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手に取ったきっかけは、野球少年が主人公だから、だったんですけども。
野球小説ではないですね。
青春小説でもない。
主要人物は、スポーツをしている少年たちなのに、
読後の爽やかさはまったくありません。
それどころか、なんだかやるせないです。
彼らの思い、それぞれに抱えるもどかしさは、ヒリヒリ痛い。
中学生の頃、とは、
子どもではなく、かといって大人でもない。
不器用にまっすぐでいられた時間はすでに失い、
といって他人とうまく合わせてやりすごしていけるほどの処世術はなく、
誰かに受け止めてほしいと願いながら、
それを伝えるすべを持たず、
相手を理解したいと思いながら、
距離を縮める言葉を持てず。
過去は記憶でゆがめられます。
その瞬間、瞬間は、容易く手もとをすり抜けて、
絶対だったはずのひとつひとつの思いも、
路傍の小石のように自分自身で蹴りつけてしまうのです。
部屋の掃除をしていて、
自分でもすっかり忘れ去っていた、
14歳の時書き散らしたノートを目にし、
我ながらハッとさせられたことがありました。
とるにたらないことばかり考えていた子どもだと思っていた。
でも、私は生きていた。
夢も熱意も幸せも絶望も怒りも憎しみも、
今と変わらないくらいの強さで、存在していた。
早く大人になりたいと思っていた。
自分の言葉を語っても、聞き棄てられずにすむから。
成長? 私は最初からここにいる。
ここにいて、ずっと叫び続けている。
私は私。誰にも変えることはできない。
かつて存在していた瞬間を切り取った、心に痛い物語です。