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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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さて、『平家物語』に挫折しそうになった頃観た映画のおかげで、最近の読書タイムは、角川ソフィア文庫『源氏物語』なわけですが。

ようやっと雨夜の品定めまでたどりつきました(ってまだ二話・・・)。

まー、男が寄り集まってだらだらと、女について好き勝手くっちゃべっているこのくだり、

指を食われただのニンニク臭い女だの、どーでもえーから早く源氏の話してよ、と読み始めた頃はここでまず退屈になったわけです。

しかし改めて読んでみると、この男どもの女性論、不思議と今の男の理想像とあまり変わらないのかも。

「おっとりとかわいらしい女を妻にしたい、しつけ甲斐もあるだろうから」と言ったそばから「でも自分のことも夫の世話のこともなんでもできないと困る」「浮気されてもあからさまに嫉妬せず匂わす程度に」「仕事の愚痴も聞いてくれる人がいい」など、なんつー自分勝手なと思うのですが、当時の女房たちも、「キーッ、そんな都合のいい女いるわけないでしょうが!」などとツッコミを入れたのでしょうか。

 

とまれ、人生の先輩方の体験談を睡眠学習した源氏は、さっそく「中の品」なる女に手を出すわけですが、空蝉の恋はするりとその手を滑りぬけてしまいます。はじめて描かれた愛のささやきが実らないというのは、これものちのちの満たされぬ人生の暗示だったのかと思うと非常に皮肉な話です。というわけで、このくだりがお話の核を握っていることに20年目にしてようやく気づきました。

 

作者の恋愛観を最初にぶちあげておいてから、それに基づいて恋愛ハンターとして動いていく源氏。退屈だった「雨夜の品定め」ですが、ようやく重要性を感じながら話を読み進めていくことができました。

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