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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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のだめカンタービレ 最終楽章 前編   のだめカンタービレ 最終楽章 後編

といっても、前編はテレビで放映した特別版なので、かなりカットされていた模様ですが・・・。

パリに留学したのだめと千秋。美しい風景と音楽に飾られて、おもしろかわいいふたりの恋模様が描かれます。

原作は未読ですが、音楽を絵あるいは字で表現するというのは、とても難しいことなのでは? と不思議に思います。その世界と縁がない身には、実際に曲を耳にしてこそ、その背景にある作曲者の思いや演奏家が傾ける情熱を肌で感じるのであって。この作品内においても、数々の名曲が登場しますが、オケにしろピアノにしろその都度感動と昂揚感を抱くことができます。音楽に疎くてものだめや千秋と一緒に音楽の世界を味わうことができるからヒットしているのであれば、この原作はスゴイ力を持っているのでしょうね。

初めて音楽と「向き合う」のだめ、初めて「追う」立場となった千秋、それぞれの苦悩の様子はイメージとはかけ離れていて、支え合いとか理解とか、普通の恋愛ドラマならあたりまえの感情の交錯がまるでないふたりながら、音楽という常人には触れることのできない深遠な世界で繋がっていることを改めて思う、一風変わった恋物語でした。

誰もが刮目する才能の持ち主でありながら、のだめの前に立ちはだかる幾つもの巨大な壁。音楽とは人類の偉大な発明で万人に平等な快楽を与えるものでありながら、実は閉鎖的で、扉を押しあける腕を時には拒絶したりもする。しかしそこに挑戦する者はあとを絶たない。扉の先にはきっと誰も知りえない世界が拓けているに違いないから。

音楽には縁がありません。でもオケは好き。合奏はやるのも聴くのも好き。その程度。それで満足。自分には扉まで届くことも近づくこともできないとわかっているから。ただそれに快楽を与えられるのみ。けれど、その権利を持つのだめがちょびっとうらやましかったりもする。

評価:★★★☆☆

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