今年も奈良県の夏が終わりました。
41試合のハイライトはすべて『ドラマティックナイン』で見ましたが、開幕からサヨナラゲームというまさにドラマティックに始まった奈良大会。全国優勝の経験もある大型私立校から部員不足の無名公立校まで、予選であっても心に残る試合は多くあるものです。
2回戦での対決となった天理-智弁戦。昨年智弁の前に屈した天理、シードを得られなかった智弁
、両校の意地を感じるゲームとなりました。週末とあって観客も大勢入っており、応援スタンドも熱気がありました。私も夜まで待てずワンセグで観戦してしまいました。3回戦以降ならテレビ中継もあったのですが…。
2回戦で敗れた吉野高校と大宇陀高校の連合チーム。大宇陀高校は1年生が多く入部し、連合を組む必要がなくなったのですが、ともに練習をしてきたのだからと吉野唯一の野球部員である3年生1名とともに連合チームで出場しました。ユニフォームは違えどもすっかり大宇陀チームとなじんでいる吉野の選手。敗戦後、まるで双子のような大宇陀のキャプテンと並んでニコニコしながら楽しかったと語る表情にはスタジオのキャスターとともにもらい泣きしそうになりました。
山辺高校は今大会いちばん印象に残ったチームとなりました。過疎化の進む奈良県東部にある高校の野球部総勢17人の初戦の相手は一条高校。奈良市中心部の公立校で部員数も多く、毎年そこそこは活躍するチームですから結果はコールドかと思っていましたが、あにはからんや山辺が先制、追いつかれるも終盤に勝ち越し。チラ見するだけだったワンセグから次第に目が離せなくなりました。驚いたのはベンチの明るさ。チェンジになるたび全力で走って帰ってくるナインを、部員たちはまるで勝ったかのように飛び跳ねて迎えていました。9回裏、一条に追いつかれてしまいましたが、それでもサヨナラを許さず、粘り強く守り続けた山辺ナイン。延長12回で力尽きてしまいましたが、守備中に試合が中断し、炎天下のグラウンドで10分近く待たされたダメージも影響していたのかもしれません。見ているこちらまで笑顔になってしまいそうになる元気なチームでした。
昨年まで超高校生級の立田を擁してもたどりつけなかった決勝戦の舞台に立った大和広陵。心なしか、主戦以外の投手力や守備力が向上しているように思うのは、立田効果で有力な中学生が入部するようになったからでしょうか。この戦力が立田在籍時に加わっていたら、と思わないでもありませんが、今後天理・智弁に続く奈良県第三の勢力として名を上げるのはこちらの高校かもしれません。
センバツ出場し、優勝校の敦賀気比に惜敗した奈良大附。天理を倒せるのはここかと思っていたのですが、課題の打撃を克服できなかったようで残念でした。
他にも大型選手を擁する関西中央、ラグビーだけでない御所実、伝統的に投手力の高い高田商などが目につきました。智弁は2年に実力者が多いそうなので、来年に期待です。
今年の奈良を制したのは、ベスト8に唯一残ったシード校の天理高校でした。
エースが大会前に負傷するというアクシデントもありましたが、プロ注目の船曳・坂口を中心とした強力打線、堅実な守備と多彩な投手陣であぶなげない試合を展開し、決勝も大和広陵相手に隙を見せない戦い方で圧勝。目標は甲子園出場、ではなく全国制覇と語るチームの本番は、これからです。優勝おめでとう。甲子園での快進撃を期待します。
他府県でも熱戦がくり広げられました。注目選手や強豪校が次々敗れる中、激戦区大阪を勝ち抜いたのは大阪偕星学園。
どこやねん…と思っていたら、此花学院でしたか。毎年予選ではそこそこ勝ち上がるものの、甲子園には縁遠い野球部だと思っていました。今年は大阪桐蔭と履正社が初戦で潰し合うという運もあったかもしれませんが、大会3連覇中の大阪桐蔭を破った実力は、ホンモノでしょう。
聞けば聞くほど、マンガチック。天理を数か月でやめた生徒がいたり、キャプテンは3度も脱走していたり、監督自身も逮捕歴があったり…ん? これってリアルROOKIES? 「まるでスクールウォーズ」と言っていた監督。デカイ身体を丸めて男泣きしていましたが、熱血先生とROOKIESが甲子園で躍動する姿を、早く見てみたいです。
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