデミー賞を取るという、今井さんの果てない夢への第一歩でした。

今井さんのブレない夢への姿勢は、何冊もの本で読みました。



何度も何度も読みました。

2005年。終戦から60年目。
今井さんが『WINDS』を終わりにしてからすぐに起こった同時多発テロを、米メディアが「カミカゼ・アタック」と呼んだことに憤りを感じた今井さん。監督2作目の映画版『WINDS』製作を進めつつ、『WINDS』が再び舞台の上へ帰ってきました。



この時は二度劇場を訪れました。ひとつは明石まで行きました。
そして着メロは『ゆらゆら』に。

そして翌年もジャパンツアーを京都で鑑賞



夏には映画『THE WINDS OF GOD ―KAMIKAZE―』も公開されました。
実は、まだ見ていないのです。いつかDVDを買おうと思いながら、そのままでした。

2007年は産隆大學應援團

 

笑いすぎて涙が出ました。

2008年も再び『WINDS』のジャパンツアー



これ以降、2011年から13年まで陣内智則・なだぎ武・井戸田潤らをキンタ役に迎えて全国公演が行われました。彼らがどんな演技をするのか、どんな『WINDS』になっているのか興味はありましたが、さまざまな理由により回避してしまいました。
2014年の『手をつないでかえろうよ』も悩んで回避。2015年には3作目の映画になると聞いて、それを心待ちにしていました。

そして、明日が2015年の『WINDS』ツアー千秋楽、沖縄公演です。
舞台挨拶の思いはかないませんでした。
でも、今井さんは沖縄の劇場にいるでしょう。舞台の幕が上がるのを今か今かと待っているでしょう。
微笑みながら。
青い空の真下で。
「この体は滅びても、僕達の魂は永遠に不滅だよ。またどこかで兄貴に会えるさ、きっと。山本さんや寺川さん達にもね……死は新しい生への始まりだよ」


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早いよ

早すぎるよ今井さん

もっともっと見ていたかった

舞台の上で光り輝く姿を

力強いまなざしを

全身からみなぎる意志を

何度でも聞きたかった

命の限りの叫びを

生きることのすばらしさを

悔しいよ

悲しいよ

今井さん
 さて、北海道最後の朝は、旭川駅のバス乗り場へ。

行程がうまくいかなかったらパスしようと思っていた、旭山動物園へ向かいます。



まだ開園まで時間がありますが、ファミリーに囲まれながら長蛇の列へ。
今日も良い天気です。

飛行機の時間もあるので、滞在時間はせいぜい2時間ほど。それですべて見て回れるのかはわかりませんが、とりあえず行動展示の雰囲気だけでも楽しもうと思っていました。
パスする選択肢もあっただけに、ガイドブックの別冊になっていた「旭山動物園の楽しみ方」のページも忘れたくらい、今回の旅の中では重要度が低かったのですが…。

おお。

 

すごい。

 

わくわく。



キター!

 

でかい!

  

あんなところに!
 
 

トラ! ライオン! ヒョウ!

   

目が合ったらちょっと怖い。

 

凛々しい。きゃわいい。

 

動物園といえばこれ。みんな寝てる。

    

頭の上をどすどす。



今日もええ天気やねー。



客を前に一回転して羽根を自慢してくれるサービス精神。



きりん見るの久しぶりだな。いつも屋内にひっこんでいたもんな。



メエメエ。

 

…おっと、めっちゃ楽しんでますやん。

そうこうしているうちにもぐもぐタイム。



まずはペンギン。
ぺんぎん館に戻ると、周囲はすでに満員です。



こんな感じでしか見られませんでした。次はホッキョクグマ…と思ったらもういっぱいで入れませんでした。

今なら走れば、11時発のバスに間に合うなあ…でもおみやげ屋さんも見たいし、次の30分発のバスでもじゅうぶん間に合うし、ちょっとゆっくりしていくか。

――この一瞬の迷いがのちのち大きな後悔を生むことを、当時の私はまだ知らないーー

入口近くのパン屋さんでメロンパンを買って小腹を満たし、おみやげ屋さんではペンギンのかたちをした手ぬぐいを買いました。
曇ると肌寒くなります。



GWなので相当な人出かと思いましたが、朝イチだったのでそれほど感じませんでした。
「このトシで動物園なあ…母もたいしたことないと言っていたしなあ…」と乗り気でなかったわりに、かなり楽しんできました。動物園もいいものです。

