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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『聖なる怪物たち』

医療ドラマが好きなのと、キャストに惹かれてついつい観てしまいました。初回から迫力満点です。

岡田将生くんは、頼朝よりもよほどこっちのがハマっています。中谷美紀も司馬先生(『振り返れば奴がいる』)ばりの接近戦。怖いです。長谷川博己はすっかり売れっ子だなあ。加藤あいも苦悩のあまり人の道からはずれそうになる女性を好演していますし、代理母候補も鈴木杏という演技派を持ってきていることでこれからの展開に期待ができます。何よりもちょっとまだキャラの見えない小日向文世がどう動くかが気になります。

有名人がこの「代理母」なる方法で子どもを授かったことで、何年か前に話題となりましたが、代理母にしても卵子提供にしても、シロートの私ではその是非をたやすく判断することはできません。ただ自然の摂理に反する=生死を操るというならば、延命治療などすでに行われている行為もあるし、大切なのは、産むことよりも、産んだ後なのではないかなあという気もします。この世に生まれいでた命がもっとも大事な栄養源である愛を知ったか知らぬかのうちにその愛をあたうべき親によって奪われてしまう悲しいニュースが後を絶たないこの世の中ですので。

これも原作ありですが、最近はドラマオリジナルの佳作が少ないようです。

 

『開拓者たち』(最終回)

ちょうど『カーネーション』の展開も戦争が終わった直後。戦後といっても、いろいろな戦後があったのだなと思います。同じ日本でありながら、こんなにも状況は違うものかと。誰しもがその心に癒えない傷を負ったことは平等であると思いますが。

千振から幾人かの残留孤児が生まれたくだりについては『大地の子』と状況がかぶるため、盛英らも一心のような人生を送ったのかと思うと、さらに胸が痛む思いです。富枝も「文化大革命の時はつらい思いをした」とのひとことで語っていましたが、おそらくそれでひとつのドラマが作れてしまうほど、筆舌に尽くしがたい体験だったことでしょう。戦争が終わっても、それぞれの戦後で、それぞれの苦難は続いていたのだと、8月15日でひとつのカンマを打つ教科書では語られない、これも日本の歴史、私を構成する分子のひとつでした。

「生きてさえいれば、何とかなる」

澄んだ目で開拓の経験を語る人びと。苦痛も苦難も生も死も、すべてを乗り越えたからこそ、その言葉には説得力があります。告白には幾許かの勇気を要したかもしれません。その過去を分け与えてくれたことに敬意と感謝の念を捧げたいと思います。

真摯に開拓者たちを演じた俳優たち、そして丁寧に映像を作り上げたスタッフたちのおかげで、ドキュメンタリードラマと呼ぶにふさわしい見ごたえのある作品になったと思います。最後の老けメイクはデジタル化において少し無理があったかもしれませんが・・・。最近は人の一生を描く場合、回想記のようにしてあらかじめ高齢の役者を配することが多いですが、観ている側としてはどちらが良いのか、悩ましいところです。

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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