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原作・伊坂幸太郎。映画の宣伝で、何度この文字を目にしたことか。
今をときめく、間違いなくいちばんの売れっ子作家でしょう。
と、前知識だけはありながら、実は一冊も読んだことはありません。
舞台は、作者が多くの作品で使用している地元の仙台。
大学院で遺伝子の研究をしている泉水と、街の落書き消しをしている弟の春。
連続放火事件と落書きの関連性に気づいた春は、兄をともない犯人探しを始める。
幼い頃はなんでもおそろいの仲良し兄弟。優しい父と美しい母。海と山と自然に囲まれた家。家族の間には一点の曇りもなかった。はず、だった。
ひとつ、火が放たれるたび、ひとつ、観ている者の前に明らかになっていく真実。
最初からかすかにうつろっていた違和感が、やがてはっきりとしたかたちで姿を現す。
泉水と春の遺伝子は、決して一致するものではないけれど、ふたりの絆は強く結びあっている。遺伝子の二重螺旋が、同じ配列で結びつくように。春の生まれた時から、泉水の思いは変わらない。父がそうであったように。母がそうであったように。
法で裁けない真実は、あってはならないと思います。しかし現実には存在している。その矛盾を物語中で見せつけられているだけに、ラストも自然に受け入れてしまいます。
映画作品としての評価をどう判定するかはともかくとして、非常に原作が優れているのだと思います。さすが売れっ子作家だけありますね。今度、読んでみようと思いました。
キャストも秀逸です。泉水の加瀬亮、父親の小日向文世はもちろんですが、春役の岡田将生も演技力はさておき、雰囲気は抜群でした。しかし、なんといっても渡部篤郎。鬼畜を演じさせたらこの人の右に出る役者はおりませんね。めっきりイロモノづいてしまいましたね・・・。ドラマ『永遠の仔』なんて、本当に名演でしたけど。
評価:★★★★☆(3.7)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
ミステリーとしても家族ドラマとしても特に奥が深いストーリーとは思わないし、映画としての完成度もそんなに高くもないと思います。ただ、重たいテーマを扱っているのに、観終わった後清々しい気持ちにさせるという点がすごいですね。さすが売れっ子作家の原作なだけあります。そりゃこういう小説は売れますよ。軽いテーマで清々しい小説は大人はバカバカしくて読まないですし、重いテーマでどんよりとした気分にさせる小説はただでさえ疲れている大人は敬遠するでしょうしね。
映画の完成度は高くないと言い切れるだけあって、回想シーンを入れるタイミングや色々な人物の登場シーンなどはあまりにもわざとらしくて途中まではそんなに面白くなかったんですが、この映画はラストでぐぐっとポイントを上げましたね。ラストで父親が「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」と言うところは素直に感動してしまいました。この映画の一番言いたいところはタイトルからもわかるとおり間違いなくここだと思うので、その核となるシーンが素晴らしかったのは良かったです。家族の愛は重力を越えるとは思いませんが、犯罪者の遺伝子を持っていても家族に十分な愛情を注がれた環境で育てばいい子になるとは思うので、ラストに至るストーリーの流れも違和感がなかったですね。弟の警察への自首を止める兄の台詞もなぜか説得力がありました。何せ最強の家族ですから司法や警察なんてくそくらえなのでしょう。本当にこの三人は最強の家族に見えましたから。
さや氏は父親役に小日向文世を使うのはベタだと言っていましたし、僕もそう思いますが、この映画の父親は「俺達は最強の家族だ」とか「楽しそうに生きていれば地球の重力なんて消してしまえる」など自分の父親に言われたらおそらく殴るであろうセリフに説得力を持たせないといけないので、小日向文世クラスの俳優じゃないと無理でしょうね。弟役の岡田将生も、セリフ回しがまったくダメで演技力という点では小日向文世の足元にも及ばないですが、すごく役に合っていますね。まずこの役は美男子じゃないとダメですがその要件は十分に満たしていますし、ちょっと人間嫌いで神経質そうに見えるところも役にぴったりです。加瀬亮は抑えた演技でしたが、彼の役は父親役や弟役に比べれば重要ではないので、まあこれでいいでしょう。渡部篤郎や吉高由里子など脇もなかなかクセのある演技で良かったです。ちなみに吉高由里子は僕は今まで知らなくて若いのにいい存在感があるからさや氏に聞いてみたのですが、知ってましたね。さすがです。
