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舞台は北欧ですが、たとえば『かもめ食堂』のような、インテリア雑誌に載っているような雰囲気とはほど遠い、つねに厚い雲に覆われた薄暗い空の下を歩くような陰惨な影を孕むサスペンス映画です。
主人公は実業家の違法行為を暴露し名誉棄損の有罪判決を受けたジャーナリストのミカエル。40年前の少女失踪事件の調査を依頼された彼は、全身タトゥーと鼻ピアスという奇抜な外見をした天才ハッカーのリスベットの協力を得て、謎に挑む。
原作は大ヒットした推理小説3部作。しかし、ミカエルとリスベットの探偵コンビが活躍するただの謎解き物語ではなく、リスベットには明かされていない過去があり、時折フラッシュバックで差し挟まれる追憶と母の言葉からなんとなくその凄惨な体験に思い至ることができるものの、詳細は続編までのお預けの模様です。
大家族、孤島、地下室、聖書、暗号。ミステリには欠かせない要素を贅沢に盛り込んで、徐々に謎解きを展開しつつ、謎めいた魅力を放つリスベットとそれに惹かれていくミカエルとの関係にも目が離せず、北欧というイメージを覆す残酷なレイプシーンや遺体写真の数々には思わず目をそむけてしまうとはいえ、150分超の長丁場ながら飽きさせない作りになっています。
また、リスベットという今までにない魅力的なヒロイン(と称して良いものか)を演じた女優さんの役作りは称賛に値すると思います。
原作は未読ですが、おそらく質を損なっていない仕上がりなのではないでしょうか。
評価:★★★★☆(3.3)
私はおのずから進んでホラー映画を観たことがありません。ゆえに、これはヤスオー選の映画なわけで。
ホラーが嫌いなわけではありません。むしろ、小学生の頃は進んで怖い話や怖い写真を見ては「わー。きゃー」言って楽しんでいたわけで。
でもなぜか、遊園地でホラーハウスに入ると、友達の中で「あなたはいちばんビビリです」と診断されるわけで。
そんな私がこの作品を観たら、
「なんじゃあこりゃあああ!」
松田優作になりました。
どこにも「実話」と謳われていないけれど実話なのかな、と思ってしまう「素人がハンディカメラで怖い映像撮りました」の手法(結局、実話ではありません)で、お話は進みます。
ただの偏見かもしれませんが、男女が一緒にいて、最初に怖い体験をするのはたいてい女性のほうなのですよね。男は半信半疑でちょっとおもしろがりながら、怖がる彼女を抱きよせて慰める。なぜなのでしょう。女性の方が敏感なのか、憑かれやすいのか、心弱いからなのか。
で、例によってこの作品でも、ちょっとおもしろがっていた男はエライ目に遭います。
しかし謎はなにも解けていません。肝心の正体も、視点が「部屋に設置された定点カメラ」のおかげで、なにも映っていません。屋根裏の焦げた写真は? 人間のものとは思えない足あとは? 82分のうちおよそ70分は眠気と闘っていて、おいおいあと10分で全部解決するのかよと思っていたら案の定「ご想像におまかせします」でした。予告で紹介されていた米国公開時の客席の様子から、どれだけ恐怖を味わわせてくれるのかと思っていたら・・・これではいちばんビビリの称号も返上しないといけません。アメリカ人は心霊現象やホラー映像に対して恐怖慣れしていないのでしょうかね。これなら、『リング』でテレビから出てきた貞子のほうがよっぽど怖かったのですが(映画は観ていないがそのワンシーンを目にしてしまい観る勇気が失せた)。
要するに、二人暮らしなんだから、もっとこぢんまりした家に住めよ。子どもができてから引っ越しすりゃええやん。としか思いませんでした。
評価:★★★☆☆(2.7)
できれば、今年の箱根駅伝を観る前に観ておきたかったですね。
原作がとてもよかったので、映画も楽しみにしていました。
あれだけのボリュームがあるお話をどのように2時間でまとめるのかと思っていたら、ハイジとカケル中心で他のメンバーのエピソードは大かた削られていました。ちょっとしたシーンでうまく個性を生かそうとしていましたが、双子やニコちゃん先輩はほぼ空気でしたね・・・外見をのぞけばムサも・・・。
