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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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2日目から場内で実際に走行する。やや緊張しながら車へ向かう。

「ではコースを走っていきましょう」

(; ゚ ロ゚)

い、いきなり?

最初はまっすぐ短い距離から、など、徐々に慣れていくものだと思っていた。あたりまえだが、車を動かすのははじめてである。ハンドルをどれだけ回せばカーブを曲がれるのかもわからない。言われるままに右へ左へ、運転席ですっかりパニックに陥る。1時間は長いようで短かった。終わった時には冷や汗まみれだった。

幸いなことに、「怖い」「厳しい」と誰もが言う教習所の教官は、無愛想ではあったが怖くはなかった。最近は少子化や不況の影響で教習所も経営難と聞いているから、打たれ弱い現代の若者を呼び込むには軟化するしかなかったのかもしれない。若者ではないが打たれ弱い自分としてはちょっとホッとした。

 

しかし、当然ながら一定の技量に達しなければハンコはもらえない。

過程が進むにつれ、「は? まだそんなこともできないの?」とばかりに呆れ果てられたり、ちょっと運転しただけで「ナルホドね~」とため息をつかれたり、「基礎がなってない」とバッサリ切り捨てられたり、毎時間変わる教官全員にダメ出しをくらう日々。ちびちび追加時間と申し送り事項の記入が増えていく。降車後、周囲の生徒がニコニコ教官と話しながら帰っていく中、どんより雲を背負いながらひとり歩く日々。わかってはいたが、実際にここまで自分のダメっぷりを自覚させられると、この歳では堪えられないものがある。登校拒否寸前だったが、予約キャンセルすると料金がかかること、毎日コースだったため間を置かず講習が待っていることは、かえって幸いだったかもしれない。

 

ナンダカンダで1回目の無線走行を迎えた。はじめてひとりで運転する緊張感。しかもハンドブレーキが下がらずいきなりパニック。必死で教官を呼ぶとあっさり下がった。いったい何だったのか。

気温が高かったこともあり手汗脇汗が尋常ではなかった。同時間に走行したのは私を含めて3人だったが、途中で耐えきれず一時休憩をもらったのは私だけであった。化粧のはげおちた顔で降車する。教官は原簿を返しながら「○○さんと××さん、次の時間は無線走行2回目コースです」、そして私には「次はみきわめコースの練習に入ります」。アリ? なにゆえ私だけコースが違うのだ? 過程では【無線1回目→無線2回目コース練習→無線2回目→みきわめコース練習→みきわめ】となっている。2回目コースも頑張って憶えておいたのだが・・・。

 

腑に落ちぬまま次の時間を迎え、おそるおそる教官に訊いてみた。「あのう、どうして私は無線2回目を飛ばされたのでしょうか・・・?」

教官は含み笑いをした。「それはですねえ。アナタ、すでに何度か落ちているでしょう。このままだと時間オーバーしてしまうんですよ。だから先に進まないといけないんです」

ガ━━━━━Σ(゚Д゚||;)━━━━━ン!!!

それはすなわち「テメェがヘタッピだから、このままだといつまでたっても終わんねえんだよ!」という宣告ではないか。

頭の中で何度もエコーさせながら、朦朧とその時間を終えた。

しかし家に帰ってよくよく考えてみる。ヘタッピだから過程を飛ばされる、とはいかなることか。確かに無線2回目とみきわめコースの道程は被っているが、ヘタッピだからこそ、何度も乗らないといけないのではないか。時間の帳尻を合わせる必要がどこにあるというのだろうか。追加料金無料コースにした意味がここでなくなってくる・・・。ということは、これは教習所の金儲け作戦なのか・・・?

心配は無用であった。案の定みきわめでも落第することになる。

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