さて、バスで出雲大社へ…といきたいところですが、
「稲佐の浜」で途中下車。
ここは、神在月に神様が集まるところ。
神様たちはこの浜辺から出雲大社へ向かいます。
というわけで、神様たちと同じようにここから出雲大社へ出発。
…まあ、神様が道を歩いて向かうとは思えないのですが。
地図上の距離では15分くらいで到着すると予想していたのですが、灯台で思わぬダメージをくらってしまい、なかなかハードな道のりでした。しかも、若干上り坂だし。
やっと到着。神門通りはまだ賑っています。
さて、ようやく参拝…といきたいところですが、時刻は夕方。隣の古代出雲歴史博物館を閉館時間までに観覧しなければいけません。
というわけで、
先にこちらを。
出雲大社の不思議な歴史を学ぶことができます。
それぞれの時代の神社のレプリカが展示されていますが、圧巻なのは空中神殿の復元模型。疲労困憊の頭と身体では古代のミステリーをじっくり考察することができなかったのは非常に残念ですが、ホールに飾られている出雲大社から出土したという宇豆柱からワクワクと夢は広がります。『古事記』や『風土記』の描く伝説は、こうして肉づけされて歴史となっていきます。やがて出雲の地が伝える神話の数々が、正史となって我々のもとへ降りてくる日も訪れるかもしれません。
さらに疲労も吹っ飛ぶのが、スペース一面に飾られた数えきれないほどの銅剣と銅鐸。それぞれすべて同じ遺跡から発掘されたというのですから驚きです。ひとつの遺跡にみっしりと埋めなければいけなかった理由は何なのか。いかなる風習がこの出雲には根づき、それほどの権力を誇りながらなにゆえヤマト政権に降らなければならなかったのか。想像力はますますかきたてられていきます。
日が傾いて、やっと涼しくなってきました。
ようやく出雲大社へ。
入口の鳥居をくぐり、しばらく歩くと松並木。
真ん中は神様の通る道なので、両脇を歩きます。
大国主命の像が。
こうのさんの描く彼よりイカツイです。
こちらは有名な因幡の白兎のエピソード。
銅鳥居をくぐると拝殿です。
昨年まではこちらに御祭神がいらっしゃいました。
本殿はその奥に。
昨年式年遷宮を迎えたばかりです。
ちなみに、この本殿のまわりには東十九社・西十九社というものがありまして、神在月に全国から集まった神様のお宿となります。今は無人だからなのか? 封鎖されていました。
大注連縄で有名な神楽殿。
かつてはこの注連縄めがけて硬貨を投げて刺さると願いがかなうといって、多くの観光客が試していたそうですが、なぜそんな不届きなデマが広がったのでしょう。
出雲大社は縁結びのご利益があるパワースポットということで、式年遷宮もあいまって近年ずいぶん観光客が増えているようです。神前通りもまだ新しい店構えが多く、賑っていました。
それでも鳥居をくぐれば、古代より連綿と伝わる清冽な空気に満ちています。
寺社仏閣の中には、たまに商売っ気を出してそういう雰囲気を失ってしまっているところもありますが、やはりいつまでも変わらぬ場所はあり続けてほしいと思うのです。
さて、出雲大社を出て宿へ向かうため、今度は一畑電鉄出雲大社前駅へ。
…が、なんと電車は10分前に出たばかりでした。
いや、わかっていたのだけれどこれ以上歩く元気がなかったのでした。
観光地はすべての店が17時で閉まります。
しばらく駅の待合室で休憩していましたが、いかんせんヒマ。あと50分もヒマ。
ということで、また20分歩いて旧大社駅へ向かいました。
大正時代に造られた、趣ある木造建築です。
中の見学はこれまた17時で終わっているので、外から眺めるだけですが…。
当時の喧騒と汽笛の音が聞こえてきそう。
もう今は使われないレールの上に咲く草花。
薄暮の風に揺れています。
足をひきずって駅に戻り、ようやくやってきたばたでんに乗り込みました。
途中でずらっと並ぶ赤い鳥居を目にしました。反対側に目を向けると神社が。参道の間を線路が走っているのです。有名なスポットなのでしょうか、カメラを構えた女性ふたり連れが「速くて撮れなかったー!」と悔しがっていました。
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