ただ、あの渡部篤郎が演じた奴はちょっとレイプ魔で未成年売春のボスにしては弱っちすぎます。あっさり弟にバットでボコボコに殴られていましたからね。実の子への愛情から抵抗しなかったとはそれまでのキャラクター設定からちょっと考えづらいし、周りが火に包まれてどうせ死ぬから抵抗しなかったとしても悪の帝王ならもう少しどうにかしろよと思います。違和感を覚えたのはそこぐらいですね。
評価(★×10で満点):★★★★★★★
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
率直に言って「シックス・センス」とまったく同じオチなんですけど、どこか寒々しい映像とか、ストーリーの核である飛行機事故とはまったく関係のない主人公の周辺のちょっとした出来事が何となく違和感があるので、このオチに向かうにあたっての雰囲気は上手いこと出せていたと思いますよ。ラストが衝撃的という噂は聴いていたので、オチが分からないように何の予備知識もなく見たので、何とか飛行機事故を巡るサスペンスのように見ることに成功しましたし。
ただ、ラストのオチには衝撃もなく感動もなかったでしたね。衝撃という面では、僕はこういう映画を好んで見るので、どうせ今まで観た映画のなかのどれかのパターンだろうと初めから期待してなかったのでまあいいんですが、感動がなかったのが痛かったですね。たぶん、主人公の姉への思いに感情移入できているかどうかが、ラストで感動できるかどうかの分かれ目でしょうが、僕はここがまったくダメでしたからね。逆にどうしてこの主人公はそこまで姉との人間関係の修復にこだわるんだろう、自分だけが悪いんじゃないんやからほっといたらいいやんとずっと不思議で仕方なかったですから。このへんは脚本が弱いのか、僕が人間関係にドライなのか、どちらかでしょうね。
まあ、飛行機の乗客が次々に消えるところや、なぜ主人公の姉が全然出てこないのか、主人公と恋仲になる男はなぜあんなに犬を怖がるのか、という見てて大きく引っかかるところはラストでちゃんと納得できるので、ストーリーには大きな破綻はなくしっかりとまとまった映画だと思いますよ。このテの映画はストーリーがかなり綻んでいてラストを見てもしっくりこなくてイライラする映画が多いので、この映画は感動はしないとはいえ納得できるぶんそれらに比べたらまともじゃあないでしょうか。
アン・ハサウェイもかわいいですしね。この映画はほぼすべてのシーンでアン・ハサウェイが出ていて、アップで映っているシーンも多いので、アン・ハサウェイが好きな人ならそれだけである程度の満足を得られる映画です。この人と、スカーレット・ヨハンソンと、ケイト・ウィンスレットは出てるだけで見ようかなと思ってしまう女優ですね。
評価(★×10で満点):★★★★★★
オペレータのアシスタント、主な仕事はお茶くみという青年が、人気クイズ番組に出演。最高賞金まであと一歩というところまで迫る。
なぜスラム出身で無学の彼が、難問を次々と正解させることができたのか。
不正を疑われ、収録後警察に連行された彼は、取り調べの場でこれまでの人生を語り始める。
アカデミー作品賞をはじめ、数々の賞を総なめにした作品です。
インドのムンバイ、貧困にあえぐ街。しかし子どもたちは野球に興じ元気に走りまわり、大人たちはそんな彼らに振り回されながらも彼らの瞳に未来を見ている。そんな生命力に溢れた街。
もちろん、街にそそぐのは光だけではありません。時には激しい嵐が、そして闇が訪れます。宗教の対立という永遠に融けない大人の事情のために、ジャマールとサリームの兄弟は家族を失ってしまいます。幼い彼らは時には大人に利用されそうになりながらも、盗みや騙りを行いつつ懸命に日々を生き抜き、成長していきます。
しかし弟ジャマールの願いはただひとつ、不本意な別れ方をした幼なじみラティカと再会すること。
兄貴風を吹かせながらも弟思いだったサリームは、裏の社会へ足を踏み入れていき、ようやく見つけ出したラティカをジャマールから奪い取ってしまう。
一歩間違えればご都合主義になりかねないところを、スピーディに入れ替わる時系列で彼のあまりにも過酷な半生と出題される問題のリンクを巧く展開させています。
なぜまともな教育を受けていない彼が、数々の有識者さえ脱落するというクイズ番組に出場しようと決めたのか。
かつてのスラム街が世界有数の近代都市と生まれ変わるように、かつて『三銃士』ごっこの仲間だったラティカは、揺るぎない愛情を捧げる相手へと変化していた。
