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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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大晦日の夜は紅白歌合戦。

まあ、このご時世に男女分かれて、紅組! 白組! という雰囲気はどうかと思いますけど…。伝統は継続も改革も難しいものですな。

秋も深くなった頃にようやく『妖怪ウォッチ』なるものを知ったくらいの流行りにうとい人間なので、嵐と妖怪のコラボは年越しそばを作る時間となったのですが、『花子とアン』特別編は放送時たいして楽しめなかったドラマとはいえ、いざ全員集合したミニドラマからの吉高由里子の涙を見ると、思わずもらい泣きしてしまいました。白鳥さまの破壊力だな、うん。

現朝ドラの主題歌を歌う中島みゆきには胸が熱くなって泣けました。シャーロットの涙でさらに涙。撮影があったのかもしれないけれど、大晦日も母国に帰れず家族と過ごせなくて仕事なんだなあ。それがエリーの決意と相まってますます亀山夫妻が寄り添って聴き入っているような錯覚に陥って、さらには中島みゆきの圧巻の歌声と無限の世界観、刹那の夢の世界にいるかのようでした。

何を歌うのかな? ていうか本当に出場するのかな? とやきもきしていたサザンですが、出場承諾にこぎつけたNHKの苦労を思うと頭の下がる思いです。歌ってほしい歌ではなかったけれど、この曲選択にはサザンなりに届けたい思いがあったのでしょう。そういう歌が、センチメンタルになっている心には響きます。

いちばん楽しみにしていたのが、中森明菜でした。歌番組を家族で見ながら育った’80年代。意味もわからず「ラブイッザミステリ~♪」だの「ゲラッゲラッバーニンハーーー♪」だの歌っていました。例の騒動の時も事情はよくわからなかったけれど、私の永遠のアイドルは断然明菜ちゃんでした。
紹介後のか細い声に少し不安になったけれど、曲が流れると歌姫に変貌。昔を思い起こす髪型と赤いルージュ、そして艶のある歌声。最後には流し目。ああ、明菜ちゃんだあ、胸と瞼がぎゅっと熱くなりました。

大晦日の夜はゆく年くる年に思いを馳せる時間であるとともに、これまで積み重ねてきた幾たびの大晦日を回顧する時間であってもいいと思います。あらゆる人にも子ども時代、青春時代、そして今、音楽はいつも身近にあって記憶とともにあざやかによみがえるもの。年ごと増えていく思い出にしみじみとする時間が、一年でたった一日の数時間くらいあってもいいのではないでしょうか。

と思うようになってきたのは、トシになった証拠なのかな。
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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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