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ドラマ『誰も守れない』が放送された時から、ずっと観たいと思っていた作品です。
『誰も守れない』は被害者家族の保護という観点から描いていましたが、こちらは対照的に加害者家族の保護。
どちらも個人情報をネットに晒され、見も知らぬ赤の他人の集団から非難の嵐を受けるという共通項がありますが、世間の反感は加害者に対してのほうが強烈かもしれません。被害者は名前も顔写真も露わにされるというのに、加害者は未成年というだけで人権を守られる。実際、その矛盾に怒りを憶えたことは少なくありませんでした。しかし正論という名の暴言の数々を書き並べ次々と個人情報を暴露していくネット住民のやりようにも共感はできません。加害者の家族はあくまで家族であって加害者ではない。しかし彼らを被害者と呼ぶにもまた、抵抗が生まれる。矛盾した解決しない思いを抱えながら、今回の事件の害者家族に相対することとなります。
淡々と離婚・再婚手続きを始める担当者、言われる前にサインをし判を捺す両親のくだりには背筋が寒くなる思いでした。犯罪者家族という肩書は一生ついてまわるという事実は、東野圭吾『手紙』でも描かれていますが、事件直後の現実を受け止めきれない家族にも容赦なく攻撃の声は降り注ぎ、犯人が黙秘を貫く中母親は自殺をはかる。そしてそれすらも聴取の材料にしようとする警察。自分の娘と同じくらいの年齢の沙織を前に、事務的になりきれない勝浦。その勝浦にまで攻撃の手は伸びる。
矛盾は解決されるのだろうか。
その答えは3日間で導き出されるものではない。
沙織はこれからも世間と闘っていくのだろう。直貴のように。ゆるすことが人間にとって最も困難であり、ゆるされることが人間にとって至上の安楽であることは永遠に変わらない。勝浦はそれを知っているから、ゆるそうと努める過去の事件の被害者家族にゆるされることは望まない。沙織も勝浦の思いを汲み、同じ道を歩むことを決意する。しかし彼女には一縷の救いがある。それは兄が犯罪に至るまで苦悩していたことを知りながら目をそらしていたことに対する罪悪感。贖罪の意識は、生きていく力になりうるのではないだろうか。その「救い」を残したことに、創作的な都合を感じるものの、演じる志田未来の絶望と抵抗を宿す目力に惹き込まれ、彼女を案ずる勝浦に感情移入し、出すぎた行動に出るネット住民を心底軽蔑し、本庄夫妻の年月に癒されない思いに胸を突かれ、緊迫する場面でも飄々としている三島になぜかほっとし。
これからも勝浦の闘いを見守っていきたいと願います。三島はドラマの時ほど目立ってはいなかったけれど、このコンビは痛快で爽快。尾上先生も映画では勝浦との関係性が説明不足でしたが、テレビチックなキャラとはいえ色気の少ない作品中でのスパイスがきいていました。また続編ドラマ作ってくれないかなあ。
評価:★★★★☆(3.8)