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三人目の赤ちゃんを死産して悲嘆にくれるケイトとジョン夫婦は、孤児院から養子をもらうことを決意する。見学に行った先で出逢ったエスターという絵の上手な少女に惹かれたふたりは、すぐに彼女を引き取ることを決意するが、その本性が少しずつ明らかに・・・。
ジャケットがあまりにも怖いので、壮絶なホラー展開が来るのではとビクビクしていましたが、もたらされたのは決して視覚的・痛覚的なものではなく、人間心理の深奥をえぐって心の底を凍りつかせるような恐怖でした。
2時間少々の、映画にしては長い作品なのですが、まったく飽きることなく最後までドキドキが続きました。最初から張りめぐらされていた伏線と矛盾をきたさないように練られた丁寧な人物設定には唸らされます。
しかしエスターは怖かった。これは演じた少女の技量がすばらしいと言うしかありません。クラシックな恰好がとても似合っていますが、これは雪に閉ざされた国の出自であることのミステリアス感を増幅させます。最初の屈託ない笑顔と流し眼の冷たさのギャップは観ているこちらまで背中を冷やされます。ラストで真の姿を明かした時には本当はその年齢の女優が演じていたのかと一瞬錯覚を起こすほどです。父親を誘惑する場面で、歳相応のフェロモンがあったならもう言うことはありませんが、それはそれでないことにほっとしてしまったり; 普段の表情は年齢相応にかわいらしくて安心しました。
しかしこの映画も男性の描き方が悲惨ですね。浮気歴あり・妻を愛しているようだけど本心では信用していないため簡単にエスターの嘘に騙される夫、エスターに脅され失禁したあげく二度も殺されかける長男・・・。スペインでは女は最強の生物なのでしょうか。
評価:★★★★☆
~ヤスオーのシネマ坊主<第2部>~
なかなかいいのではないでしょうか。ホラーと思って観たのですが、実際はサスペンス映画だと思いますね。しかしエスターの正体のオチは「おっ」と思いました。単純に驚いただけでなく、それまで怖さやうっとうしさしか感じなかったエスターに少し肩入れしてしまうぐらいいいオチだと思います。だから彼女は序盤「他人と違うことを認められること」にこだわっていたのですね。それ以外の風呂場に鍵を閉めるなどの伏線の張り方も良かったと思います。久しぶりにアイデア勝負の出来るサスペンス映画を観ましたね。
そしてエスターを迎え入れる家族も、一見何不自由ない幸せな家族に見えるんですが、裏では色々問題を抱えています。エスターに乱されて家族は崩壊していくのですが、家族の抱えていた問題が自然に理解できるから、ストーリー展開にも不自然さはありませんでした。旦那の浮気の描写が中途半端であまり活かされてなかったような気もしますが、妻の方の過去の傷の描き方は良かったです。
まあ欲を言えば一つのアイデアだけでなくもうひとひねり欲しかったですけどね。あの聴覚に障害のある女の子が実は昔のことで母親に恨みを持っていて、ラストに因縁の地である池で母親を裏切るとかしたらより驚きの結末で良かったんじゃないでしょうか。最後の方は退屈なアクション映画風でいやでしたし。どうせハリウッド映画だからオッサンは殺されても、主人公やかわいい女の子が助かることは分かってますしね。もちろんそれまでのエスターとこの子とのカラミを見ているとこの脚本のままではそんな展開は絶対にないのですが、エスターぐらいの悪知恵がある奴なら、「昔お前は母親に殺されかけたんだぞ。」とか言って女の子は味方につけなければいけないでしょう。
もう一人の男の子はイマイチ存在感がなかったですね。存在感がないうえに中途半端な形で助かっていますし、何の見せ場もありませんでした。この子も女の子と同じように過去のエピソードとかを作ってあげてもっとストーリーに絡めてあげた方が良かったのではないでしょうか。点数はちょっとおまけですがアイデアを評価して★8にしときます。
評価(★×10で満点):★★★★★★★★