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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』
漫画原作とあって、謎いっぱいの初回のプロットに惹きこまれました。松坂桃李と木村文乃のカップルのさわやかさも良いですが、菜々緒の不気味さも見どころのひとつです。肉感的な身体と無表情な美貌、匂いたつ悪の華の魅力が画面に満載でよくこんな配役にしたなあとスタッフの眼力に感嘆しました。菜々緒も整形の悪女という配役をよく引き受けたものです。犯人はどうしても主役ふたりの引き立て役になってしまいますが、このドラマに限っては食っていますね。悪女→男に恋慕→敵は恋人の女、という単純な設定でもなさそうですし、なぜカラが猪熊をターゲットにしているのかが気になります。二話で力持ちかつ柔術が得意という特色が取りざたされていたので、元は男だったのかなという気もしますが。
猪熊の女っ気なしのサバサバ感がいやみがなくて好感が持てます。木村文乃ちゃんもじゅうぶんかわいいのに、色気を消してアクションもがんばっていますね。全般的に警察官の役者さんの緊迫感がリアルで、優れた演出だと思います。

『下町ロケット』
『半沢直樹』とは原作者だけでなく脚本・演出家も同じとあって似た雰囲気の作りとなっていますが、似ていても飽きさせない迫力です。大企業と銀行にいじめられる中小企業、技術者のプライド、そして倍返しと大逆転。見ていてワクワクする物語。銀行マンが自分の会社に喧嘩を売るより、共感できます。
阿部ちゃんの演技はもとより、脇をかためる安田顕や立川談春も存在感があります。『まれ』で最後は母親になっていた土屋太鳳ちゃんが高校生の娘役なのは一瞬違和感を抱きましたが、それが本来の姿なんだよね…長丁場で疲れただろうにすぐ次の仕事を入れ朝ドラのサゲ印象から脱却しようとがんばっていて何よりです。

『大地の子』(再放送)
もう何回目かな…初見から20年も経つのですね。あの頃は高校生だった…。
10代の頃に出会ったこの本は、私という人間を形成するうえでのひとつの重要なファクターとなりました。そして読後間もなく始まったこのドラマを見てますますその影響は大きくなりました。
そして何回見ても、あふれる涙を止めることができません。歳をとってますます涙腺がゆるくなった身にはこたえます。もう中国のお父さんが画面に出てくるだけで泣けるのですから。
『エンジェル・ハート』で現在の上川隆也を、そして『破裂』で仲代達矢を同時進行で見ているだけに、20年という歳月の長さを感じずにはいられませんが、やはり何年経っても、どんなに時代が変わっても、今の中国と日本の関係がどんなものであろうとも、この作品の価値は変わりません。
日本と中国、戦争の歴史に触れるたび、終戦の混乱のさなか満州を脱出した祖父母の、もう知ることはできないその胸中を想像します。少しでもその思いに近づくことが、祖父母が生きて帰国したことにより生まれてくることができた自分の義務ではないかとも感じるのです。

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自己紹介:
ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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