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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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暑い…。

と思えば雨に降られてビショヌレに。

寒い…。

この気候の変化とジメジメについていけず、体調急降下。

こんな時には衝動買い。

ちょっと元気になりました。


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一畑電車で宿のある雲州平田駅へ向かい、フラフラの身体を近くの温泉施設でゆっくりほぐした後、スポーツニュースもそこそこに撃沈してしまいました。

翌朝。温泉効果か、幾分身体の疲れは取れたようです。
駅前でタクシーに乗り、最後の目的地へ向かうは…。

韓竈神社です。
以前、なにげなく見ていた『マツコ&有吉の怒り新党』で紹介されていました。
「素人にはオススメできない神社」として。
普段は見ていない番組だったのに、その日たまたま目にしたのも何かのご縁だったのかもしれません。
出雲に行くにあたりいろいろ計画を練っていくうち、最後に迷ったのがこの韓竈神社と須佐神社だったのですが、ふとそのテレビ番組のことを思い出し、次に出雲に行くのはいつになるかわからないし、まだ体力のある今のうちにこの過酷な場所にあるパワースポットへ参拝しておこうと決めたのです。

ちなみにこの神社は、地図で見ると出雲神社のすぐ北東に位置しているように見えるのですが、向かうにはぐるっと日本海沿いを回らなくてはなりません。
しかもバスは生活バスが1日数本、おまけに平日しかありません。
やむなく、タクシーを予約するという最大の贅沢コースを使ったのですが…。
片道1時間と書かれていたので、参拝時間もあわせて3時間弱を見積もっていたのですが、さすがプロのドライブテクニックは違いました。くねくね坂道もスルスル、ネットで調べたバス停前の駐車場も通り過ぎて舗装すらされていない、もはや登山道ではないかと思われる山道もスイスイ。
30分も経たぬ間に、入口へ到着しました。



静まり返っています。
「最近は若い女性の参拝客が増えましてねえ」と道すがら運転手さんが言っていましたが、この日は来ていないようです…。

さて。



登ります。



登りました。



まだまだあります。
自分のゼエゼエする音以外には、下のほうで自分が乗ってきたタクシーのエンジン音と運転手さんがドアを開け閉めする音しか聞こえません。もしかしたら、「えー! まだあんの!?」というひとりごとも、もしかしたら運転手さんに聞こえていたかもしれないと思うほどの静けさです。

誰も来そうにありません。ちなみにこの神社、携帯電話の電波が入らないのです。つまり行き倒れても助けてくれる人はいません。運転手さんも「私はもう上まで登る体力はとてもありませんよ」と言っていたし…。
しかし『怒り新党』で紹介されていた別の神社(絶壁に立つ神社)よりは、傾斜がきついだけで安全です。

やっとつきました。



最後の難関です。
この岩の間を抜けなければ、到着できません。
鞄を手に持ち、カニ歩きして進みます。おすもうさんは絶対に通れません。ここを歩いたのはのべ人数はいったい何人なのでしょう。岩はツルツルです。



こうして見るとよく通れたなあ。

 

到着。



パワースポットという流行語はあまり好きではないのですが、カタカナの語感が気に入らないだけで、ずっと昔から人びとの信奉を集めてきた場所というのはやはりそれなりに理由があるのでしょう。人外の力の存在を示す神秘性は五感ではなく肌で感じるものなのかもしれません。



鳥の声。風の音。降りそそぐ木漏れ日。
自分も自然の一部に溶け込んでしまうような。

いつまでもその空気に浸っていたいところですが、そういうわけにもいきません。後ろ髪を引かれる思いで下山。
待ってくれていた運転手さんに「上まで行ってきたんですか? すごいですねえ~」と言われ、「ええ、そりゃまあせっかくですから…」と汗だくで答えつつ、心の中で次の目的地は日帰り温泉と決めました。

雲州平田駅から出雲駅に戻り、駅前の温泉施設で汗を流した後、出雲の旅の最後を飾るのはやっぱりこれ。



出雲そば。

おなかを満たして、帰りの高速バスへ。
いにしえの聖地を巡る旅。まだまだ行きたいところはたくさんあって、一泊二日では足りません。近いうちに必ずや再訪しなくては。
さて、バスで出雲大社へ…といきたいところですが、
「稲佐の浜」で途中下車。




