原作はいくえみ綾の少女漫画。未読です。
主人公は高校生の時に幼なじみの春田を事故で亡くしたカンナ。
一方、小学生の時に同級生と事故に遭い、自分だけ生き残ってしまった禄。
身近な人の死に対し罪悪感を抱きながら成長してきたふたりが出会い、ともにとらわれ続けた過去から脱却し、未来を見つめなおして歩きだす、そんな物語。
長澤まさみと岡田将生、なんとも美しくさわやかなツーショットです。カンナの高校時代のエピソードに登場するのも高良健吾、波瑠、中村蒼と、鞆の浦のおだやかな街並みにはまぶしい若手俳優ばかり。とはいえ、15歳の設定にはちょい無理があったかもしれません…。もしこの物語の過去編がカンナひとりに絞られていたならば、別の子役を使うことも可能であったかもしれませんが、禄の制服時代も尺を取っているので、本人に演じてもらうしかなかったのでしょう。
カンナと禄、同じような葛藤を抱くふたりが結ばれていく過程は自然でしたが、それぞれのエピソードを盛り込まなければならなかったために、かんじんのその葛藤が深く描かれておらず、禄の解決のきっかけ(睦美の声)も唐突な感がありました。
また、カンナと春田の友人であった朝美と真山のその後がまったく描かれなかった(社会人になった朝美は一瞬だけ再登場しましたが)のもちょっと疑問があったのですが、あとで調べてみると原作はオムニバス形式で、カンナ編や禄編の他に朝美編も真山編もあるようです。こちらを読んでみたほうが、カンナや禄の心の動きもあわせてじっくり雰囲気を味わえそうです。
禄編の事故で亡くなった同級生の姉・希実が印象に残りました。池脇千鶴の演技力もあるのでしょうが、妹の死を受け止めきれない家族の抱える重荷を自分でも気づかないうちに禄へ集約してしまう、矮小な人間の業と哀しみを感じました。
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