北海道2日目。
今日は、20年以上前から、何としても行きたかったあの場所へ。
雨予報の天候が心配でしたが、きれいな快晴。
旭川駅から富良野線へ乗ります。
うおお! 旭川駅ではICOCAが使えない! 昨日チャージしたのに…(確か以前もこんなことが)。
車内にはすでに観光客の姿が。過半数が美瑛駅で降りていきました。
我が目的地はその先の上富良野駅。ちなみに降りたのは私を含めふたりだけでした。しかも定期券だったので地元の方のもよう。
ラベンダーで有名な上富良野ですが、さすがにこの時期、駅前は閑散としています。
まずはレンタサイクル。HPで見た自転車店へ。電話で予約するつもりがすっかり忘れていました。大丈夫だろうか。看板も何もない…そもそも営業しているのだろうか?
ドアを開けて声をかけると、しばらくしてお店の方が出てこられました。
「自転車借りたいのですが」「はい、普通自転車になります」「あれ、電動はないのですか?(店内の広告には電動\400の記載が…)」「シーズンではないので、充電できてないです」
(;゚Д゚)
やはり電話しておくのだった…。
やむなく用意してくださった普通自転車(ママチャリ)を借りる。目的地を言うと道を教えてくれました。長沼自転車さん、シーズンオフに突然押しかけた迷惑な観光客にも親切にしてくださり本当にありがとうございます。
走り出したはいいのですが…。
暑い。
連休中の旭川は曇りや雨予報だったため、帽子を持ってこなかったのです。正確には家を出る直前、タンスの中から取り出すとくちゃくちゃになっていたため、さすがにこれは使えんと置いてきたのです。昨日イオンで買おうか買うまいか迷ったのですが、疲労困憊の頭で「ま、いっか」と納得しなぜか寒さ対策の靴下だけ買って出たのです。
時刻はまだ9時過ぎというのに、めっちゃ暑い。
ここは北海道ではないのか…。
日焼けどめもホテルに置いてきてしまいました。コンビニも見当たりません。
なぜ春先の北海道で日焼けせねばならないのか…。
己の愚かさを呪いつつ、最初の目的地へ到着。
上富良野町郷土館。入場無料!
上富良野の開拓の歴史、農耕具の展示、そして十勝岳爆発と復興の資料が展示されています。
噴火の際に折れ曲がった線路も展示されていました。他に客もいなかったので、十勝岳爆発のビデオに見入ってしまいました。
大正15年5月24日。上富良野を襲った泥流により、多数の命が失われ、そして入植から30年、開拓者たちの苦難と努力の結晶である田畑を呑みこみ壊滅させました。
なぜ、上富良野を訪れたのか。
それは20数年前、一冊の本に出会ったことから始まります。
三浦綾子著『泥流地帯』。思春期の深い闇に迷っていた私に、この本は多くのことを教え、導いてくれました。
この本に出会わなければ、今の自分は存在しなかった。
そう言い切れる生涯の一冊を、13歳の私は見つけることができました。
耕作と拓一が見たであろう十勝岳を、上富良野の風景を、一度この目に焼きつけておきたかったのです。
郷土館を出て、次に向かったのは上富良野神社。
拓一が深雪楼で働く福子の客を相手に相撲を取った場所です。福子を思い土俵に立った拓一の心を思うと、胸が詰まります。
桜とつつじの参道らしいのですが、桜は散っておりつつじは咲いていませんでした。おかしいな、GWの北海道は桜が咲いているらしいのだが…。
神社を出て、今度は駅に戻って反対方向へ。
山稜が際立っています。時折自転車を止めて、見入ってしまいました。
しかし暑い、絶対焼ける。
思ったよりも交通量は少ない。これならレンタカーでも運転できたかな…。
水分補給しながら自転車を走らせること十数分。
到着しました。
ガイドブックのどこにも乗っていない…。
草分神社。鳥居の前は今日の相棒。
の、横にある、この石碑。
心が痛むあの場面が、刻まれています。
この地は三重団体が入植した土地。つまり、泥流に埋もれた田畑を再興させるために拓一・耕作兄弟が移住した場所でもあります。
三重団体の勤勉さは作品の中でも描かれていますが、中でも印象を残すのが、泥流地帯の再興を信じ復興に尽くした吉田貞次郎村長。
その生涯は、このすぐそばにある上富良野開拓記念館で知ることができます。
実はこの記念館、HPでも郷土館に置いてあったパンフレットでも、祝日は休館となっていたのです。なんだそりゃ! GWだぞ!
しかし吉田村長宅を復元した建物とあって、外観だけ見てみようと近寄ると…。
開いてる?
誰もいない。しかし入口は開いている。勝手に入って靴を脱いでいると、外から管理人さんらしきおじさんがやってきて、あわてて電源のスイッチを入れてくれました。
しかしどうやら主電源が落ちているらしく、入らない。「あれ? あれ? おかしいな」と一生懸命設定してくれています。何やら申しわけない…。
電源が入らないことには映像資料も見られないので、やむなく室内の展示品を見ていると、ようやくあかりがつきました。
せっかくつけてくれたビデオをじっくり鑑賞しているそばで、窓から吹きこんだ桜の花びらを「ごめんねー」と掃除してくれるおじさん。何やら申しわけない…。
こんなに早く桜が咲いて散るのははじめてだそうです。
おじさんは地域の人で、やはり両親が泥流の被害に遭ったと教えてくれました。
記念館のそばを線路が走っています。ここを泥流が襲い、レールを捻じ曲げました。そして福子を連れた節子が一番列車の窓から振った白いハンケチを耕作たちが目にしたのも、この場所だったでしょう。
青空と白い残雪。この美しい十勝岳が怒り狂ったその時の姿を、思い描くことすら困難なほどの穏やかな春の風景です。
さて、そろそろお腹がすいてくる頃合いです。
記念館のそばのベンチでしばし考え、お昼ごはんはオムカレーにしようと決めました。
上富良野ポークを使ったソーセージなどを販売している
《きゃらうぇい》の上にあるレストランの名物メニューです。
自転車で駅付近に戻り、目的地をめざすと…。
坂の上でした。ぜいぜい。
汗だくで入店し、オムカレーを注文。
ふらのの文字がかわいい。
カレーも辛すぎず、卵がマイルドで、じゃがいもが乗っているのもうれしい。
女性に人気もうなずける。
ゆっくり味わいながら、そういえば帰りの電車は何時だったかいなと調べると…。
12時ちょうど発。ちなみにその次は14時。
(;゚Д゚)
すでに時刻は11時40分近くなっています。
いかーーーん!
あわてて残りをかきこみ、店を出ました。自転車も返さなければいけません。
猛烈な勢いでペダルをこぎました。
が、帰りは下り坂。
必死で走って10分の見込みでしたが、5分で到着しました…。ほっ。
午後は旭川の散策です。
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