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舞台は70年代の北九州。頭の中は終始おっぱいでいっぱいのアホな男子中学生ども。90年代ですら公立中学の教室の壁の隅っこには卑猥な落書きがされていました(ウチの学校だけ・・・ではないはず・・・たぶん)。ネットどころか、自分の部屋にテレビすらなかった彼らの妄想がひたすら爆走の一途をたどるのも、無理はないのかもしれません。
私は女だし、『11PM』という番組すら知らなかったし、公園に落ちていたエロ本の何やら隠微な空気に大人への階段を垣間見た程度ですから、「おっぱい見たさにバレーを頑張る」彼らより、彼らを「アホだろ」と見物していた部員の幼なじみの理恵にしか感情移入はできません。あの頃は、男子が子どもっぽくて馬鹿に見えてしょうがない時期なんでしょうね。でも、一生懸命頑張る姿にはコロッと態度を変えてしまう。このあたりの微妙な揺れの捉えどころが秀逸でした。
教師嫌いですから、美香子にも当然、思い入れはありません。が、変に美香子を情熱的な熱血教師として描かず、過去の葛藤を抱えるあまり優柔不断に陥ってしまう凡庸な人間として設定したことは良かったと思います。
城と父親の関係や、平田と理恵の発展性など、もう少しふくらませたら連ドラにもできそうですが、ひたすらおっぱいと部活動の一点に絞って短くまとめたのが、逆に良かったと思います。脚本は岡田惠和だったのですね。
部員たちはいかにも昔の中学生風なルックスで、背景になじんでいました。最近のイチオシ象二郎青木崇高も個性が活かされていました。 綾瀬はるかはかわいくて好きな女優さんなのですが、この役にはあまり合っていなかったかな・・・。でも綾瀬はるかが「おっぱい」と連呼するところは意外性があり、当たりだったのかもしれません。
評価:★★★☆☆
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
舞台設定が九州なのに登場人物が全員標準語でまったく九州に感じなかったのと、70年代のヒット曲らしき音楽がしつこく流れるのが少しウザかったぐらいで、中学生の「性と青春」をきちんとさわやかに描けているなと思いました。ネットで性器まで見ることのできる今になって思えば、「おっぱいを見る」なんてのは本当にしょうもないことなんですが、自分が中学生だった頃に同じ立場だったらと考えると、ひたむきにバレーに打ち込む登場人物達に素直に感情移入できました。
ストーリー展開はまさしく凡にして庸ですが、原田先生のエピソードはなかなか良かったですし、中学生達がわざわざ夜中に起きてこっそり見た「11PM」が間が悪く釣り特集だったのも、自分も同じ頃に同じような経験を何回もしたのでかなり面白かったです。ヒロインの綾瀬はるかも演技力は「まるでない」と言い切れますが、この演技力でもドラマや映画にそれなりに出ているのは、やはり他の女優にはない彼女特有の魅力があるからでしょう。それはこの映画を見ていたら何となくわかります。
ただ、青春映画としての出来は及第点としても、あくまでもバレー部の中学生達を描いている映画なんですから、もっとスポーツの感動も欲しかったですね。かんじんのバレーボールの試合の場面はスローモーションでごまかしてばかりでまったく迫力がなかったですし。バレーボールに打ち込む目的が「おっぱい」でも、バレーボールが好きになったり上手くなったりして、それによって生まれる奇跡に近い何かをちゃんと納得できるような形で描けてたら、もっと良い映画になってたのではないでしょうか。
僕の淡い期待もむなしく、綾瀬はるかはもちろんおっぱいは見せていませんでしたが、もうちょっとキワどいシーンはあっても良かったのではないかと思いますね。綾瀬はるかを抜きにしても、「性と青春」がテーマのわりに、パンチラシーンすら一切ない、見事に今の時代に合った「好感度」狙いの完全に去勢された映画です。「パンツの穴」に代表されるように昔のこのテの映画はもうちょっと爽やかなエロシーンがあったんですがね。
