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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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と、いうわけでいきなり外泊し、戻ってきた2日目。

 

麻酔医が手術前説明にやって来た。

今回の手術は全身麻酔で行うことになっていた。病院によっては部分麻酔で行うところもあるらしいが、私は無影灯に映った自分の開腹状況を眺めていられる菱沼さん(『動物のお医者さん』)のように神経が太くないので、痛みがないからといって長時間自分の鼻をガンガンやられることには耐えられそうにない。よって絶対に全身麻酔でお願いしようと決めていた(お願いするまでもなく最初から全身麻酔ですると言われたが)。

看護師をしている義妹曰く、「麻酔医はヘンな人が多い」そうである。言われてみれば『医龍』の阿部サダヲも一般的な医師像とは一線を画しているが、あれはリアリティのあるドラマという評判にたがわぬ設定だったらしい。よって、ヘンな人が来るのだろうと想像していた。

ところが、現われたのは、なかなかどうしてダンディな紳士であった。声もその外見にたがわぬ魅力的な低音ボイス。説明もそっちのけで「俳優の誰かに似ている・・・誰だっけ、思い出せない・・・」と悶々としていた。帰宅してからやっと細川俊之だと判明した。ちと言い過ぎか。

 

悶々としたまま『剣客商売』を早々に読み終え、『崖の館』(文庫)に移る。この勢いなら、館三部作を読破してしまいそうだ。

 

夕ごはんは18時。早っ。

噂どおり、白米の占める割合がやたら多い、殺風景なお皿。昨日帰る前に目にした食事メニューは栗ごはんにお月見団子までついていたので、「案外豪華やーん」と期待していたのだが、昨日だけだったようだ。ガックシ。

ふりかけは必須と聞いていたので、しっかりお徳用パックを準備していった。2種類使って完食。お茶碗の大きさは、学食で言えば絶対に手を伸ばすことはなかったLLサイズではなかろうか。もはやどんぶり飯である。寝る前には絶対お腹がすくに違いないとゼリーを買っておいたのに、食べることはまず不可能だろう。

・・・と思っていたのだがやはり食べてしまった。

 

消灯は21時半。おいおい、普段ならバリバリ活動時間だよ。そんな早く寝られるわけないよ。

・・・と思っていたのだが薬のおかげか22時半には意識を失っていた。 

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