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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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前回のスピッツ坊主が意外にさや氏に好評で、その2をすることになりました。

その2はさや氏からリクエストがあった「バニーガール」です。

 

寒そうなバニーガール 風が吹いた

意地悪されて 震えていた

恋は(恋は) 恋は何故かわがままに

光のシャワーを 闇に向けた

俺もまたここで 続けられそうさ そんな気がした曇りの日

Only Youの合図で 回り始める

君と落ちてく ゴミ袋で受け止めて

夢見たあとで 夢に溶けた

灯りを消して 一人泣いた

いいなぁ(いいなぁ) いいなぁと人をうらやんで

青いカプセルを 噛み砕いた

名も知らぬ君に 気に入られようと 底の無い谷を飛び越え

Only You世界中が 口を歪める

君に消される 砂嵐にさらわれて

俺もまたここで 続けられそうさ そんな気がした曇りの日

Only You世界中が 口を歪める

君に消される

Only Youの合図で 回り始める

君と落ちてく ゴミ袋で受け止めて

 

 ちょっとこの歌は前回の「稲穂」より解釈が難しいと思うので最初に全体の解説をします。「バニーガール」に例えられた女性が「寒そうな」「震えていた」「恋は~闇に向けた」とあるのですから、明らかに恋愛が上手くいかなかったのでしょう。そしていきなり「俺」と急に自分が出てきて、俺が「続けられる」んですから、まあ「俺」が今度このバニーガールと恋に落ちるんでしょうが、その後「曇り」「落ちる」などのマイナスイメージの語句を連呼していることから「俺」とバニーガールの恋愛もダメになることが想像できます。ただ「俺」はこの恋愛に対してすごく前向きです。まあつまりこの歌も僕好みの退廃的な恋愛の歌です。

 まずこの歌はタイトルにもありますがこの歌に登場する女性を「バニーガール」に例えたのが秀逸ですね。「名も知らぬ君に~」とありますから、特定の女性ではないんでしょうが、女性をバニーガールに例えるのは一見かわいいですが裏にマサムネのエロさや鬼畜さを感じさせます。「バニーガール」はいわゆるウサギをモチーフにしたレオタードのコスチュームですが、これは女性の性の商品化のシンボルのようなものですから、性的に魅力があるというプラス面ももちろんありますが、「不特定多数の男性を対象とした性の商品」ということから、性的な魅力「しか」なく、男の食いつきはいいけどすぐに別れてまた違う男とくっつくような女性を指していると思います。もちろんその女性も相手の男性も幸せにはなれません。そしてさらにこの歌はそういう人との恋愛の始まりをOnly You」という言葉で表しています。ここでこの言葉を使うということがマサムネが天才たるゆえんですね。僕はこの歌ではこのフレーズが一番好きです。この歌に出てくる男(「俺」)は一途なのかもしれませんが、少なくとも「バニーガール」と「Only You(あなただけ)=恋愛に対する一途さ」は言葉の意味的に明らかに相入れませんからね。僕の印象ではマサムネはあまり歌詞に英語は使いません。それなのにあえて使っているということは、よほどこの言葉に自信があるのでしょう。

 また、「世界中が口を歪める→世間の嫌悪感のイメージ」がある恋愛なのに「俺」がこの恋愛に対して前向きなのは、底の無い谷を飛び越え」という言葉で分かります。前回の「稲穂」の「最後の花火~」と同じく、さすが最後のサビに突入する直前の歌詞はいいですね。「底の無い谷」は言い換えれば「闇」そのものです。「俺」と「バニーガール」の恋愛が上手くいかなかった時どうなるかということを「俺」が分かっているのなら、彼に谷の底は見えるはずなんですが、見えていないということは、この恋愛の行方を「俺」も分かっていないんでしょうね。そんな勇気のいる恋愛に対して「飛び越え」という能動的なプラスイメージの単語を使っていることに、彼のこの恋愛に対する前向きさがとてもよく伝わってきます。 そんな彼の恋愛の行方を「落ちてく」ならともかく「君に消される」とまで言ってのけるところもすごいです。なかなか恋愛ソングで「消す」なんていう物騒なフレーズは出てきません。もちろん「殺される」という意味ではなく「存在がなくなる」ぐらいの意味なんでしょうが、より一層退廃的な恋愛観が滲み出ていていいと思います。

 あと、青いカプセルを 噛み砕いた」の部分も、別に好きではないですが、なかなか普通には浮かんでこないフレーズだと思いますね。この噛み砕いているのは1フレの構成と失恋後の状況ということから考えておそらく「バニーガール」の方でしょう。「青」は憂鬱さを連想させる色ですが、さらに「カプセル」ですから憂鬱さがいっぱいつまっているものなんでしょうね。まあ簡単に言うと今までの憂鬱な恋愛の思い出なんだろうなと思います。それを「噛み砕く」というのはその前の「うらやむ」気持ちが非常にわかりやすく行動に出ており、女性の情念のようなものを感じさせていいと思いますね。噛むだけじゃなく、粉々にしていますからね。言葉の使い方が上手いなあと思います。

 全然話は変わりますが、スピッツの歌詞の研究サイトみたいなものがネットにいくつかあります。しかしこれらのサイトではみんなすごくメルヘンな解釈をしていますね。僕みたいなベクトルの解釈の人は皆無です。どちらが正しいとかそういうのではなく、やはりスピッツの歌は解釈が難解なんでしょうね。

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