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にしおかすみこがネタでやる前から、もちろん、犬神家のあの湖から突き出た二本足のことは知っていました。
映画を観たわけでもなく、原作を読んだわけでもなく、ましてやテレビドラマも観たことがないのに、なんで知っていたのだろう・・・。
が、日本人ならいつの間にか脳裏に刻み込まれている、日本ならではの映像というものがあるのです。犬神家もたぶん、そういうDNAを刺激する何かを持っているのでしょう。
うす汚い金田一と、わかってないのに「よーしわかった!」をくり返す等々力署長。はじめて観るのに、なんだか懐かしい感じがするのは、東野圭吾『名探偵の掟』の天下一大五郎と大河原番三のようだからでしょうか。ま、あの作品は、横溝正史をはじめとする本格派へのオマージュなわけですが。
舞台は昭和24年。那須の湖畔、犬神家の大きな屋敷で、権力を誇ったあるじが亡くなる場面から始まります。21世紀に撮影されたとは思えない、戦後間もない田舎の自然美が丁寧に再現されています。
残された莫大な遺産をめぐって次々に起きる猟奇殺人、容疑のかかる美女、謎の覆面・・・。
朱墨そのものの血も、いかにもツクリモノ的な死体も、大映がかった台詞まわしも、トリックや動機すらどうでもよくなる、この昭和的雰囲気に酔いしれます。
「どんな優れたリメイクでもオリジナルは超えられない」という定説は、おそらくこの映画にもあてはまるのでしょう。幼少期、オリジナルを観たツレは怖くて寝られなくなったそうですが、だからこそこのリメイクは「知っている俳優が出ている時点で不気味さがなくなるからアウト」らしいです。
しかし幸いなことに、私はオリジナルを知らない。だから充分に楽しめました。
オリジナルに続いて金田一を演じた石坂浩二。金田一はこの人しかいないと監督は主張していたそうですが、いっぱい走らされて体力的にきつかったのではないでしょうか。が、フケをまきちらすような小汚いオッサンはリアルでいやだなあ。
松嶋菜々子は、大柄すぎてあまり薄倖には見えませんでしたが、昭和の服装が古くさく見えないのは、やはり本当に整った美しさというのは時代を超えるのだと思います。いいキャスティングだったのではないでしょうか。
難しい役柄の佐清に、尾上菊之助はぴったりでしたね。歌舞伎役者らしい顔立ちが、いかにも昭和の映画という雰囲気を壊さないでくれました。母親役の富司純子とは本当に親子なのだそうですが、それを知っていたら、最後の場面はもっと泣けたかもしれません。
事件とは無関係の位置にいて金田一をなごませる女中役の深田恭子は、あの棒読みが逆に適任でしょう。他にも昭和的な顔立ちの俳優女優(ほめてます)ばかりで、観ている側としては現代に引き戻されずにすみました。
夜寝られないほどには怖くなかったけれど、確かにあれを知らないキャスティングで何の前知識もなく見せられたら、どうなっていたでしょう・・・。
評価:★★★☆☆