カケルを演じた林遣都の身体つきが長距離ランナーそのものだったのには驚きました。走り姿も美しく、「強さ」を感じました。寛政大メンバーは皆陸上部のような過酷なトレーニングを積んで撮影に挑んだとのことで、走っている姿はそれぞれ本物のランナーのようでした。まあ、これが脇に至るまで徹底していれば言うことはなかったのですがね・・・渡辺大のオールバックの髪型といいごついガタイといいいかにもスポーツ漫画に登場するライバル風で、リアリティを追及している割にはちょっと違和感でした。
やや影の薄い他メンバーの中では、ユキが印象に残りました。最初から佇まいに華があるというか、集団の中でもなぜか目立って見えたのです。山下りをするユキが風の中でカケルの世界を体感し、「おまえはずいぶんさびしい場所にいるんだね」とつぶやく場面がとても好きなのですが、さらりと流されていて少し残念でした。よくよく調べたら、『お金がない!』に出ていた子役ではないですか! 大きくなって、まあ・・・。
ベタなのですが、神童と母親の電話のシーンは泣けました;;
実際の箱根路では撮影できなかったそうなのですが、沿道の人ごみ、歓声、空撮や実況などはとても臨場感がありました。スタッフの箱根、そして原作に対する愛情とリスペクトを感じました。
大げさすぎるラストも、原作では完璧すぎて少し感情移入しづらかったハイジの人間くささみたいなものが感じられて、良かったです。小出恵介もずいぶん上手くなったな~。
やはり、箱根は最高!
評価:★★★★☆(3.2)
そろそろ素顔を忘れてしまいそうなジョニー・デップです。
チョコレートの海を渡ってお菓子の家にたどりつきたかった幼少時代。
そんな夢をかなえてくれる、不思議なお話。
家が貧しくチョコレートは年に一度の誕生日だけというチャーリー少年は、奇跡的にチョコレート工場の経営者ウィリー・ウォンカの招待状を受けとり、工場見学に行くことになる。
同行者は、同じく奇跡を引き当てた4人の子ども。食いしんぼうであったり、我儘であったり、自信家であったり、大人を馬鹿にしていたり、素直なチャーリーとは少し異なる模様。案の定、彼ら彼女らはそれぞれルールから逸脱し、工場を出ていかざるをえなくなります。
最後に残ったのはチャーリー。生き残りにはウィリー・ウォンカからとびきりのプレゼントがありました。
『アリス・イン・ワンダーランド』と同じく、色彩豊かで一瞬にして絵本の中に連れていかれたような錯覚を憶えます。お菓子でできた庭、働く小人、空飛ぶエレベーター。動物とダンスと音楽。昔あこがれたそのままの世界が広がります。罪を犯した者が裁かれ貧しい主人公が最後に富と幸せを手にするところまで同じ。絵本と違うのは、子どもだけでなく、大人=ウィリー・ウォンカも屈折した子ども時代の呪縛から解き放たれるラストです。大人も子どもも、楽しい絵本を閉じたあとのように心があたたかくなれる作品です。
チャーリーが当たり籤を買うのは拾ったお金ではなく祖父からお金をもらった時で良かったと思うし、4人の子どもは結局改心できたのかどうかわからないし、何かと気になるところはあるにはあるのですが、それをのぞけばまあまあ面白かったと思います。
やっぱり、チョコレートが食べたくなる衝動には勝てませんね~。
評価:★★★☆☆
映画館で予告を観てから、ずっと気になっていた作品。
文明の崩壊した近未来、ある一冊の本を探し求める独裁者と、その本の持ち主で、30年旅をし続けている男との壮絶な闘い。
なんとなく、興味をそそられるイントロダクションなわけですが。
こういった謎を最初に呈示するサスペンスは、概して風呂敷を広げただけで終わることが多いので、そこがひっかかるところでした。
で、結果的には、風呂敷系だったかな・・・と、思います。
大きな戦争が起こったらしいこと、人々が秩序を失ってしまったことなどをあえて説明せず、台詞のない状態と見事なCGで観ている者に現状を伝えるオープニング、キーとなる本の真の中身には、「オッ」と思わされたものの、基本的には娯楽作らしく、その場の興味を惹くために展開が進んでいくようなご都合主義でまとまってしまいました。
他にもいろいろツッコミどころが多く(例:ラストですぐに目的地に到着しているイーライは30年何をしていたのか?)ちょっと肩すかしをくらわされたような作品でした。
評価:★★★☆☆