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南極。氷点下54度。日本から14000キロ。シロクマもペンギンもウィルスすらいない極寒の地で一年間共同生活を送る男8人。
テレビもない。ネットもない。電話はたまーにほんの少しの時間だけ。本も漫画も在庫には限りがある。
そんな中、新鮮な娯楽を味わう方法といえば、やはり、
「食」
しかないと思うわけだ。
望まずして南極観測隊の食事担当となってしまった西村。機械的に辞令を交付した上司や地球儀で南極が見つからないと大笑いする妻と娘の反応に、いささか絶望感を漂わせつつ南極の地に降り立ったものの、仕事はきっちりこなします。妻のベチャッとしたから揚げにネチネチ文句をつけるだけあって、西村の料理の腕はなかなかのもの。しかしむさ苦しい男どもは限られた食材でどんなに豪華な料理を並べてもその都度「おいしい」と感動してくれるわけでもない。もくもくと洗顔しもくもくと朝食を食べもくもくと仕事をこなし時間になるとまたもくもくと食事をしてちょっと酒盛りして床につく、そんな生活がずーっと続く。
集団で生活すると最初は合宿気分で楽しいかもしれない。しかし性格も生活環境も異なる人間がいきなり集められて共同生活を送るとなると、なんらかの確執が起きるのはこれ必然。西村たち観測隊員も、半ば監禁状態の日々に乱調をきたしていく。そんな彼らを救ったのは西村の料理――と、いうのはよくある話。しかしこれは実際の話をモチーフにしているだけあって、そんなドラマチックな出来事は起こりません。立派な大人である彼らは、彼らなりに地道にルールを守り和を乱さぬよう努力して、過酷な観測生活を乗り越えます。西村も落ち込むことがあったものの、気を取り直して己の仕事を全うします。
南極というある種異次元の世界でも自分を失わない男たち。堺雅人はじめ、生瀬勝久、きたろう、豊原功輔たちのキャラクターがみな個性的でいきいきとしおり、淡々とした2時間もまったく飽きることなく、同じ時間を共有しているかのような感覚で鑑賞できました。
食育、という言葉もすっかり市民権を得ましたが、やはり生活において食事の時間は、いちばん大切だと思います。
家族であれ他人であれ、誰かと食事を共にすること。「いただきます」と「ごちそうさま」、「おいしい」(「まずい」もあるか)を共有すること。栄養バランス、見た目、ちょっとした遊び心。うーん、日常で徹底するには難しいですけれど。
観ている間、おにぎりが出ればおにぎりを、ラーメンが出ればラーメンを食べたくなって仕方ありませんでした。週に一回は食べたくなり、食べたくなったら食べられるラーメンが食べられないなんて・・・南極って、残酷。まあ、一生行くことはないでしょうけれど・・・。
評価:★★★★☆