旭川駅に戻り、電車を待つ間お土産屋さんで時間をつぶしました。昼食の時間ですが、我慢。すべては新千歳空港を満喫するため。下調べでは多くの土産物屋と飲食店があるもよう。チェックインまで一時間半は余裕があるので、ドラえもんパークやロイズのチョコレート工房、温泉はむりかもしれませんが、お昼ごはんと買い物はゆっくり楽しめるでしょう。

と、思い出を胸に特急スーパーカムイへ。
札幌までは一時間ちょっと。ここで方向が反対に変わります。降りる人、乗る人に気をつかいつつ、前後に座っている人と間合いをはかりながら、座席を反転させなければいけません。
発車まで待っていると…。

「ただいま千歳線で全線運転を見合わせております」

(;゚ Д゚)?

千歳線とは、新千歳空港へ向かうこの線のことですが…。
すぐ動くのだろうか?

またしばらくして、
「この列車は回送電車となります。皆さま、お降りください」

(((( ;゚д゚))))

どうしたら…どうしたら!?

とりあえずコンコースに走ると、同様に空港を目指している人たちが駅員に殺到しています。
「大丸前から空港行きのバスが出ていますのでー」
あわてて反対側の出口を目指しました。おっとその前に払い戻しだ! 無愛想な駅員に投げて硬貨を返される。振替輸送はないのか! JRの対応の遅さは、西も北も変わらないなあ!
しかも大丸前と聞いて、違う大丸前の乗り場まで行ってしまう痛恨のミス。正しい場所に戻るともう長蛇の列です。この時点で15時近く。チェックインの刻限は16時30分。バスの所要時間は通常ならば1時間ほどですが…。
バスは非常時とあって次々やってきます。しかし列はなかなか進まない。しかも荷物を乗せるのに時間がかかったりして、ようやく乗車できたのは15時30分。ギリギリだが…!

「このバスは通常便ですので、各停留所に止まります。渋滞しておりますので空港までは1時間半程度かかる予定です」

ガ━━━━(lll゚д゚)━━━━ン!!!!

頭マッシロ。

どうしたらいいの…どうしたら…。

余裕をかまして特急内で一球速報などを見ていたのでスマホの電池は半分ほどしかありません。ポータブル充電器も残りわずか。飛行機に乗るのもはじめてですから、飛行機に間に合わないのも当然はじめて。とりあえず航空会社のHPを…空席を…。いやこのチケットはどうなるのだ…。Peachのサイトにつながらん! やはりこういう時に格安航空はダメなのか…。

わかっちゃいたけど、運転手さんの言葉どおり、バスはまっっったく進まず。変な汗も出てきます。GWのさなか空席なんてそんな簡単に見つかるのだろうか? 帰れなかったらどうしよう!? 
少ない電池で新千歳空港付近の宿探しを始める私。もう野球の結果などどうでも良い。時刻はあっさりとチェックインの刻限を超えてしまいました。

ようやく空港に着いたのが17時。さよなら今頃離陸しているであろう私の乗るはずだった飛行機…。

お昼をここで食べるはずだったので、動物園で食べたパン以外何も口にしていません。空腹でフラフラになりながら、入口から近かったJALカウンターに並びました。
「伊丹か関空行きでいちばん早い便の空席は…ゼエゼエ」
「関空行きでひと席空きがあります」
「そ、それで!」
「46300円になります」
・・・(ヽ´ω`)

何のための早割…何のためのビジホ…何のためのセイコーマート…。
ていうか、今回の往復のチケット代やん…。もっかい北海道行けるやん…。

いや…あの時、動物園で一本早いバスに乗っていれば! 電車が止まる前に空港へ着いたのだ! あの時動物園を出ていれば…ウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!