彼の想いは昔も今も、ただ彼女のためにだけ。彼女の好きだった番組に出て、彼女の目に止まりたかっただけ。
「奇跡」。それは神の与えたもうた人の道。
「運命」。それは人が己でつかんだ未来。
彼がスラムにもたらした歓喜を奇跡と呼ぶか、運命と呼ぶか。
ファイナルアンサーは必要なし。答えは最初から決まっている。
(・・・関係ないですが、むしょうにチャイが飲みたくなりました)
評価:★★★★★(4.2)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
警察の取り調べでの主人公の回想を基にストーリーが進んでいくという点で、僕の人生3本の指に入る映画「ユージュアル・サスペクツ」のようなサスペンスミステリーと思って見ていたんですが、何のことはない、「夢は頑張ればきっと叶う」というありがちなテーマを描いた、清々しいハッピーエンドの娯楽作品でしたね。スラム街出身の貧しい主人公が、ラストで大金と美女という男が人生で追い求めてやまないものを両方手に入れるんですから、ストーリーはかなりご都合主義なんですけどね。いくら何でも2000万ルピーのかかった最後の問題があんな簡単なはずないだろと思うんですけど。どうして主人公と司会者以外は法律家も教授も含めて今まで失敗してきたのか不思議でなりません。
ただ、このご都合主義な展開にイライラすることはありません。主人公のそれまでに辿ってきた人生が余りにも悲惨すぎるし、そんな人生でも主人公はいつもけなげに頑張っているから、「おお、この問題もお前の人生経験が役に立ったやん。苦労が報われてよかったなあ。」とかついつい思ってしまうんですね。主人公の兄や幼少期に目をつぶされた少年はまったく苦労が報われてなくてかわいそうなんですが、それもついどうでもよくなってしまうぐらい、愚直な主人公が最後幸せになってほしいと思ってしまいます。この主人公を演じた俳優は無名だそうですが、愚直さが顔に出ていてなかなかいいですよ。役にぴったりです。この作品はインドの経済格差とか社会派なテーマも一応描いているんですが、そのへんの描き方が中途半場なところも娯楽作品としての完成度を高めており逆にいいですね。だから普通に楽しんで見ることはできました。
特にラスト手前で、主人公があれだけ恨んでいた兄を最後の問題で頼って電話をかけ、極悪非道だった兄が弟の好きな女を命をかけて逃がしたところは良かったですね。どうして二人がそのような心境になったかはご都合主義の娯楽作品なだけあってよく分かりませんでしたが、最後の最後で苦労を共にした兄弟の絆が復活して素直に良かったと思います。ラストで主人公が女だけでなく大金も手に入れたところで、その感動は萎えましたけど。この主人公がクイズ番組に出たのは金が欲しいからじゃないというのはこの映画のかなり重要な要素だと思うんですけどね。思いもかけず金まで手に入れてしまって、この愚直な主人公はその金をどのように使うのでしょうか。自分の育ってきた劣悪なスラム街の立て直しのために使うのか、初恋の女と優雅な暮らしをするために使うのか。ラストの主人公と初恋の女とのキスシーンのところでも、僕はこの主人公が金をどのように使うかが気になって仕方なかったです。青天井のハッピーエンドにしたくて主人公に大金も手に入れさせるんなら、そこもきちんと描いてほしかったですね。
この映画はアカデミー賞をはじめかなり多くの賞を獲っているみたいなんですけど、何ででしょうか。ちょっとそこまでいい映画とは思えませんでした。その時は楽しめますが、後には残らない、別に見ても見なくても人生に影響を及ぼさないそれなりに出来のいい娯楽作品だと思うんですけどね。
評価(★×10で満点):★★★★★★
奇妙で風変わりな医者や看護婦、患者までが少しエキセントリックな、とある病院が舞台の物語。
元社長で偏屈じいさんの大貫は病院内の嫌われ者。ある日、庭で絵本を読む少女と出会う。パコと名乗った彼女は翌日も大貫の前に現れた。しかも探しまわっていた彼の純金のライターを持って。激怒してパコの頬を張り飛ばした大貫は、直後に医者から驚くべき事実を聞かされる。誕生日の前日に事故で両親を亡くしたパコは、自身もその後遺症で、一日しか記憶を保てないという。母親から誕生日プレゼントとしてもらった絵本を、毎日のように見せにきては、大貫の名を尋ねるパコ。大貫の心にも、少しずつ変化が訪れていく。
『下妻物語』、『嫌われ松子の一生』など色彩鮮やかな世界観で魅せてくれた中島哲也監督。今回はシンプルでハートフルなストーリーを、個性的な俳優陣と見事なCG技術で、スピーディかつファンタジックに展開させています。