評価(★×10で満点):★★★★★★★
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
簡単に言うと薬物依存でリハビリ施設を転々としている問題児の妹キムが、優等生の姉レイチェルの結婚式(この結婚式は家で行う)の2日前に一時退院して家に帰ってくる話です。ストーリーに光るものがあるわけでもなく、特に感動したわけでもないんですが、いい映画だと思います。いい映画なのにそんなに評価が高くないのは、おそらく結婚式のシーンの尺が非常に長いからでしょう。この映画は結婚式までは家族間に不穏な空気が漂っていて面白いですが、結婚式本番は直前に姉妹が唐突に仲直りして普通にうまくいくのでまったく面白くないうえに、尺まで長いですからね。僕はDVDのタイムバーを何回も確認しながらイライラして見てました。どうしてストーリー上特に盛り上がりのないここを長くしたのかはよく分かりませんが、この映画の非常に大きなマイナスだと思いますね。
この映画の実質的な主人公のキムは、空気はちゃんと読めているのに、気性の激しさと建前が嫌いなところから、あえて空気の読めない行動をしてしまう人間です。本質的に悪い人間ではありません。ヤク中だった自分の運転により弟を死なせたことをずっと気にしています。死んだ弟を神に例えて、いつも神に許しを乞うています。そして結婚式前にどうして弟のお守りを自分に任せたのかと母親に感情をぶつけるのですが、母親はおそらく本当は自分が悪いとわかっているからか動揺してキムを殴ります。この母親はちなみに今は離婚していて家族とは離れて別の男と暮らしているんですが、その理由も何となくわかりました。それまで映画を観ていた感じではどうもキムは弟だけでなく結果的に家族から離れた母親のことも気にかけていたようで、どうなることやらと思ったのですが、何か殴り合ってふっ切れた感じで姉とも和解し、結婚式も普通にこなし、弟の写真を持ってまた施設に戻ります。このキムと母、弟とのそれぞれの関係の描き方はなかなか良かったのに、何度も言いますがつくづく結婚式のシーンの尺の長さが悔まれます。
キムを演じたアン・ハサウェイがアカデミー主演女優賞にノミネートされたことが話題になってましたが、そこまで上手かったですかね?まあ良かったは良かったですし、「プラダを着た悪魔」の時の演技よりは上手くなったと思いますが、僕は別れた母親を演じた人の方が上手だったと思います。まあこの人はババアなので、キャリアの差があるので同じ土俵では比べられませんが。
また、この映画は全編通じて結婚式がストーリー進行の中心なんですが、冠婚葬祭の身内同士のうっとうしい雰囲気と直前までそこになじめないキムの居心地の悪さが非常によく伝わってきてその点は良かったですね。冠婚葬祭嫌いの僕はキムの様子を見てるだけでしんどかったですから。僕はこういう結婚式をする家ではとうてい上手く生きていけそうにありません。たぶん結婚式も出ないと思います。その点キムは僕よりもずっと大人ですね。
評価(★×10で満点):★★★★★★
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
今流行りの自然体を強調したのんびりとした映画ですね。同じ路線の演出の映画で「かもめ食堂」という映画を見た時は、「ああこういう映画もいいなあ」と思いましたが、僕は基本せっかちなので、もうこのテの映画はあまり好きではありません。おまけにこの映画は尺も長くて、全体的にチンタラしたムードを感じてしまいます。決して退屈ではないので、まあ悪い映画ではないんでしょうけど、別に感動もしませんでしたし、どうしてこの映画が巷の評判が良いのかよくわかりませんでした。
