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奇跡的に仮免を得たことで、路上教習が始まった。
これまた、「じゃ、行きましょーか」とのひとことでいきなり教習所の外へ出ることになる。
ちなみに、教習所は住処とは離れているためまったく来たことがない土地にある。土地勘皆無の道を、今どこにいるのか気にとめることもできずただ言われるままに無我夢中で車を走らせるだけであった。
教習所のコースでは40km/hを出すのも恐怖であったが、路上ではそうもいかない。
「ここは制限速度50km/hですよ~。もっと出して~」
怖い。
だが幸いなことに、交通量は非常に少ない。まっすぐの広い直線道路は前も後ろも視界の拓けた状態である。次第に恐怖感は遠のいていった。変わりばえのしない場内よりも、よほど「楽しい~」とさえ思ってしまう、ありえない余裕ぶりであった。もちろん最初だけのことである。外に慣れる(はずの)頃には、またまた教官の厳しいチェックにさらされる毎日であった。
そんなアップアップの中、規定の学科を受講できず、1週間のブランクを開ける羽目に陥ってしまった。すでに4月も半ばを迎えていた。1ヶ月という制限つきの毎日コースの期限が切れた。申込をした時の「たいていの人は1ヶ月で取れますから♪」という受付のお姉さんの笑顔がよぎった。
しかし3月には溢れ返っていた学生の姿はめっきり少なくなっていた。おかげで毎日の予約はほぼ欠かさず取ることができたうえに、複数教習のはずの駐停車や高速教習を独占することができたのはラッキーだったかもしれない。教習所から遠い高速道路まで行って帰ってと2時間連続で運転するのは非常にキツかったが。しかも高速代を往復800円支払ったのだが、複数なら400円で済んだのだろうかという気もしないでもない。
危険予測のセット講習はさすがに複数人だった。学生風の男女2名と私である。私はいちばん最後に運転することになった。交替で運転者の様子や状況を見て危険な箇所や改善点をメモするのだが、「上手いなあ」という感想しかなかった。
戻ってから危険予測についてのディスカッションを行う。しかし私も含めて、他人の運転をあれこれ批判するのは気が引けるのか、ほぼ教官しか喋らない。先に運転した2名については、一時停止の方法やら駐車車両の避け方やら、具体的な注意を述べた。で、私については、
「視野が狭い!」
と、言い切った。
要するに前方のすぐ近い部分にしか注意が向いていないということである。今まで幾人もの教官に指摘されてきたことではあるが、今回の課題である危険予測以前の問題ではないか。
「あんたが危険やないか・・・危険そのものやないか!」
『さくら心中』のかの迷台詞が、脳内変換され耳元でエコーした。
ひとりどんよりと雲を背負い最後尾でカルチャールームをあとにする。第2段階も半分を過ぎていた。今挫折するわけにはいかない。