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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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リオの夏が終わりました。
寝不足からも解消されました。
一抹の淋しい風が吹き抜けます。
これも4年後までの我慢です。

ティファニーのネックレスが似合って、恋人もいる、素敵な女性になりました。それでもつい「愛ちゃん」と呼びたくなる、泣き虫だった幼い頃のイメージがなかなか抜けない卓球の福原愛選手。フィギュアの「真央ちゃん」と同じように、全国民がまるで母親のような気持で見守ってしまう、だから笑顔が見たいと思う。
今回の福原選手は今風に言えば、「ゾーンに入って」いました。極限まで集中力を高めて卓球台の前に立つきりっとした表情は、まるで戦いの女神のようでした。個人戦で敗れ、団体でも前回の銀メダルを超えることができず、追いつめられた福原選手が最後の最後、団体戦3決で勝利した瞬間、安堵で流した涙にもらい泣きさせられた人は少なくなかったことでしょう。「苦しいオリンピックだった」という言葉に、愛ちゃんが背負ってきたものの大きさを感じました。
愛ちゃんのオリンピックが笑顔で終わって良かった。

福原選手を筆頭に、女子ばかり注目されがちだった卓球界。しかし今回ばかりは、男子から目が離せませんでした。エースでありながらマスコミからはないがしろにされてばかりだった水谷選手。その個人戦準決勝、追いつめられた水谷選手が馬龍選手から2セット連取し、王者を逆に追いつめた場面は、自分の中ではこの大会いちばんのハイライトだったかもしれません。すさまじいラリーの応酬、スマッシュと駆け引き、その迫力は女子とは異なる競技のようでした。顔が似ていると評判になった芸人とSNS上で軽妙なやりとりをする柔軟さといい、卓球をメジャーな競技にしたいという思いの強さも感じました。団体戦でも見事な銀メダル、男子卓球が中国に続く強豪国となったのも、水谷選手がパイオニアとなって若手の裾野を広げたおかげです。次回のオリンピックがますます楽しみとなりました。

その水谷選手に感銘を受けたという錦織圭選手が、銅メダル獲得。これほど実績のある選手にも関わらず、ホテルでなく選手村に入って生活していたことには、他競技の選手も驚いていたようですが、日の丸を背負う覚悟をもってオリンピックに挑んでいたからこそだと思います。テニスプレーヤーにとっては4大大会が重要で、オリンピックは二の次の扱いだと思っていたのですが、敗退したジョコビッチが涙を流して悔やんでいたように、誰しも国の代表として戦うということは、個人戦とは異なる気概があるのだと改めて感じました。

さまざまな競技がありながら、日本選手団にはキャプテンが存在します。今回が4回目の出場となる吉田沙保里選手。主将として開会式に出場した吉田選手はいったんリオを離れ、調整場所で練習して、ふたたびリオに入りました。
女性主将は初でした。主将はメダルを獲得できないというジンクスも破りました。しかし金メダルのみを目指して4年間トレーニングを続けた吉田選手に、「銀メダルおめでとう
」と声をかけることはできません。それでも泣きじゃくりながら謝罪ばかりを口にする吉田選手に、懸命に言葉を選びながら、選手を讃えるインタビュアーには大きく共感しました。
金メダルを獲得した対戦相手にとって、吉田選手は英雄であり憧れでありました。金メダルに輝いた多くの後輩たちは、吉田選手がいたからこそ育った選手でもありました。敗戦の悔しさや悲しみはもちろんあったとしても、謝る必要なんて決してない。リオで与えられた結果は銀であっても、吉田沙保里という存在自体が金メダルそのものなのです。

レスリングだけでなく、東京オリンピックに向けて、あらゆる競技でたくさんの若手が花開きました。中国や韓国といった強豪国にひけをとらなくなったバドミントン。まったくの素人でも、タカマツペアの絶妙なコンビネーションは伝わりました。シングルでも奥原選手が日本人同士の戦いを経ての銅メダル獲得。男子でも世界ランク上位を倒すなど、結果を残しました。4年後が楽しみです。

シンクロも来るべき日に向けて、着実に足あとを残しています。井村コーチが中国へ渡った時は、これほどの人材を流出させるなんて水連はどれだけ無能なんだと口惜しくてたまりませんでした。その井村コーチをふたたび迎えて、「地獄」の練習を重ねた新生日本チームは見事、表彰台に返り咲きました。ロシアに肉薄していたかつての美しい足技まで、あともう少し。井村コーチと日本チームの道は、まだまだ続きます。

マラソン以外で陸上日本がメダルを取る日が来るとは思わなかった北京でのリレー。その結果を超える日が、生きている間に来ようとは。
何度も何度も、ニュース映像でくり返し見ても、飽きません。そのたびに拳を握りしめ、実況と解説と同じテンションで興奮し、最後のランナーには桐生選手と同時に「行け―!」と叫びます。
前回は、米英が失格によりめぐってきたチャンスでした。それでも銅メダルは素晴らしい結果だったのですが、今回はそのアメリカを実力で破っての、銀メダルです。世界一のバトンパスはかのボルト選手からも称賛を受けました。持ちタイムでは9秒台をぞろぞろ揃える他国にはかなわない。個人レースでは決勝進出すらできない、そんな日本がリレーでは世界で二番目になれる。これぞ鍛錬の賜、日本の誇れる技術力。オリンピックという、日本国民としてのアイデンティティをもっとも深く感じ入ることができる行事の、最後を飾るにふさわしい銀メダルでした。

閉会式での安倍マリオには「あっぱれ!」を捧げたくなりました。東京、日本を世界に表現する方法としてはベストだったのではないでしょうか。しかし、ドラえもんが土管を出した時、「どこでもドアちゃうんかい」とツッコんだ人は私だけではないはず。4年後の開会式は、どのようなショーをくり広げるのでしょう。今からワクワクします。

スタジアムからエンブレムまで、よからぬ話題の絶えない東京オリンピック。これからも解消しなければいけない問題は山積みであろうと思います。まだまだ先だと思っていましたが、残された時間はたったの4年。世界の選手たちは、今から東京を目指して努力を重ねています。彼らに恥じないオリンピックにしてほしい。期待するのは、それだけです。






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