ここは、神在月に神様が集まるところ。

 

神様たちはこの浜辺から出雲大社へ向かいます。
というわけで、神様たちと同じようにここから出雲大社へ出発。



…まあ、神様が道を歩いて向かうとは思えないのですが。

地図上の距離では15分くらいで到着すると予想していたのですが、灯台で思わぬダメージをくらってしまい、なかなかハードな道のりでした。しかも、若干上り坂だし。



やっと到着。神門通りはまだ賑っています。

さて、ようやく参拝…といきたいところですが、時刻は夕方。隣の古代出雲歴史博物館を閉館時間までに観覧しなければいけません。
というわけで、


先にこちらを。

出雲大社の不思議な歴史を学ぶことができます。
それぞれの時代の神社のレプリカが展示されていますが、圧巻なのは空中神殿の復元模型。疲労困憊の頭と身体では古代のミステリーをじっくり考察することができなかったのは非常に残念ですが、ホールに飾られている出雲大社から出土したという宇豆柱からワクワクと夢は広がります。『古事記』や『風土記』の描く伝説は、こうして肉づけされて歴史となっていきます。やがて出雲の地が伝える神話の数々が、正史となって我々のもとへ降りてくる日も訪れるかもしれません。

さらに疲労も吹っ飛ぶのが、スペース一面に飾られた数えきれないほどの銅剣と銅鐸。それぞれすべて同じ遺跡から発掘されたというのですから驚きです。ひとつの遺跡にみっしりと埋めなければいけなかった理由は何なのか。いかなる風習がこの出雲には根づき、それほどの権力を誇りながらなにゆえヤマト政権に降らなければならなかったのか。想像力はますますかきたてられていきます。

日が傾いて、やっと涼しくなってきました。

ようやく出雲大社へ。



入口の鳥居をくぐり、しばらく歩くと松並木。
真ん中は神様の通る道なので、両脇を歩きます。

 

大国主命の像が。
こうのさんの描く彼よりイカツイです。



こちらは有名な因幡の白兎のエピソード。

 

銅鳥居をくぐると拝殿です。



昨年まではこちらに御祭神がいらっしゃいました。



本殿はその奥に。



昨年式年遷宮を迎えたばかりです。

ちなみに、この本殿のまわりには東十九社・西十九社というものがありまして、神在月に全国から集まった神様のお宿となります。今は無人だからなのか? 封鎖されていました。



大注連縄で有名な神楽殿。
かつてはこの注連縄めがけて硬貨を投げて刺さると願いがかなうといって、多くの観光客が試していたそうですが、なぜそんな不届きなデマが広がったのでしょう。

出雲大社は縁結びのご利益があるパワースポットということで、式年遷宮もあいまって近年ずいぶん観光客が増えているようです。神前通りもまだ新しい店構えが多く、賑っていました。
それでも鳥居をくぐれば、古代より連綿と伝わる清冽な空気に満ちています。
寺社仏閣の中には、たまに商売っ気を出してそういう雰囲気を失ってしまっているところもありますが、やはりいつまでも変わらぬ場所はあり続けてほしいと思うのです。

さて、出雲大社を出て宿へ向かうため、今度は一畑電鉄出雲大社前駅へ。
…が、なんと電車は10分前に出たばかりでした。
いや、わかっていたのだけれどこれ以上歩く元気がなかったのでした。

観光地はすべての店が17時で閉まります。
しばらく駅の待合室で休憩していましたが、いかんせんヒマ。あと50分もヒマ。

ということで、また20分歩いて旧大社駅へ向かいました。



大正時代に造られた、趣ある木造建築です。
中の見学はこれまた17時で終わっているので、外から眺めるだけですが…。



当時の喧騒と汽笛の音が聞こえてきそう。



もう今は使われないレールの上に咲く草花。
薄暮の風に揺れています。

足をひきずって駅に戻り、ようやくやってきたばたでんに乗り込みました。

途中でずらっと並ぶ赤い鳥居を目にしました。反対側に目を向けると神社が。参道の間を線路が走っているのです。有名なスポットなのでしょうか、カメラを構えた女性ふたり連れが「速くて撮れなかったー!」と悔しがっていました。