とりあえず、お腹に何かものを入れたい。しかしお店に入る時間的余裕はないので売店で弁当を買い、お土産もやっつけで購入。遠のく意識をこらえてゲートをくぐるとピンポーン。スマホをポケットに入れたままでした。

人気のないベンチでようやく昼食。ちなみにもう18時。



ううう…全然味がわからないよう。

ようやく搭乗。緊張感が持続していたせいかまったく眠れず、週刊ベースボールを開いても文字が頭に入ってこず。長い長い2時間でした。
関空に着いてもまた高速バスまで猛ダッシュ。しかも真反対に行ってしまいまたダッシュ。
バスを待たせて乗り込みましたが、もうボロボロ。泣きたい…。

最後の最後でこんな結末が待ち受けていようとは、思いもしない北海道旅行でした。

でもまた行きたい。
行きたい場所はもっとたくさんあるのです。羊が丘も百人浜も。網走も知床も。3日だけではとても足りない。
めげずにいつか、再戦します。いつになるかはわからないが…。

おみやげ↓

  富良野線をうとうとしながら、旭川へ戻ってきました。

次なる目的地は、『泥流地帯』の作者である三浦綾子記念文学館です。
こちらは旭川から徒歩15分、『氷点』の舞台となった見本林の入り口にあります。



そこまでの道は「氷点通り」と名づけられています。旭川に根づいた『氷点』のイメージがどれほど鮮烈なものであったか、感じられます。
ちなみにこの文字は三浦綾子さんの夫である光世さんによるもの。文学館の館長でもあった光世さんは綾子さんの死から15年経った昨年の秋、逝去されました。

私に三浦綾子さんの本を教えてくれ、文学館を訪れたこともある母は、「駅から遠いからタクシー使うといいよ」と言ってくれましたが、ケチな私は歩くことにしました。スマホ片手にパリーグTVをチラ見しながら…。

 

空が曇ってきた頃、ようやく到着。



こちらにも氷点の冒頭シーンの碑がありました。



静かな場所、静かな建物です。

三浦綾子さんの著書はすべて読みました。
その生涯も、強く心に刻まれています。
生い立ち、仕事、戦争、恋、闘病そして執筆。生涯に遺した数多くの作品から放たれる無数の光、あふれる愛、そして輝くいのち。無我夢中で読みあさりました。ページをめくるごと、闇に包まれていたはずの世界の扉が開き、未来へ続く道が見えました。

2階では『道ありき』展が開催されていました。
三浦綾子さんの青春時代を描いた自伝作品です。
幾度も闇に堕ちながら、人びとの愛、そして信仰が、彼女を救いました。
それは、綾子さん自身が敬虔なクリスチャンとして神を信じ、そして周囲に愛をもたらしていたからに違いありません。
出版のたび、光世さんに最初の一冊を送り続けていた綾子さんは、表紙の裏に夫へのメッセージを書き残していました。病弱な綾子さんのため、口述筆記をつとめるようになった光世さん。決して聞き直すことも書き誤ることもなく、三浦綾子作品は、夫婦ふたりで作り上げられた愛の結晶でもありました。これほどまでに清く輝く、美しい絆があったでしょうか。
こんな夫婦になりたいと、思春期の私は夢を見たものです。

展示の前で「涙が止まらないわ」と、目元をぬぐっていたひとりの婦人。「うん」と不器用そうにうなずきながら、ご主人が寄り添っていました。



外は空模様があやしくなっています。



見本林の散策へ。



『氷点』の辻口家は見本林のすぐそばにあり、子どもたちの遊び場であるという描写がありました。現代では少し想像しづらいほど、静かで、暗い森が続いています。曇り空がまた、不気味さを強調するような。



でもこんな道をランニングしたり、犬を散歩させたり、語らいながら歩いたり、それはそれで気持ちよさそう。



陽子は見本林をつっきったところにある美瑛川のほとりで、自殺をはかりました。
近くまでは行けませんでしたが、人気も鳥の声もなく、何かを連れていくような川音だけが響いていました。


旭川駅に戻り、次なる目的地へ。

 