簡単に言うと、主人公の完璧主義の女性が、子どもがきちんと生まれなかったことから人生の計算が狂ってしまって、ちょっと精神状態がおかしくなってしまうのですが、夫に支えられて立ち直るという夫婦愛を描いた映画です。夫の方は昔自分の父親が目の前で自殺したとか何とかの過去の大きな悲しみを背負った人間という設定なので、実に飄々としていて、必要以上に他者の心に踏み込まず、他者との距離をつかず離れず一定の間隔に保ちながら周りの出来事を客観的に受け止めるというはっきり言って僕の嫌いなタイプの人間なのですが、この人が精神が壊れていて感情がむき出しになっている妻の木村多江を包み込むみたいな感じで支えます。
この映画で感動するとしたらここしかないので、たぶん夫のリリー・フランキーの愛情や温かさに感動すればいいんでしょうが、木村多江みたいなきれいな女性が奥さんなら、たとえその人がちょっと壊れていったとしても、僕でも逃げないしずっと一緒にいて支えてあげますけどね。リリー・フランキーレベルのルックスで定職のない男なら、別れて次にどんな女性と結婚できるかを考えた場合、支えることそのものが打算とも考えられます。だから一緒にいて支えることで感動するのはおかしいような気がしますけどね。
ちなみにこの映画は夫婦の10年間を描いていつつ、その10年間で実際に起こった池田小の事件などの有名な事件を、法廷画家の夫の目から描いているんですが、それと本筋の夫婦愛の話のカラミがいまいちよく分かりませんでした。夫は法廷にいるんですがこの夫は特に事件についてああだこうだ言うわけではないですし、妻なんかまったく関与しません。つまりこの映画の監督は「社会の事件に関心を持たず、夫婦はその二人の空間だけで生きたらいい」とでも言いたいのでしょうか。少し解釈が難しかったですね。
評価(★×10で満点):★★★★
原作を読んだ時、「これはスゴイ!」と感動しました。
絵柄はなんとゆーか、個性的ですし、テーマもギャンブルという、あまり興味の持てないジャンルだったので敬遠していたのですが、読んでみたが最後、ストーリー展開が斬新で一気に惹きこまれました。
しかし、おもしろければ人気が出る→人気が出れば連載が続く→ネタ切れに陥る、のが連載漫画の宿命。とくにカイジのようなあっと驚く逆転一発ネタものは、続けば続くほど苦しくなるのが定番。第1部のおもしろさはカイジの言葉を借りれば「悪魔的」なのですが、第2部から雲行きが怪しくなり、第3部では一夜の麻雀勝負に13巻費やすという暴挙に躍り出たため、もう読むことはないと思われます。
この映画は作品の最高潮(早)である第1部と第2部序盤のイイトコ全部を盛り込んだ贅沢な作りとなっております。
まず、ギャンブル船エスポワールで行われる「限定ジャンケン」。誰でも知っている至極簡単なゲームに、あらゆる心理戦の醍醐味が詰まっていることに驚きました。映画ではかなりスピーディですが、これは尺があるため仕方ないかもしれません。原作はカイジがじっくり策をめぐらせる過程が描かれ、バランス理論の洞察力には目からウロコでした。
敗れたカイジが労働に従事する地下施設の登場は、原作と順序が逆なのですが、カイジを語る上では欠かせない場面があります。それは、給料日にカイジが誘惑に負けて缶ビールを呑んでしまうところ。映画でもカイジ役の藤原竜也が本当にビール断ちをして撮影に臨んだそうですが、本当においしそうなんですよね・・・。
カイジを蛇の道に踏み込ませようとする班長役に松尾スズキが配されていますが、これはベストチョイス。本当にイヤラシくて、いい感じです。チョイ役なのがもったいなさすぎ。チンチロリン対決が観たかったなあ。
ひとつ不満を言うならば、ビールがスーパードライでなく一番搾りだったこと。スポンサーの関係でしょうが、あのシーンのせいで我が家の冷蔵庫に毎日スーパードライが入っていたことを思えば、やはりあそこはスーパードライにしてほしかった!
