忍者ブログ
おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

《銀杏BOYZ "せんそうはんたいツアー"at Zepp Osaka》

なんでこのライブに行くことになったかというと、ツレが熱烈な銀杏ファンであり、

なかば脅迫でチケットを押しつけられ、

前日までイヤダイヤダとぼやいて、

なんとかしてGOING STEADY(前身バンド)ファンだった義妹に行かせようと画策していたわけですが、

その甲斐むなしく向かうことに。

 

Zeppは約2000人収容できるほどの大型ライブハウスですが、

せめていちばんうしろで観させてくれという私の要求により時間ぎりぎりについた時にはすでに満員。

若者の熱気に満ちています。

クラブクアトロすら埋められないキャプストも、

いつかこんなハコでライブできるくらいになってくれたらなあと夢想してしまいます。

 

ゴイステ時代のライブDVDを観(せられ)ていたので、どんな地獄絵図が始まるのかと思いきや、

意外にも『夜王子と月の姫』でフツーに幕を開けました。

ゴイステ時代の割と好きな曲のひとつです。

しかしついていけたのはそこまで(早)。

二曲目からは知らないうえに、くり返されるダイブやモッシュ、

はじめて体験する激しさに目がテンでした。

といっても、最後列の観客は静かで、おまけに男性客が多いためステージはまったく見えず、

その別世界のような光景はずっとモニターで眺めていました。

 

それにしても不思議なのは、インディーズでメディアにもまったく登場せずリリースも少ないこのバンドが、

どうしてこんなにも多くの若者を惹きつけて離さないのかということです。

CDを何枚も聞かされ夏フェスでははじめて目の当たりにしましたが、

私には彼らの音楽性が受け入れられません。

パンクロックというジャンルを好まないというのも大きな理由のひとつですが、

それとは別のなにやら足を踏み入れてはいけない世界のような気がするのです。

 

峯田和伸という男が作る曲は、どれもこれも常識はずれです。

世間ではタブーとされ、誰もが眉をひそめるようなコトバを平気で歌詞に取り入れます。

しかしそれが敢えての精神ではなく、呆れるくらいに飾るという行為を知らないだけであるのは、

語る口調の素朴さで感じます。

「常識はずれ」という評価を下すのはもしかしたら、

飾ったり隠したり歪めたりすることに慣れてしまっている側が感じる基準で、

線をひっぱっているだけなのかもしれないとさえ思います。

音楽が好きだというその意志以外、なにひとつしがらみを持たず全速力で駆ける姿は、

ステージのライトに照らされひときわ輝いて映ります。

しかし私は、飾ったり隠したり歪めたりする現実を厭いはしないし、

彼の生き方を受け入れるということは、そういう自分の美意識を否定することにも通じる気がするのです。

だからこれからも、彼の音楽性と私の志向が交わることはないでしょう。

 

全速力をゆるめない峯田さんはツアー中肋を折ったそうです。

私にも経験があるのでわかりますが、大声を出すどころか歩くこともつらいはずなのに、

普通に跳んだり跳ねたりしていました。苦笑いするしかありません。

 

MCでは中学時代の話をしていました。

「憧れの美人教師からこっそり呼び出された」という冒頭だけなら鼻で笑って相手にしないところですが、

そこから一年間続いた性的虐待により女性嫌悪症におちいったというくだりには、

なるほどこのような深い心の傷を負った人間だからこそ、

世の中の価値基準に意味を見出さない人格になっていったんだろうなあと思いました。

今まで毛嫌いしていた人間を少し見直すようになったという点では、

このライブに来た甲斐があったというものでしょうか。

 

ただひとつ残念だったのは、

ファンのひとり(男性)が、「ミネタ結婚してー!」と叫んだ時に、

別の男性が「きしょいねん!」と叫んだことで、

会場の空気が一変してしまったことでしょうか。

一昨年のスピッツのライブの時にも、男性が「マサムネさん結婚して!」と叫び、

会場全体が笑ってマサムネさんはきょとんとして、

今回もそんななごんだ雰囲気だったのに、

それがただのツッコミではなく言葉裏に「黙っとけ!」とでもいうような怒りがこめられていただけに、

観客もバンドも当惑して、

峯田さんが「愛するっていうことはね・・・」と話を変えてその場をおさめたものの、

会場に生まれた違和感は拭えなくて、そのあとがちょっとパワーダウンしてしまいました。

どうしてあんなこと言うのかなあ。少し悲しかったです。

PR
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
さや
性別:
女性
自己紹介:
ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
ブログ内検索
バーコード
ATOM  
ATOM 
RSS  
RSS 
Copyright ©   風花の庭   All Rights Reserved
Design by MMIT  Powered by NINJA TOOLS
忍者ブログ [PR]