旭川最古の喫茶店《ちろる》
新千歳空港駅から乗った快速エアポート内の雑誌に載っていました。
『氷点』の中にも出てくる喫茶店です。
“ちろる”の主人は詩人であった。その詩人らしい雰囲気が店にもただよっていた。少しこんではいたが、店の中はいかにも静かであった。夏枝は大きな棕櫚のかげのテーブルについた。


本格的なコーヒーです。ブラックで呑めました。



チーズケーキは濃厚かつさっぱりしていておいしかったです。

繁華街をブラブラして本やら夕食やらを買いこんでホテルに戻りました。
今日はゆっくり温泉に浸かり、部屋で夕食。



ホテルは繁華街にあるので、道すがら旭川ラーメンや魚介のおいしそうなお店の看板も目にしたのですが、何せケチケチ旅行なので、ちまたで噂のセイコーマート。かつ丼がおいしいと評判だそうですが、ちょっと重そうだったので豚丼にしました。でもコンビニで買ったとは思えないくらい、たれがおいしくて充実しています。噂になるのも納得です。
自転車のこぎ疲れと歩き疲れの足に休足時間を貼って、床に着きました。

明日は動物園です。

北海道2日目。

今日は、20年以上前から、何としても行きたかったあの場所へ。

雨予報の天候が心配でしたが、きれいな快晴。



旭川駅から富良野線へ乗ります。



うおお! 旭川駅ではICOCAが使えない! 昨日チャージしたのに…(確か以前もこんなことが)。

車内にはすでに観光客の姿が。過半数が美瑛駅で降りていきました。

我が目的地はその先の上富良野駅。ちなみに降りたのは私を含めふたりだけでした。しかも定期券だったので地元の方のもよう。

 

ラベンダーで有名な上富良野ですが、さすがにこの時期、駅前は閑散としています。

まずはレンタサイクル。HPで見た自転車店へ。電話で予約するつもりがすっかり忘れていました。大丈夫だろうか。看板も何もない…そもそも営業しているのだろうか?
ドアを開けて声をかけると、しばらくしてお店の方が出てこられました。
「自転車借りたいのですが」「はい、普通自転車になります」「あれ、電動はないのですか?(店内の広告には電動\400の記載が…)」「シーズンではないので、充電できてないです」

(;゚Д゚)

やはり電話しておくのだった…。

やむなく用意してくださった普通自転車(ママチャリ)を借りる。目的地を言うと道を教えてくれました。長沼自転車さん、シーズンオフに突然押しかけた迷惑な観光客にも親切にしてくださり本当にありがとうございます。

走り出したはいいのですが…。

暑い。

連休中の旭川は曇りや雨予報だったため、帽子を持ってこなかったのです。正確には家を出る直前、タンスの中から取り出すとくちゃくちゃになっていたため、さすがにこれは使えんと置いてきたのです。昨日イオンで買おうか買うまいか迷ったのですが、疲労困憊の頭で「ま、いっか」と納得しなぜか寒さ対策の靴下だけ買って出たのです。

時刻はまだ9時過ぎというのに、めっちゃ暑い。
ここは北海道ではないのか…。
日焼けどめもホテルに置いてきてしまいました。コンビニも見当たりません。
なぜ春先の北海道で日焼けせねばならないのか…。

己の愚かさを呪いつつ、最初の目的地へ到着。



上富良野町郷土館。入場無料!
上富良野の開拓の歴史、農耕具の展示、そして十勝岳爆発と復興の資料が展示されています。
噴火の際に折れ曲がった線路も展示されていました。他に客もいなかったので、十勝岳爆発のビデオに見入ってしまいました。
大正15年5月24日。上富良野を襲った泥流により、多数の命が失われ、そして入植から30年、開拓者たちの苦難と努力の結晶である田畑を呑みこみ壊滅させました。

なぜ、上富良野を訪れたのか。

それは20数年前、一冊の本に出会ったことから始まります。

三浦綾子著『泥流地帯』。思春期の深い闇に迷っていた私に、この本は多くのことを教え、導いてくれました。
この本に出会わなければ、今の自分は存在しなかった。
そう言い切れる生涯の一冊を、13歳の私は見つけることができました。

