MENU | MENU | MENU | MENU | MENU | MENU |
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
『鬼が来た!』
第2次大戦末期の中国の村が舞台です。
ある青年の家に、突然何者かがやってきて、麻袋をふたつ置いていきます。
その中身は、なんと人間。日本兵と、通訳でした。
「殺せ!」と叫ぶその兵の処置をどうするかで、もめる村人たち。
序盤から中盤は、コメディタッチで進みます。
クライマックスには、一転して驚愕と恐怖と絶望が待っています。
ストレートなタイトルですが、
鬼とは、日本兵なのか? それとも、日本への恨みがある村人なのか?
それとも・・・。
私の義兄は、ある国家風に言えば「悪の枢軸国」のひとつである地域の出身です。
その国で突然戦争が起きました。
義兄の祖国は、どの報道によっても、悪玉になっていました。
私とその国に関係がなければ、私も純粋にそちらを悪と定義していたでしょう。
しかし義兄によれば、その国にはその国の正義が存在しているのです。
いったいなにが正しいのか、わからなくなりました。
思想、宗教、その他もろもろ、
国と国の、ひいては人と人の違いがある限り、この世から戦争はなくならないのだと、
虚無的な思いで銃弾の飛び交う映像を見過ごす日々でした。
違い、言い換えればアイデンティティ。
巨視的な見解は抜きにして、人間にとって守るべきものだと思っています。
大切なものを守り抜くために、人はたやすく鬼になれる。
戦闘機が飛ぶことのない空の下、
地雷の埋まらない舗装された道を歩き、
ぬるま湯の平和をついばむ私にも、
そんな日が訪れるかもしれません。
アイデンティティがまだ存在しているのならば。
この映画に描かれていることは、《語り継ぐべき歴史》ではありません。
国家、思想というボーダーラインをたやすく飛び越えた、
教科書へ置き去りにしてはならない、《あらゆる人間の真実》です。
制作国での発禁処分が残念でなりません。
キャストの演技も素晴らしかった。特に香川照之の熱演は、特筆すべきものがあります。
(難を言えば、セリフが聞き取りにくかった)
評価:★★★★★(4.8)
『クイズ・ショウ』
テレビでの捏造が問題視されています。
どんなメディアでも、娯楽に《やらせ》はつきもの。
とくにテレビは、動き、音、色彩、あらゆる五官に働きかけるうってつけの情報ツールです。
現代はそうとも言い切れなくなりましたが、やはり大半の人々はテレビで夢を買います。
この時代であれば、ほぼ100%ではないでしょうか。
夢は、しょせん人が生み出す作りもの。
いろいろ学んで大人になった今、人が関わるあらゆるものを、はなから信じることはできなくなりました。
だから捏造捏造と、ことさら声高に責めるのもどうかと感じています。
そういう自分も、なんだかむなしいですが。
経済の波に乗ろうとするスポンサー。
捏造をくり返して英雄になったチャールズ。
それを持ち上げたのも、またメディア。
情報を咀嚼することもなく受け容れる大衆。
その循環がある限り、夢は捏造され続けます。
今この瞬間も、きっと夢。
評価:★★★☆☆