下品だ下品だとは聞いていましたが、ここまで下品だとは思いませんでした。
公開当初、映画館には等身大テッド人形が飾られていたと聞きましたが、勘違いした初々しいカップルが入ってしまったらどうしましょう。
内気で弱気な少年ジョンが得た最初の友達。テディベアのぬいぐるみ。少年の願いは神様のもとへ届き、テッドには魂が与えられた。それだけならディズニー映画にもなりそうな心あたたまるストーリー。しかし本題はその27年後。主役は35歳になってもうだつのあがらないおっさん・ジョンと、下ネタ用語を連発しハッパを決めまくる不良クマ・テッド。
それでもふたりはあいもかわらず大の親友。昔観たテレビ番組のヒーローは今でもふたりの永遠の憧れ。雷におびえ心を奮い立たせる自作の歌を合唱。交際4年目、そろそろ結婚も視野に入れたいジョンの彼女ロリーはあきれ顔。
とにかく口を開けば放送禁止用語やら差別用語やら、アメリカのサブカルやら、聞くに堪えない理解もできないセリフが雨あられ。賛否両論分かれるところでしょうが、自分としてはそれなりに楽しめました。ふたりが敬愛してやまないフラッシュ・ゴードンは、日本でいえばウルトラマンか仮面ライダーといったところでしょうか。字幕で「くまモン」やら「ガチャピン」やら巨人の星やら、翻訳家の苦慮が透けて見えますが、実際は何と言っていたのだろうと気になります。
ジョンとテッドの友情は、きっと人間とテディベアだからこそ成り立つものではないかとも感じます。あれがいいトシした大の男ふたりの絵面であれば、ロリーは一夜にして愛想をつかして出ていくでしょう。テッドだからこそふたりの褥にもぐりこんできても許せるし、結婚後もどうやら同居しちゃうし、ベタなラストもつい涙を誘われてしまう。
もちろん、現実的にはジョンとテッドは共依存の関係で、お互いから独立しないといつまでたっても大人のフリした精神年齢8歳から成長できない。下ネタも悪いコトも差別も、子どもは無意識に楽しんでしまうもの。一緒にいることによって、本来なら成長するにつれて自然と自制していくべきそれらの愉悦から抜け出せない。それが「おしゃべりするぬいぐるみ」の非現実的ヴィジュアルによって、一気にほほえましい関係へと変化しているのはなかなか巧みなプロットだと感じました。
男は女よりも幼くて、本当はいつまでも永遠の少年でいたい生きものとはよく使われる言葉です。ガンプラやレトロゲームが売れ続け、ドラゴンボールが何度もリメイクされるのもそういった懐古趣味が先天的に男が女よりも強い遺伝子を持っているからなのでしょう。女の子がバービー人形やセーラームーンを大人になっても集めているという話はあまり聞かないし。
いつまでたってもお子ちゃまでバカばっかりな男どもと、やれやれとそれを見守る女たち。この作品は、男の理想を具現化したものなのかもしれません。
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