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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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青春の門 第七部 挑戦篇 (講談社文庫)

たまたまものすごくひさしぶりに本屋をのぞいたら、ちょうど発売日。

「わあお~」と、何ヶ月ぶりかに活字の本を購入しました。

・・・が、案の定・・・。

第六部までの記憶があいまい・・・。

というわけで、また第一部から読み返すハメになりました。

やっと七部までたどりついたのは二週間後。

それでも冒頭がつながらないのと文体の変化に、違和感を禁じえませんでした。じきに慣れたけれど。

ソ連やら北方領土やら、いきなりグローバルになりました。

筑豊の少年だった信介も25歳というひとつの節目を過ぎました。

それまでの信介は、個人を取り巻く世界観の中で動いていたように思います。人並みの苦悩、理性と欲求のはざまでのもがき、さまざまな人との出逢いと別れ。信介を主として展開していた世界。10代、あるいは学生の間は、己を中心点として視野の半径を広げ経験を積み上げていく期間なのでしょう。それを終えた時に得られるのは客観的な視点。オトナの、というと身も蓋もありませんが、みずからも含めたこの世界を鳥瞰することは己の周囲から広い社会に踏み出す者として必要な一歩なのかもしれません。信介にとってのきっかけが北海道でのちょっとした偶然の出逢い。

信介とともに年譜を追っていた者としては少し面喰ってしまいましたが、それもまた世界の中で動いていた日本の昭和史の一側面。全12部が確定ならばあと4部。ソ連での信介は、あるいはその後は、どのような青春の軌跡をたどるのでしょうか。

 

それにしても、装丁がずいぶん変わってしまいました。背表紙のタイトルもカバーの質感も、本棚に並べると、ちょっと不自然。

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