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『ベロニカは死ぬことにした』
ピアノの試験に失敗し、図書館で働いていた女性・トワは自殺をはかります。
目を覚ましたところはある精神病院。そこでトワは余命十日と知らされます。
原作は外国小説らしいですが、その雰囲気は病院内にも表れています。
お伽話に出てくるような洋館、花咲く庭、不思議な住人たち。
精神病院ですから出てくる人たちは当然なんらかの病を抱えているのですが、
どうもこの病院のポリシーが伝わってきません。
シーンごとに描かれるさまざまな《思い》も、その場限りでぶつ切りの感があります。
しかもトワが最後の相手に選ぶ男性が、患者の中で唯一若くてイケメンというのも、
ミエミエですね。
この男性、設定は日本人なのですが演じているのは韓国人。
台詞を話す場面は二箇所だけなのですが、あまりにもたどたどしいので興ざめです。
最後まで黙っていたほうがよほど雰囲気がありましたよ。
トワの自己解放が、官能に行き着くのは否定しません。
種の保存は、食べることと同じく生き物の本能ですから。
命を生み出すための行為が導きだす肉体的感覚は、
精神的な部分で生死を行き交っているのだと思います。
だから死を思っていたトワが性を求め、
それによって生を実感するのも、ごく自然なこと。
でもそこはナイーブな材料なんだから、もっと丁寧に描いてほしかった。
「結局、肉欲かい?」って思ってしまう。
凛々しい風貌の割りに乳がでかい真木よう子はがんばっていたと思います。
だけど、いかんせん、脇がきつすぎます。
風吹ジュン、中島朋子、片桐はいり、荻野目慶子、市村正親・・・。
なかなか見られない豪華キャストのせいで、視点がくすみ、
中途半端な群像劇になってしまいました。
評価:★★★☆☆(2.8)
『トンマッコルへようこそ』
トンマッコルは、「子どものように純粋な村」という意味の村の名前。
朝鮮戦争のさなか、偶然にも連合軍・韓国軍・朝鮮軍の兵士たちがここに集まります。
当然ながら、最初は夜を徹してまでも銃を向け合って対峙していた兵士たち。
ところがこの村、たらふく食べさせることが統率の秘訣という村長をはじめとして、皆鷹揚。
武器を見たこともない村人たちは、目の前の諍いよりも、猪に荒らされた畑が大事。
兵士たちは次第に毒気を抜かれ、
暴発した手榴弾のせいで食糧をふいにしてしまったため、
収穫期が終わるまで、村で暮らすことになります。
なおも頑なに反発しあう南北の兵士たちも、
さまざまな出来事をきっかけに、心を通わせていきます。
人と人が、見えない心の壁を溶かし、絆を深めていくその過程が、
笑いを交えながら、あたたかい目線で描かれます。
その表層が一転するのは、後半。
突如として、戦時下という現実が、この桃源郷にもやってきます。
村の平和を守るため、兵士たちがとった行動は・・・。
この映画、まず音楽に魅了されます。
ジブリ映画も手がけている久石譲が担当しています。
自然そのものの映像も、本当にきれいです。
手榴弾が納屋をふっとばした時、
トウモロコシがポップコーンになって村に降りそそぐ場面は秀逸でした。
南軍のシン・ハギュン、北軍のチョン・ジェヨンは、
戦争によって負った傷を秘めた男を、それぞれ魅力的に演じていました。
北軍の少年兵が恋をする、ちょっと不思議な村の少女、ヨイル。
カン・ヘジョンは、『オールド・ボーイ』でヒロインを演じていた女優さんですが、
それとはまったく違う表情を見せていて、かわいらしかったです。
問題はラスト。
韓国映画は多くを観てはいませんが、たぶん、こういう創り方が主流なのでしょうね。
戦争とは、戦いによって善悪を決するものではなく、
そのものが悪なのだと、
そういう訴えが欲しいと思うのは、
お国柄の違いなのでしょうか。
評価:★★★★☆(3.5)