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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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『ショコラ』

予告編だけで、ものすごくチョコレートが食べたくなります。

本当においしそうなのです。

チョコレート自体は暗い色なのに、心が華やぎます。

もう、観る前から、ヴィアンヌの魔法にかかっているのかもしれません。

冬に鎖された狭い村に、母娘が甘い香りと解放の春を連れてやってくる。

メルヘンチックな展開に、大人のラブストーリーがチリペッパーのようにピリッときいていて、

ラストには身も心もあたたかくなりました。

主人公の女優は、大人の色気とかわいらしさを兼ね備える、

理想の女性像を嫌味なく演じていました。

あ、ジョニー・デップもかっこよかったです。

しかし、チョコレートを貪りたい欲求には勝てなかった・・・。

評価:★★★★(4.5)

 

『砂の器 デジタルリマスター2005』

私の両親が、おそらく最も尊敬している人物である、

松本清張の原作の存在は知っていましたが、読んだことはなく、

中居正広主演のドラマで観ただけです。

そのドラマ、骨太で、重厚で、最終回にはぼろぼろ泣いてしまいました。

世間では、「あんなの砂の器じゃない」という声があったことは知っています。

最大のテーマである差別の種類を根こそぎ変えてしまっているからです。

恥ずかしながら、かつてそのような事実があったことに関しては、無関心でした。

しかし、この映画を観て、差別されてきた方々の、

長年にわたる想像を絶する苦渋を、少し理解できたような気がします。

本浦千代吉役である加藤嘉の演技は、圧巻でした。

確かに、これを先に観ていたのなら、テレビドラマは観られなかったかもしれませんね。

ドラマの『宿命』も名曲だと思ったけれど、

この映画の『宿命』も、心を揺さぶられずにはいられない、名脇役です。

やはり、名作というものは、時を越えても色あせないものなのだと実感します。

ピアニスト役であるはずの加藤剛の指が、短かったのが若干気になりましたが。

評価:★★★★(4.8)

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