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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『毒笑小説』

「マニュアル警察」作者は公務員が嫌いなのだろうか・・・。

「栄光の証言」いかにもありそうな話。人間って愚かです。

「誘拐電話網」着眼点がおもしろいです。もしかしたら、どこかで本当に起きているかも。

 

『おれは非情勤』

なんと、小学生向けの雑誌に連載されていたそうです。

人気作家の作品が読めるなんて、今の子どもは贅沢ですね。

子ども向けとあって、動機もトリックもオチも他のものに較べるともちろん平易ですが、

主人公がクールガイなところはやはり東野作品。

しかし、いくらミステリでも小学生相手に不倫はないでしょ。

 

新潮文庫編。

『秘密』

いわずとしれた、東野圭吾をスターダムにのしあげた作品です。

意識が乗り移るという使い古されたネタを、まさか東野圭吾が扱うとは夢にも思いませんでした。

理系はそういう非現実的な設定を好まないと思っていたのですが。

途中、主人公が科学的見地から憑依を解説した本を読んでいたり、

母の意識を持った娘が自分の身体を研究するために医学部をめざすというあたりは、

そのへん拘っているのかもしれませんが。

でも主軸は、主人公と妻=娘の心の動きです。

もはや夫婦のほうに年齢が近いので、人生をやりなおしたいという気持ちはわかります。

そして二度とやりなおせない主人公の気持ちも、わかります。

若返ったら、私も勉強したいです。

「なんで勉強なんかせなあかんねん」とつっぱねてこんな大人になってしまいましたが、

学歴は大事ではないにしても、勉強は大事ですよ。

・・・と思いつつ、やはりダラダラ過ごしてしまうような気がしますが。

二度三度と読み返すにつれて、当初の嫌悪感がなくなっていったためか、

ラストの感じ方も変わるようになりました。

『歌姫』を彷彿とさせますね。ああいう選択も、アリなんだなあと。

でもやっぱり東野圭吾がこれで認められたというのは納得がイカン。

 

・・・つづく

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