耕作と拓一が見たであろう十勝岳を、上富良野の風景を、一度この目に焼きつけておきたかったのです。

郷土館を出て、次に向かったのは上富良野神社。



拓一が深雪楼で働く福子の客を相手に相撲を取った場所です。福子を思い土俵に立った拓一の心を思うと、胸が詰まります。



桜とつつじの参道らしいのですが、桜は散っておりつつじは咲いていませんでした。おかしいな、GWの北海道は桜が咲いているらしいのだが…。

神社を出て、今度は駅に戻って反対方向へ。



山稜が際立っています。時折自転車を止めて、見入ってしまいました。

しかし暑い、絶対焼ける。
思ったよりも交通量は少ない。これならレンタカーでも運転できたかな…。

水分補給しながら自転車を走らせること十数分。
到着しました。



ガイドブックのどこにも乗っていない…。



草分神社。鳥居の前は今日の相棒。

の、横にある、この石碑。



心が痛むあの場面が、刻まれています。

この地は三重団体が入植した土地。つまり、泥流に埋もれた田畑を再興させるために拓一・耕作兄弟が移住した場所でもあります。

 

三重団体の勤勉さは作品の中でも描かれていますが、中でも印象を残すのが、泥流地帯の再興を信じ復興に尽くした吉田貞次郎村長。

その生涯は、このすぐそばにある上富良野開拓記念館で知ることができます。



実はこの記念館、HPでも郷土館に置いてあったパンフレットでも、祝日は休館となっていたのです。なんだそりゃ! GWだぞ!
しかし吉田村長宅を復元した建物とあって、外観だけ見てみようと近寄ると…。

開いてる?

誰もいない。しかし入口は開いている。勝手に入って靴を脱いでいると、外から管理人さんらしきおじさんがやってきて、あわてて電源のスイッチを入れてくれました。
しかしどうやら主電源が落ちているらしく、入らない。「あれ? あれ? おかしいな」と一生懸命設定してくれています。何やら申しわけない…。
電源が入らないことには映像資料も見られないので、やむなく室内の展示品を見ていると、ようやくあかりがつきました。
せっかくつけてくれたビデオをじっくり鑑賞しているそばで、窓から吹きこんだ桜の花びらを「ごめんねー」と掃除してくれるおじさん。何やら申しわけない…。

こんなに早く桜が咲いて散るのははじめてだそうです。
おじさんは地域の人で、やはり両親が泥流の被害に遭ったと教えてくれました。

記念館のそばを線路が走っています。ここを泥流が襲い、レールを捻じ曲げました。そして福子を連れた節子が一番列車の窓から振った白いハンケチを耕作たちが目にしたのも、この場所だったでしょう。

 

青空と白い残雪。この美しい十勝岳が怒り狂ったその時の姿を、思い描くことすら困難なほどの穏やかな春の風景です。

さて、そろそろお腹がすいてくる頃合いです。

記念館のそばのベンチでしばし考え、お昼ごはんはオムカレーにしようと決めました。
上富良野ポークを使ったソーセージなどを販売している《きゃらうぇい》の上にあるレストランの名物メニューです。

自転車で駅付近に戻り、目的地をめざすと…。
坂の上でした。ぜいぜい。
汗だくで入店し、オムカレーを注文。



ふらのの文字がかわいい。
カレーも辛すぎず、卵がマイルドで、じゃがいもが乗っているのもうれしい。
女性に人気もうなずける。

ゆっくり味わいながら、そういえば帰りの電車は何時だったかいなと調べると…。

12時ちょうど発。ちなみにその次は14時。
(;゚Д゚)
すでに時刻は11時40分近くなっています。
いかーーーん!
あわてて残りをかきこみ、店を出ました。自転車も返さなければいけません。
猛烈な勢いでペダルをこぎました。
が、帰りは下り坂。
必死で走って10分の見込みでしたが、5分で到着しました…。ほっ。

午後は旭川の散策です。










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