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みきわめになってもハンドル回しから右左折までまったくなっておらず、「ほら、また!」と怒られっぱなしであった。
が、二度目のみきわめで、教官はさんざん怒っておきながら、駐車場に戻って「修了検定受けなさい」と申込書を取りだした。
私は即答した。「無理です」
「早く免許取らなあかんやろ!」と返す教官。
いや、確かに毎日コースにはしているが、それは単に暇だからであって、決して取得を急いでいるわけではない。むしろ半年計画なのだ。
「試験の目的は上手く運転することじゃない。心配しなくても、9割は受かる試験だから」
「私はその1割です・・・」
教官は私のつぶやきを華麗にスルーし、申込書を押しつけるように「がんばりや」と笑顔で去っていった。
試験は2日後となった。毎日乗っていた身としては、間の1日が不安である。
修了検定に合格すれば仮免許交付、落ちれば補習1時間の後再び修了検定受験となる。いやな予感がした。私はこの補習→修検→補習→修検の無限ループに陥るのではなかろうか。
当日、受験するのは30人ほどであった。私はいちばん最後のグループとなった。いつ呼ばれるかわからないので待合所で立ちんぼすること2時間。ようやく順番が回ってきた。先に運転したのはめずらしく同世代、あるいはやや下くらいの年齢の男性であったが、走り出してすぐに私は呆然とした。これが上手い。めちゃくちゃ上手い。ブレーキのかけ方も右左折もスムーズで、もしや以前に免許を取ったことがあるのではなかろうかというくらいの余裕綽々ぶりである。試験の緊張に加え、はじめて教官以外の人を乗せる羞恥心で心臓が口から飛び出そうだった私は逆に開き直った。ここまで上手さを見せられたら、あとはどれだけ下手でも一緒であろう。
運転席を交替し、スタートする。コースは待ち時間の間に頭に入れていたが、その都度教官が指示してくれるのであまり意味がなかった。方向指示以外は口を出さないと聞いていた教官がウインカーの消し忘れ、出さなくてもいいところでのウインカーを注意してくれたのは少し驚きだった。技能以前の問題だから構わないのであろうか。苦手のS字も、脱輪してもいいやくらいの強引さで突入するが、幸い脱輪せずに越えた。見ているだけなら短いと感じたコースだったが終えたあとにはどっと疲れた。
停車場所に戻り、教官が先の人から講評を述べる。「非常に良かったです。言うことは特にありません」。まあそらそうだろうな。
彼が去ってから教官は私に向き直った。
「○○さん・・・危なかったですよ・・・」
教官はゲンナリした顔で、私の車がS字で半分脱輪していたことを告げた。やはり強引すぎたらしい。
その他2、3点の注意を述べたあと、
「ギリギリ合格です」
ギリギリ、という部分に力がこもっていたような気がしないでもないが、奇跡の一発合格であった。
無限ループを覚悟していた私にとっては、もっと場内で練習したほうがいいのではと思わないでもなかったが、せっかく手に入れた合格という二文字を放棄するのはあまりにももったいない気がしたので、甘んじて受けることにした。学科試験は予習する間もなく始まったが、時刻はすでに2時を回っている。もちろんお昼抜きなので、問題を解くよりグルグル鳴るお腹を押さえるのに必死であった。こちらも幸い、合格した。