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毎年違ったプログラムでつねに新しい世界をリンクに描くフィギュア界。ベテランの奮起、爽やかな新風、変化し続ける勢力図。グランプリファイナルはソチへの期待をふくらませる道程でもあります。
この人はどこまで進化し続けるというのか、高橋大輔!
クラシックや映画音楽と違って、斜に構えたブルースは世界観や感情を表しにくい音楽と思っていました。それが彼の手にかかるとこんなダンディで色気たっぷりで何度でもくり返し観たくなるようなプログラムに。自分の色を出す、というのは簡単なようで難しい。これはジャンプやエッジワークなどのスケーティング技術にもまさるとも劣らない、難度の高いテクニックだと思います。高橋選手なら、銅鑼などの打楽器、いやいっそメトロノームのカチカチ音だけでも観衆を魅了してしまうのではないでしょうか。
テレビの前のおばはんをポーッとさせてしまう少年がまたひとり現れました。まだ17歳の羽生選手。高校生とは思えないしっかりしたインタビュー回答、なのに滑り終わった瞬間に垣間見えるあどけなさ。ドキドキするで! いやホンマ。と半ば本音の冗談はさておいて、日本男子フィギュアトップ3の高橋・織田・小塚各選手とはまた違った特徴を持ったスケーターが現れたことに、フィギュア界の未来はあかるいと感じます。
ケベックの観衆を総立ちにさせたふたりの日本人選手を置き去りにする点数を叩きだしたのが世界王者パトリック・チャン選手。そのうち5回転も跳んでしまうのではないかと思うぐらいにクルクルクルクル、と思えばスピードとダイナミックさがあだとなってフェンスにぶつかったり、つまりあれほどの技術をもってしてもまだ改良の余地ありということはどこまでその点数は伸びていくのでしょうか。バンクーバーで金メダルを取った女子選手もそうですが、「素晴らしい技術」が「いくばくかのミス」を帳消しにするくらいの「他を圧倒する高得点」を叩き出してしまうというのは、「今後の可能性」を帳消しにもしてしまう、両刃の剣だとも思うのですがね。
ソチ五輪の舞台でもあるロシアがついに本気を出した、というのが今年の女子フィギュア界。レオノワ、ソトニコワ、トゥクタミシェワ、驚異の3選手。とくにトゥクタミシェワ選手、素晴らしい技術にマダムのような色気と貫録、14歳ってホンマですか。と言いたくなっていたのですが、本番を観てやはり歳なりの至らなさは持っていたのかとちょっと安堵もしてしまいました。これから待ち受けているであろう体形変化をどう乗り越えるかが見ものです。村上佳奈子選手やキャロライン・ジャン選手はかなり苦労しているようですし。どうでもいいですが、あのワインレッドのパーカーにひとめぼれしました。欲しい!
若い選手の台頭もすさまじい一方、ベテランの安定感がものをいった大会であったと思います。昨年は少し躓いてしまった鈴木明子選手。持ち前の表現力に加えて新たなコンビネーションジャンプにも挑戦するといった向上心は尊敬に値します。安藤美姫選手が休養している今季、世界選手権の枠取りに向けてベテランの活躍は日本勢にとって大きな安心材料でもあります。完璧なFSを堪能してみたい。
さてもうひとりのベテラン、コストナー選手。あのスケール感、スピード感、そして衣装、誰の追随も許さない独自の世界が無彩色のリンクを鮮やかに彩りました。足の怪我もあっていつ引退してもおかしくない状況と聞いたこともあるのですが、心やさしいコストナーの演技を、いつまでも観ていたいとファンは思います。
悲しいできごともありました。
誰もがたどる道とはいえ、まだ経験していない身からは想像することさえおこがましく感じます。
己の置かれていた状況を黙して語らないことで誤解を招くこともあったであろうに、その若さで周囲を慮る理性を備えていたアスリートには、ひとまわりも下なのにただ尊敬の念を禁じえません。
再び競技生活に戻っても、どうかそれをあげつらうことなく、今までどおり、優勝候補としての扱い以上のことはしないでほしいと報道側には切に願います。
ファンとしては、純粋に彼女の卓越した滑走を楽しみたいだけなので。