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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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小雪ちらつく中、京都へ行きました。

今日は尺八の(元)師匠のリサイタルです。

 

JR東福寺で京阪に乗り換え、出町柳へ。

賀茂川が分岐しているこの橋は、四条や三条と違って寂び(わびさびのさび)れています。

わざわざ京阪に乗り換えたのはわけがあって、

駅近くの《出町ふたば》というお店の豆餅を買いたかったからなのです。

行列でした。ま、まずい。

本当は河原町通から会場のある烏丸通まで歩こうと思っていたのですが、

開演に間に合う自信がなく、バスに乗るはめに。たった二停留所なのに・・・。

 

ゼイゼイ息を切らしてギリギリセーフ。つくづく不義理な弟子だ・・・。

 

一曲目は、古典本曲でした。

『虚空』尺八最古の曲のうちのひとつと言われています。

夢の中で霧の晴れた虚空から聞こえてきた妙音をうつしたという伝説に由来するそうです。

尺八という楽器は中が空洞ですが、

その空間で、一切の世界が作られます。

虚空とは、虚でありながらまた、すべてであるような気がします。

この境地に至るには、私はまだまだ小さすぎますが。

 

『茶音頭』楽譜を持っているので、たまにさらっていますが、

三曲合奏になると、ハハアこうなるのかと思いながら聞いていました。

粋、洒脱という言葉がぴったりです。

 

『楓の花』本来は高低箏二重奏なのですが、

先生は新たな取り組みとして、低筝を長管尺八で演奏されました。

原曲は知らないのですが、嵐山の晩春から初夏の風情をうたっているとあるように、

どこかさわやかであかるい雰囲気のある曲でした。

 

『詩曲一番』大阪万博の折りに作曲された筝・尺八二重奏。

現代音楽作曲家が作った初の邦楽曲だそうですが、

筝と尺八が織りなす重厚な音楽に、息をとめて聴き入ってしまいました。

気がついたらまばたきも忘れていました。

 

ひさしぶりに先生のお姿を拝見し、

ほんの少しですが挨拶もできて、うれしかったです。

なかなか演奏を聴きに行ける機会もないので、

また来年も、必ず来たいと思います。

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