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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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平々凡々な愚民である私は、話題の市民ランナー・川内さんの走りが気になって、日曜日普段なら絶対に観ることのない福岡国際マラソン中継を観ていました。

びっくりしたのが、元祖山の神・今井選手も出場していたことです。そういえばマラソン転向していたのを思い出しました。

箱根で活躍したランナーは、軒並み有名企業に入社して国際舞台を目指しますが、大成した例は少ないと聞きます。最近の大学は駅伝偏重になり、マラソンで走れる選手を育成できないのだとか。「箱根の弊害」とも言われます。箱根ファンとしては淋しい限りですが、やはり甲子園で活躍した高校球児が全員プロで一流になれないのと同じで、蓄積疲労や練習のベクトルの違いはいかんともしがたいのでしょうか。

 

日本人三人によるせめぎあいは見ごたえがありました。

川内さんの本番はあくまで東京マラソンであり福岡は調整目的だったようで、出遅れた時はそれもやむなしと観ていたのですが、牽制しあって前に出られない今井・前田両選手を追走し、コース取りの拙さも何のその、ゴール間近の場所でラストスパート。今井選手も追いすがるものの、最後は置いていかれてしまいました。

マラソンで世界の檜舞台を目指し、日々研鑽を積む実業団の選手。一方、日勤をこなしながら数少ない時間を利用し独力で走り続ける市民ランナー。前者は企業名と重圧を背負いレースに臨み、後者はただ己の力を試すだけ。今井選手と前田選手の専門ランナーらしいかけひきが結局川内さんのなりふり構わぬ絶走に敗れてしまいましたが、素人目線には結局はその差だったのかなとも映ります。

 

日本人は逆境に立ち向かう一途な人間が好きだから、川内さんの人気はドンドコ上がっていくでしょう。注目されればされるほど、オリンピックに出ることよりもたくさんのマラソンを走りたいと言っていた本人の気持ちがどう動いていくか、2月を楽しみに待ちたいと思います。

 

マラソンで日本が強さを見せていた時代を憶えています。いつの間にか表彰台はアフリカ勢に席巻され、日本人は入賞もままならぬようになってしまいました。オリンピックで金メダルを取った選手、そして今回優勝したケニアの選手も、日本の学校や企業で練習を積み実力を上げた選手です。このままでは、日本はアフリカ勢が金メダルを取るための恰好の練習場所(踏み台?)となってしまうような気も・・・。身体能力では到底かなわないものの、マラソンは走る側も観る側も、大和民族の特性に良く合った種目だと思います。ぜひ、お家芸復活を望みます。

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