誰がどこで主役を張ってもおかしくないくらいのキャストは、間違えるとごった煮になるところ、コスプレまがいの演出で誰が誰だかわかりにくくさせているところが妙です。重力に逆らった髪と髭の役所広司は面影がないし、小池栄子はもはや人間かどうかもあやしい。これほどナース服が似合うヤンキーは土屋アンナしか思いつきませんし、実力派若手の加瀬亮もスパイスがきいています。妻夫木も一瞬オダギリジョーかと思うくらいにハマっていました。阿部サダヲや上川隆也がベタベタなギャグを次々繰り出しますが、鼻にはつきません。舞台で培った間のとらえ方でしょう。テレビではあまり見せない三枚目役ですが、キャラメル俳優上川隆也を見慣れた目には懐かしく映ります。
絵本の内容は、いわゆる絵本チックな物語ですが、大人でも楽しめる迫力のCGで劇中劇を盛り上げてくれます。ラストへの流れは、映画のストーリーをとしては容易に想像がつくので、陳腐と言えば陳腐かもしれません。が、中島監督の魅力は文字で書かれた原作・脚本に立体感と色彩感を与える、無限の創造力であると思います。
まるでカラフルなパレードを見ているような二時間でした。
評価:★★★★☆(3.8)
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
この映画はけっこう評判がいいみたいなんですが、そんなに面白いですかね。僕は全然でした。笑いと泣きの両方を狙っているみたいなんですが、両方ダメだと思います。特に最初の方はダメでした。どうも一風変わった世界観で繰り広げられるドタバタコメディのようなんですが、全然面白くないし。完全にただの悪ノリ映画だと思いましたから。前回の20世紀少年と同じく見るのを止めようと思ったぐらいです。この監督が「下妻物語」というわりと僕が良い評価の監督だと知っていたから、我慢して観続けましたけど。
ただ、さすが「下妻物語」の監督だけあって、僕がある程度世界観に馴染んできたら、登場人物の設定やストーリー構成はしっかりしておりテンポも悪くないので、その後は苦痛なく見ることができました。ただ、笑えるわけでもなく、泣けるわけでもない。笑いはまあ僕がひねた笑いが好きなので好き嫌いの問題として、泣きという面でも、あまりにもクサすぎてまったく感動しませんでした。こんな見え透いたお涙頂戴の話でみんな泣くんでしょうか。吉本新喜劇と同レベルだと思いますよ。最初笑かして最後泣かすという狙いも同じだし。もちろん僕は吉本新喜劇も好きではありません。
この映画のミソは、性格の悪いジジイが純粋な少女に出会って改心するところだと思うのですが、この改心のきっかけが致命的に弱いですしね。あんな年まで悪人として生きているくせに心を開くのが早すぎると思います。他の出演者のエピソードも、セリフとの絡ませ方にテクニックは感じますが何の感動も呼びません。そういうところはこの監督は三谷幸喜に似てますかね。才能はあるんですが魂がないみたいな。パコが毎日枕元で誕生日プレゼントの絵本を発見するという設定はすごくいいし、僕はこういう小さい女の子の出てくる話に弱いのに、残念ですね。
パコ役の女の子はルックスはすごくいいしこの映画にも合っていますが、演技が下手です。そこも僕の感動を呼ばない一つの原因だと思います。
評価(★×10で満点):★★★
やっと、漫画を全巻揃えました。
うーん、やっぱり後半へ行けば行くほど尻すぼみ。
でも、この第2章で描かれる、万博開催までの話は、本当におもしろいのです。
主人公はケンヂから、姪のカンナへ。ともだちに支配された日本で、わずかに残された抵抗勢力とともに、ともだちの謎解明へと突き進む。
新たに登場する人物も魅力的で、息詰まらせるストーリーが展開する・・・・・・ ・ ・ ・
はず、なんですけど。
むりやり3部作にしようとするから、こうなるんでしょうね。
第1章が原作そのものだっただけに、この2章は、原作のあちこちをつまみとり都合のいいようにつなげ、なんとか世界滅亡のラストへ持っていくという、その強引さが見えてしまって、どうも物語に入りこめませんでした。
ブリちゃんがともだちランドへ行ったエピソードは不要だし、ボーナスステージでのサダキヨの顔がなぜ大人なのかも説明不足。ヨシツネやユキジの心情も伝わってこなかったし、仁谷神父がローマ法王と知り合いというのもこれでは強引。原作を読んでいない人にとっては、とても不親切という印象がぬぐえません。