カイジは地上に出ることに成功しますが、大金を得るためには高層ビルでの鉄骨渡りに挑戦しなければならない。一歩踏み間違えれば即死のブレイブメンロード。ここでなんと松山ケンイチ登場。豪華すぎます。
十人の挑戦者の中、唯一生き残ったカイジ。あたら命を散らした仲間たちのため、カイジは企画者である利根川に勝負を申し込みます。そのゲームはEカード。組織きっての切れ者である皇帝利根川に、ダメ男の奴隷カイジが最後の心理戦に挑みます。
利根川役は香川照之。見た目は漫画のイメージと違いますが、互いに手の内を読み合うカードゲームで無表情を貫きながらも、際限なく葛藤をくり返す独白は、動きの少ないクライマックスにおいて、観客に最高の盛り上がりを与えました。やはり鉄板土下座はなかったですね。無理ないか。
勝負に勝ち大金を手にしたカイジ。でも最後に笑うのは・・・。
カイジをギャンブル船に押し込んだ借金取りの社長、漫画ではうだつのあがらない風体の男でしたが、映画では天海祐希が演じています。男くさい画面に華を添えてくれました。痛快です。
現代風に軽くて、しかし勝負をかける時には変貌する藤原竜也。また同じ配役での続編が観たいです。
評価:★★★★☆(3.8)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
僕は原作が大好きで、この映画は原作の一番の良さである心理戦の駆け引きの雰囲気はあまり出せていないんですが、あまりそういうところにこだわりすぎると動きがなくなってしまい退屈な映画になってしまいそうなので、映画としてはこれぐらいでちょうど良いのではないでしょうか。ストーリーも原作を超圧縮しているため流れがかなり異なっていますが、特に違和感はなかったです。エスポワールだけ少し引っかかりましたけど。原作のカイジは裏切られるんですが、映画のカイジは仲間のために自らも敗者となります。カイジは筋は通す男ですが、ここまで献身の精神があるようには見えないですからね。
あと、カイジが地下の収容施設に入れられた時に、班長大槻に最初にプレゼントされたビールのサイズが標準サイズだったのは我慢できないですね。あれはミニ缶だからこそ班長の「カイジをハメてやろう」という悪意がギラギラしていて良かったんですよ。このへんは特に原作と変える必要はまったくないところですから、あえて変えているのは残念です。逆に、利根川の焼き土下座やカイジの耳を切るシーンは、原作ではかなりのインパクトがあるんですが、娯楽映画としてこのシーンを入れるのは難しいんでしょうね。
原作の金融屋の遠藤を女性の天海祐希が演じたのは僕のなかではかなりのヒットです。むしろ原作より良いのではないでしょうか。天海祐希は全然好きじゃなかったのですが、映画を見た後は好きになったぐらいですからね。連帯保証人になってしまって脅されるカイジがむしろうらやましいぐらいです。山本太郎演じる船井や松尾スズキ演じる班長大槻もすごく良かったですね。エスポワールや地下収容施設はストーリーがかなりカットされているので必然的に面白さもカットされているのですが、この二人のおかげでそれなりに楽しめるものになっていたといってもいいぐらいです。
そういうわけで、原作好きの僕でもそれなりに楽しめる娯楽作品としていい映画なのですが、今回かなりいいとこどりをしてしまったために、製作が決定されている続篇がどうなるのかが気になりますね。この映画で描かれていなかったのは、パチンコ沼、地下チンチロ、ティッシュ箱クジ引き、17歩ぐらいでしょうが、パチンコ沼はオチだけ今回引っ張ってしまっていますし、地下チンチロは地下収容施設をもう描いてしまっている以上今更感がありますし、ティッシュ箱クジ引きは地味だし、17歩は面白くないですし、どうするのでしょうか。かなり上手なアレンジが求められると思います。
評価(★×10で満点):★★★★★★★
『リトル・ミス・サンシャイン』の製作チームによって作られた作品です。中身は別モノですが、これも人生負け組の復活譚。
シングルマザーで今も不倫関係をズルズル続ける姉のローズと仕事が長続きせずフリーターの妹ノラ。ダメダメ姉妹がお金を稼ぐために事件現場の清掃を始めるというお話。
一攫千金を狙ってあやしげな商売にハマる父親、問題行動が多く特殊学級を薦められるローズの息子など、やはり『リトル~』と同様、世間とは少しズレた、しかしどこにでもありそうな家族を中心に、物語は展開します。
