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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『美しき凶器』

ある科学治療によって、すさまじい運動能力を持つことになった少女が、

彼女を育てた研究者を殺害した元スポーツ選手を追い、次々に殺害していくサスペンスです。

女の異常なまでの執念、被害者たちの罪と罰、暗い過去。

いろんな部分が、マジでコワイ。

現在も、ドーピングはスポーツ界の大きな問題となっています。

この話で語られる《方法》は、もちろん作者の創作なのでしょうけれども、

ある程度の科学的根拠に基づいているであろうだけに、非常におそろしいです。

こういう視点が好きです。

 

『怪しい人びと』

中期の短編集。どの作品も非常に出来がよいです。

『灯台にて』は、途中まで作者の実体験だという話をどこかで聞いたような気がしますが、

本当ならまさに「怪しい人」ですね。怖い怖い。

 

『ゲームの名は誘拐』

藤木直人&仲間由紀恵で映画化もされた作品です。

雰囲気は『仮面山荘殺人事件』に似ています。

ひょんなことから誘拐を企てるエリート青年と、じゃじゃ馬お嬢様。

ラストの二転三転は、目を瞠ってしまいます。

それにしても、作者は女性を描くのがよほど苦手と思われます。

ヒロインにまったく魅力がない!

主人公も初期に戻ったかのようなクールガイ。

話はすごくおもしろいですけど。

 

・・・つづく

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