なによりも、ここの舞台の主役はカンナです。いろいろ複雑な思いを抱えている、演じるには非常に難しい役柄だとは思いますが、あまりにも力量不足。漫画と容貌を似せるというのはこの映画のひとつのコンセプトなのでしょうが、やはり見てくれだけでは・・・。ここはやはり、演技力を重要視して選んでほしかった。ぱっと思いつきませんが、あまたの女優の中にはカンナを演じられる人がきっと他に存在すると思うんですけど・・・。いえ、平愛梨もがんばっているんだろうなとは思いますよ。
と、けなしてばかりですが、良いところもありました。第2章で登場した小泉響子=木南晴夏。この女優さんは『銭ゲバ』にも出ていましたが、あの松ケンにも見劣りしない、とても印象的な演技をしていました。そういえば顔も漫画と似ている。うってつけの役者さんですね。
ドリームナビゲーター高須=小池栄子も良かったです。原作とは別種の、「ともだち」らしい不気味さが醸し出されていました。
それとサダキヨ役のユースケ・サンタマリア。ひさびさに、ユースケらしい演技力を観ることができました。こーいうちょっとエキセントリックな役のほうが実は良いのでしょうか。出番が少ないのが残念。第1章でかなり思わせぶりなチラ見せをしておいて、今回あっという間に死んでしまったヤマネ=小日向文世も、もったいないですね。もうちょっと観たかった。
甚だ不安ではありますが、第3章のDVD化を待つことにします。
評価:★★★☆☆
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
全然面白くなかったですね。この映画と同じく、原作を読んでいて、商業ベースに乗っていて、娯楽作品である「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズはすごく面白いのに、どうしてこの映画はこんなにダメなんでしょう。どう考えても「20世紀少年」の方が映画化は困難であるので、同情の余地はあるのですが、それならそもそも映画化しなければいいだけの話ですし。
2時間強もの間ずっと「ああこのシーン漫画で読んだなあ。」という気持ちしか湧いてませんでした。この映画はテンポはすごくいいんですが、こちらの感情移入に必要なエピソードがけっこうカットされているので、ストーリーにまったく深みがなく、気持ちがまったく引き込まれません。尺の問題もあるんでしょうが、それならストーリーを原作と多少変えればいいでしょう。この映画は原作を忠実になぞることにとにかくこだわっていますが、どだい20何巻もあるような漫画を3本の映画にする時点で無理があるんだから、そんなことにこだわるより映画を原作とはまた異なったいい作品にするように考えろと言いたい。大ヒットした漫画の読者がそのまま映画を見に来てくれればある程度の収益は見込めるだろうという作り手側の魂胆がむき出しになっている作品です。このやり方なら第3章は絶対に面白くないでしょうね。原作は風呂敷を広げるのはとても上手でしたが、終盤の展開とオチの付け方は全然でしたから。
ちなみにこの映画はカンナの登場するシーンが不自然に多いです。うみほたる刑務所は簡単に脱出できるしょうもない刑務所ですし、ともだちは万博に行けなかったことにそこまでコンプレックスはないみたいです。しかしカンナは原作とは違い中盤でともだちランドに行きますし、隣に住む二人の漫画家とのカラミなど比較的どうでもいいエピソードも省かれていません。ここまで登場シーンが多いと、カンナ役の女優はこの映画の出来を大きく左右すると言っても過言ではないでしょう。この女優は「笑う大天使」でも見ており、その時は特に何も思いませんでしたが、今回も特に何も思いませんでした。つまりこのような大作で重要な役を任されるほどの存在感も演技力も魅力もありません。この映画をきっかけに大きくブレイクすることはないでしょう。彼女が悪いのではなく、この役者をここまで重要な役に抜擢した製作者側が悪いんですけど。
点数は★3ぐらいですかね。最近映画が見たくて仕方がないモードの僕が、途中で見るのをやめようとしたぐらいですから、映画としての完成度が低いことは間違いないです。しいてほめるとこと言えば予告は良かったですね。僕は本編より予告の方がよっぽどドキドキしましたから。ちなみにこの映画のエンディングロールでは画面の右隅でカウントダウンがされていて、それが終わると第3章の予告が始まるというイラっとする演出があるのですが、第3章の予告もかなりの出来の良さです。まあ、こういう映画は、みんなが見てくれて金を落としてくれたらそれでいいでしょうから、予告が本編より出来がいいのは全然悪いことではないのでしょう。
評価(★×10で満点):★★★