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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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今年も奈良の夏が終わりました。

しかし、ものたりない夏でした。

…そう。今年から、なくなったのだ。
夏のお楽しみ、『ドラマティックナイン』がーーー!

ですので、ランニングスコアと夜のわずかなニュースで概要を知るのみ。
4強に残ったのは智弁・天理・郡山・奈良大附と、奈良県民にはおなじみの面々。
試合は見られませんでしたが、熱戦の準決勝・決勝だったようです。

中継を視聴できたのは3回戦2試合と準々決勝2試合の2日間だけでしたが、見ごたえのある試合ばかりで楽しめました。

中でも強く印象に残ったのが、3回戦の智弁-磯城野戦。
先制されたものの、2回戦の高田商戦のようにそのうち智弁がひっくり返すだろうと思っていました。しかし、なぜか磯城野の変則投手の前にタイミングが合わない。どころか、守備の乱れから失点を重ねる始末。いつの間にやら最終回、差は2点。まさか、このまま…。部員18人の公立校にセンバツ王者が敗れるとあれば、類を見ないジャイアントキリングです。追い込まれる智弁。しかしそれ以上に追い込まれていたのは磯城野投手のメンタルだったかもしれません。初戦は大勝したとはいえ、智弁を相手に勝利まであと一歩のところまで来るとは思いもしなかったでしょう。大舞台で場数を踏むことは自校のグラウンドでの練習量以上の価値があります。土壇場で同点に追いつけばこのままサヨナラ…かと思いきや、延長11回までもつれたことは、いくら伝統校とはいえ夏を勝ち切ることの難しさでしょう。なんと、全試合で先制を許した智弁。しかし村上投手のここぞの踏ん張りには見るべきものがありました。逆転勝ちに持ちこめるのはチーム全体に粘り強さがあるからです。もう少し守備が堅ければ楽に勝てると思うのですが…。
センバツは優勝したにもかかわらず一試合もリアルタイムで見ることができなかったので、夏はどうか土日のクジを引いてください。

敗れはしたものの、天理と奈良大附の内野守備のレベルの高さには驚かされました。天理はもともと守備の良いチームですが、奈良大附はますます磨きをかけてきたように思います。今夏の失点は最後の最後、逆転サヨナラホームランの2点のみでした。それだけ、甲子園にかける思いの強さを感じました。徐々にその目標はかたちを明確にしつつあります。
古豪と呼ばれた日々も遠くなりつつあった郡山の4強入りにはオールドファンの心も躍ったかもしれません。名物監督の勇退後はなりをひそめていましたが、打撃のチームに変貌を遂げていました。他にも奈良や畝傍、法隆寺国際など、公立校が打倒私学で打ち勝つ野球を極めていけば、奈良大会はますます盛り上がることと思います。

さあ、智弁の夏はこれからです。
奈良大会で見せた粘り強さを全国の舞台でも発揮して、春のように最後までグラウンドに立つ智弁ナインを見られることを、楽しみにしています。


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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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