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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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ひさしぶりに先生の尺八リサイタルへ足を運びました。

ずいぶんごぶさたしてしまったなあ…。
今年こそ伺わねばと思い立ったのは、10年連続のこれが最後の年だったからです。

大学に入った頃「なんかカッチョイイ」「持ち運びしやすい」という非常に短絡的な理由で尺八を始めて、邦楽に慣れ親しんだ日々からは、もうすっかり遠のいてしまいました。

それでも『産安』の最初の一音が響き渡ると懐かしさで胸がいっぱいになりました。

尺八本曲とはもともと虚無僧たちの演奏した曲のこと。彼らの学び説く仏の道をその音に託したともいえましょう。壮大で荘厳な宇宙は一尺八寸の竹の中、気の遠くなるような過去も未来もそこに存在しているのかもしれません。
お稽古ではその技法を追うのに必死で(しかも結局会得できず)途中で挫折してしまいましたが、先生の本曲を聴くたびに、尺八の魅力とそれに惹かれた理由が思い出されます。先生の音が、究極の理想であったのでした。

『明鏡』は2回目の拝聴ですが、以前とは自分の感じ方が変わっていることに気づきました。前回は自分の学生時代のつたない演奏を思い出していたのですが、今回はただただ純粋に大好きな曲として、尺八と三絃の一音一音を味わいました。『上弦の曲』も、学生時代、どこかの演奏会で耳にして「えらいムズカシイ曲だなあー。こんな曲演奏してスゴイなー」という他人事きわまりない感想しか抱かなかったのですが、同様に、音楽の描く美しさを耳からまぶたの裏に感じさせる珠玉の一曲であると思います。和楽器の魅力を発信し続ける先生がたの思いを強く感じました。

フィナーレを飾るのは、尺八・筝・十七絃・打楽器の合奏群と筝独奏・尺八独奏で演奏される『複協奏曲』でした。曲の主題は「不完全な自己から脱皮しようとする祈りの心」。胸を熱くする圧倒的な迫力と、管絃が紡ぎ出す無限の空間に圧倒されました。

朗々と雪雲を溶かす竹の音。

リサイタルはこれでいったんお休みされるとか。
また、先生の音に出逢える日を楽しみにしています。


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