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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『カレ、夫、男友達』

最後まで観てみれば、どうしてタイトルがこうなったのか、不可解です。原作は確かにドラマとしては使い難いタイトルですが、それにしてももう少し吸引力のあるネーミングでも良かったのではないかと。

三姉妹が好演でした。麻ちゃん治ちゃん育ちゃんと、それぞれキャラクターが明確でそれぞれ魅力的で、共感できるところもできないところもいかにも人間くさく、その父母も個性豊かで、いわゆる「フツウ」ではないのに手触りがはっきりしている感じが好きでした。

ユースケも最後には憑きものがはがれたかのように、あのマヨネーズぶっかけ事件の時のおどろおどろしさがなくなっていたのは、さすがの演技力です。もうバラエティでユースケを観ても怖がらずにすみそうです。記憶喪失は本当なのか、それとも邦一の愛の残滓だったのか、それは観る者に委ねられたようですが、麻ちゃんの長回しの号泣には胸が痛くなりました。

熊ちゃんはミスキャストですかねー。標準語にはやはりなじめませんでした。

 

『カーネーション』(途中)

「おもしろい!!!」

と、毎日夢中で観ています。

『ゲゲゲの女房』で朝ドラをひさしぶりに観て以来、ずっと録画し続けていますが、毎日再生が待ち遠しくなるのはゲゲゲの貧乏時代以来です。

泣けて、笑えて、感心して、15分があっという間。

『てっぱん』『おひさま』には連発した首をウームと傾げてしまう展開が、『カーネーション』には今のところひとつもありません。実在の人物のお話だからでしょうか。「今日のお米にもこと欠く隻腕の貧乏漫画家が四十すぎて超売れっ子になるなんて、そんな漫画みたいな話があるか!」というゲゲゲも水木しげる先生の話なんだよと言われれば純粋に楽しめたように、こちらも「なんの実績もない女の子の作った洋服が心斎橋百貨店の制服に採用だって? 二十歳そこそこの小娘が洋裁屋を切り盛り? できるわけないだろう!」とかなり初期段階でツッコんでしまうところですが、これまたすべて本当の話なのですから驚きです。

スピーディで飽きさせない脚本もさりながら、尾野真千子の熱演もすばらしい。『mother』の虐待母の面影はひとつもありません。パワフルで前向きで、それだけなら自分とはかけ離れたスーパーマンですが、時には落ち込みながらも無理をせず、人の手も借りつつ自分でも考えつつ状況を打開していくところが非常に人間味があって、共感できます。小林薫の父親役も見ごたえがありました。横暴で乱暴で、でも弱さもあって、しかも娘をちゃんと最良の方向へと導いて、憎めない大阪オヤジでした。酔ってろれつが回らない場面なんて、うちの父親そっくりだったな・・・。フニャフニャ千代さんも、『仁』の未亡人とはかけ離れた演技ですが、ボケのタイミングは絶妙です。そして圧倒的な存在感を示しているのがハル婆さん。なぜか思い出すのです、おばあちゃんを。全然似ていないのに。でもなぜかおばあちゃんが思い出されて、悲しくも心あたたかくなってしまうのです。誰の心にも住んでいる、どんな思い出の中のおばあちゃんの集大成が、ハルさんなのかもしれません。善作さんが死んだ時も悲しかったけれど、ハルさんがいなくなったらもっと淋しくなってしまいそうです。

年が明けたら戦争も終わりを告げ、いよいよ時代が糸子を必要としそうです。さらに実話によるとなかなかスキャンダラスな展開に・・・は、ならないか。朝だし。しかし相手が『mother』の虐待野郎とは・・・。

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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