MENU | MENU | MENU | MENU | MENU | MENU |
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
10月15日。
『THE WINDS OF GOD』という舞台を観に行きました。
俳優の今井雅之氏が、1988年から始めた公演です。
それは1994年夏のこと。
連続ドラマを観ていて、ある脇役に釘づけになりました。
演技がうまいという以前に、全身から発せられるパワーに圧倒されたのです。
《誰なんだろう、この人!?》
それが今井雅之でした。
翌1995年。
終戦50周年の夏、今井雅之が主演をつとめるというので、ある映画を観に行きました。
それが『Winds Of God』。
俳優の彼が脚本を書いたというのも意外ですが、
なにより驚いたのが、その題材が特攻隊であったということです。
《現代の漫才コンビが交通事故に遭う。目覚めた時、時代は1945年8月だった・・・》
パンフレットや原作本を読むうちに、
今井氏が特攻隊を描いたこの作品に、並々ならぬ思いを注いでいることを知りました。
《出撃を待つ特攻隊員とぶつかりながら、二人は平和の意味を考えていく》
はじめて舞台を観たのは、1999年。
そのあと帰らなければならないことも忘れて、号泣しました。
かつて、特攻隊のお話は、「死んでいく」若者たちの悲劇だった。
でも、この舞台は違うのです。
「生きていた」彼らの物語なのです。
死を迎える日まで、死んでいくその瞬間まで、あるいは生まれ変わったその場所で。
《平和って、いったい、なんなんだろうね・・・》
今井氏は、今年でこの舞台に幕を下ろすことを決めたそうです。
肉体的負担など、いろいろと理由はあると思いますが、
やはり内容と現実のギャップがいちばんの原因なのではないでしょうか。
主人公は終戦の年を知りません。原爆の日も、PKOやNATOの意味も知りません。
彼らは言います。「僕たちの時代は、本当に平和だったんだ」
確かに、このお芝居が書かれた当時はそうでした。
戦争は遠い昔話、平和すぎる世界は安穏としていました。
でも、18年の間に、世界は転変しています。
戦争はすぐそこまで来ています。
主人公の台詞が、現実味を帯びなくなってきているのです。
今井氏は終演後、こう叫びます。「No more war!」
アメリカでも、ロンドンでも、ハワイでも、同じ言葉を叫び続けてきました。
なのに世界は、WINDSのメッセージから乖離し続ける。
平和という意味を、戦時中にある主人公ではなく、
現代に生きる自分たちが、
真剣に考えなくてはならない時代なのではないでしょうか。