主な役どころである姉妹。私には姉がいますが、歳が離れているので、ローズとノラのような微妙な上下関係は身近に感じ取ることはできません。
それでも個人個人としては、同じ女性として共感できるところは多くありました。かつてのチアリーダーの仲間が今はお金持ちになっており、清掃バイトとして訪れた先が彼女の家であったことを知ったローズは、思わず「不動産の事業を始める」と嘘をついてしまいます。かつては自分が花形であったはずなのに。おまけにベビーシャワーにまで誘われる。自分は不倫のあげくシングルマザー。おそらく仲間を呼んで祝うことなどなかったでしょう。最初は行くつもりなど毛頭なかったその席に、しかし彼女は仕事をあとまわしにしてでも出席します。再会した時にはなかった自信を手に入れたから。
事件現場の清掃。こんな仕事があったことに驚きました。世間一般的には、抵抗があるでしょう。『おくりびと』のように。
鏡を見るたび「私は強い、私はパワフル」と自分に言い聞かせていたローズ。自分が「負け組」であることはよく知っている。そんな人生の中、光明がようやくひと筋、見えてきた。それがサンシャイン・クリーニング。彼女はベビーシャワーの席で友人たちに仕事の中身を語ります。ドン引きされても構わずに。誇りを持って。
負け組には負け組なりの人生がある。あらゆる過去と、彼女は訣別する。
バイトをクビになり刹那的に生きているノラ。彼女には、母親の自殺現場に居合わせてしまった過去があった。仕事先で見つけた自殺者の娘の写真を捨て置けず、娘を探し出して近づこうとする。母を自殺で亡くすという同じ立場の者として。ひっかかるのは、ローズとノラが母親の死体に出くわす場面。ノラはローズの背後にいて、ローズは幼い妹に現場を見せまいと背中で隠す。つまり、ノラは母の最期の姿を目にすることはできなかったのではないか。もしかしたら、それが今でも母の遺品を大事に持ち続けるノラの心のわだかまりなのではないだろうか。ノラはウィンストンと交流を深めることで、ウィンストンとともに母の死を乗り越えようとしていたのかもしれない。しかし結局、ノラは拒絶される。乗り越えるには誰かの力を借りずに、自分の足で動かなければならないことを知る。
ダメダメ姉妹の挫折と復活。ちょっとお疲れ気味の人生に、爽やかな陽光をそそいでくれるあたたかい作品です。
バイオハザード清掃に関してズブの素人であった姉妹にアドバイスをくれる、清掃用具店の隻腕の店主がいい味を出しています。
評価:★★★★☆(3.7)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
僕が今まで観た映画の中でベスト5に入る作品の「リトル・ミス・サンシャイン」のスタッフが作ったということが売り文句の作品のようですが、まあ監督も脚本も違うし、そんなに期待はしていませんでした。実際に期待しなくて正解で、作品の出来ということでいうとかなり落ちますね。悪くはないんですけど、心に訴えるものがまったくなかったです。
まずこの映画の主要人物の姉妹にまったく感情移入できませんでしたね。姉の方は僕には特殊な仕事でひと山当てて息子の学費を出すことと同級生を見返すことしか頭にない、自己中な人間にしか見えなかったんですけど。長年不倫関係にあった男ともえらいあっさり別れるし、いったい彼女は何がしたいのかまったく理解できませんでした。妹の方も幼い頃に母の自殺現場を見たというトラウマがあるようなんですが、そのわりに死体現場の清掃という仕事を一緒にやろうという姉の誘いをあっさりと受けますし、最後は仕事でチョンボしてあっさり仕事をやめて何を探しているのかよくわからん自分探しの旅に出かけますし、本当に二人とも何がやりたいんでしょうか。
色々なエピソードがきっちりとまとまっていないから、こういうことになるんでしょうね。明らかに脚本の作りこみが足りないです。「負け組賛歌」というテーマがまずあって、あとはちゃらっと作った感じがありありです。息子の病気も、母親の自殺も、片腕の男や妹が尾行した女も、すべてのエピソードが消化不良です。観てるこっちも心のわだかまりが残ったままラストを迎えて、全然すっきりしない映画でした。
点数はちょうど真ん中の★5ですかね。映画としての出来は良くないですが、特に観てて退屈なわけでもないですし、まあこんなもんでしょう。
評価(★×10で満点):★★★★★