『ぼおるぺん古事記』に出会い、『古事記』を再読してから、出雲への憧憬が再燃していた今日この頃。
式年遷宮の年を経て、「よし、そろそろブームも去ったであろう」と思い切って旅立ちました。

その足はケチって、高速バス《くにびき》号。
予約をした時にはすでに残り2席の段階でした。あぶないあぶない。
座席はいちばん後ろだったのですが、リクライニングも気にせず倒せるし、案外快適でした。

所要5時間半。
ようやく出雲駅に到着しました。

出雲の交通は、バスか一畑電鉄しかありません。
それも決して本数が多いわけではないので、綿密な計画を練りました。

まず、出雲大社を素通りして日御碕神社へ行く!
思ったよりも高速バスが早く着いたので、予定よりも一本早い出雲大社前行きに乗りました。



門前町はにぎわっています。なぜかスタバに行列ができています。
お参りするには中途半端。さっそくお土産を買い、出雲発祥というぜんざいを食べるかどうか迷っているうちに次のバスが。

一路、海をめざします。
山道を登る窓の外には海がキラキラ。いいお天気です。




到着しました。

 

伊勢神宮が「日の本の昼を祀る」社ならば、日御碕神社は「日の本の夜を祀る」社。


下の宮には天照大神、上の宮には素盞嗚尊が祀られています。

 

朱塗りが海と空の青に映えます。

神社を出て、海へ向かいます。

時刻は3時近く。暑い…。坂道がこたえる暑さです。
その暑さをやわらげてくれるのが、海の輝きとウミネコの声。

道中、経島が見えてきました。


ウミネコの繁殖地として天然記念物に指定されています。
しかし…。
青空を舞い飛ぶウミネコの姿は素敵だけれど…。



岩にびっしり休憩しているウミネコは、ちょっと圧巻。



さて、ここまで来たら海の幸を食さねば。
というわけで、お昼をこの時間までず~っと我慢していました。

経島を通過して灯台へ向かう道中にある《花房商店》
「お昼どうですか~もう食べましたか~。今日はウニまだありますよ~」とお店の前で客引きをするおかみさん。決して勧誘されたわけではないのです、ガイドブックを見た時から決めていたのです。
ここでウニ丼を食べることを!

本当は北三陸で食べたかったけれど…。
あこがれの! ドンブリいっぱいの! バフンウニ! (2100円也)。
ごはんとともに! 口いっぱいに頬張る! 待ちわびたこの瞬間!
その美味しいこと美味しいこと。『ごちそうさん』のめ以子ばりの「んん~おいし~」の連発です。
そして、これは勧誘されました。
 
アワビのバター焼き。
「1500円ですよ、このお値段では食べられませんよ」
「はい、お願いします」
今日の夕ご飯抜きが決定。
コリコリ食感、控え目バターとレモンの香り。ああ、幸せ~。

お腹いっぱいになって、次なる目的地へ。



海を横目に向かうは、日御碕灯台です。



青空に映える白い灯台。
なんと日本一の高さだそうです。

そして200円で上に登れるのですが、まず靴を脱ぎます。
エレベーターなどはありません。階段です。


目がまわる…。

それよりも、長い!

登っても登っても、上がある!

この狭さですから、ひとりしか通れません。
下り優先ですが、上で待っている人がいるとあわてて登らねばなりません。

登ること、163段。ゼエゼエ。へろへろ。

でもこの景色!



登った甲斐がありました。



お天気の日は隠岐の島の陰影が見えるというけれど…どこだ?



でも、高いです。怖いです。



手摺の外へスマホを出して写真を撮る手がブルブル。

そして、帰りはもちろん降りなければいけません。

 

絶壁。
そしてここでもあわてて降りなければならず靴下が滑る滑る。

足が棒のよう…。
道理で、入口の外で座って休憩している人が何人もいたわけです。
それでもバスの時間までに戻らなければなりません。
山道を駆け下り、2本目のポカリを開け、出雲観光はまだこれからというに疲労困憊でバスの座席に沈み込む。
 







この季節、あわただしさに気がつけばいつも散り際。

短い春を少しだけ堪能する駅までの道。

公園では夜桜待ちのサラリーマン。

缶ビールは少し寒そう。
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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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