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『サマリア』
「韓国映画界の異端児」と呼ばれる、キム・ギドク監督の作品です。
主人公は、父親とふたり暮らしをしているヨジン。
親友のチェヨンは、ヨジンとの欧州旅行の費用を稼ぐため援助交際をしています。
そんな友人に反発しながらも、お金の管理や見張りをするヨジン。
援助交際というと、どこか退廃的ですが、チェヨンにそんな雰囲気は微塵もありません。
チェヨンはいつも聖母のような微笑を浮かべています。
知らない男と寝ることにも抵抗を抱いていません。
それどころか、相手に対して本気で愛情を抱いているようにも見えます。
実際、死に瀕したチェヨンが「最後にひと目会いたい」と言った男も、そのうちのひとりでした。
泣きながら来てくれと訴えるヨジンを、仕事が忙しいと拒否するような男です。
それどころか、代償としてヨジンの処女を奪っていくような最低男です。
救いがありません。
それなのに、最後までチェヨンは微笑んでいます。
そんな親友の「ため」に、相手の男をひとりひとり訪ねてお金を返していくヨジン。
あまつさえ、無償で自分の身体も与えます。
もちろん、ヨジンが性欲に目覚めたわけではありません。
ヨジンは、亡き友になりたかったのでしょうか。
ふたりはいつも手をつなぎ、抱擁し、口づけも交わします。
同性愛と位置づける見方もありますが、それは違うと思います。
私もよく同性の友人と手をつないだり腕を組んだりしていました(さすがにキスはないけど)。
「ソフトレズ」などという言葉がニュースになったのには驚きでしたが、
あの頃はとくに深い意味も持たず、親しみの表現としてお互いスキンシップを交わしていたのです。
男性を知らないヨジンにとって、チェヨンはもっとも愛すべき他人ですが、
家族構成も、連絡先も知りません。
なぜ知らない男と寝るのかも、どうして最後まで笑っていられたのかも。
誰かを理解したいと切実に思う時、相手と同じことをしてみようとする、
あまりにも無知で幼く、そして残酷な選択です。
ヨジンの悲しい行動は、やがて父・ヨンギに知れることとなります。
娘への愛情は、そのまま男たちへの憎悪へと変わり、
復讐鬼と化したヨンギはやがて殺人を犯します。
人を殺めたその手でお弁当を作り、ヨンギは娘とともに亡き妻の墓参りへと出かけます。
毎朝学校に向かう間、父と娘で語らっていた車内は静まり返っていて、
その道中、台詞はほとんどありません。
山あいの美しい大自然、父と娘の悲しみにふちどられた表情、
夕暮れと朝靄のブルーに染められた映像が、悲しみのラストへといざないます。
『サマリア』というタイトルは、監督がクリスチャンということもあって、聖書からとられているそうです。
確かにこの映画には、どこか宗教的なものを感じます。
登場人物ひとりひとりの抱える原罪、そして贖罪。
言葉による説明ではなく、もっと人間の本質的な場所で受け止めなければいけない映画だと感じました。
主役の女子高生ふたり、そして父親役の俳優、
すばらしい演技でした。
評価:★★★★☆
『DEATH NOTE デスノート the last name』
デスノートの後編です。
全編で、原作の半分どころか三分の一も進んでいなかったので、
いったいどうやって決着つけるんだろうと思っていたら、
案外アッサリと、やや強引にまとめていました。
まあ、原作はLが死んだあたりから、本当にワケがわからなくなりましたから・・・。
さてそのLですが、松山ケンイチは、やっぱりいい。
お菓子を食べているシーンばかりで、胃腸は大丈夫だったのでしょうか。
夜神月はパンチはきいていませんが、説得力がありましたね。
戸田恵梨香はかわいいけど、ミサには見えません。少し細すぎ。びっくりした。
高田清美は原作のいろんな人物を重ね合わせたスタンスで登場しましたが、
演じていた片瀬那奈は、案外良かったです。割と好きな女優さんです(容姿が)。
でも、父親に殺される息子という展開は、やはり悲しすぎます。
原作のように息子に殺される父親という設定もあんまりだったけど、
夜神総一郎の今後の苦悩、一生背負っていかなければならない秘密を考えると、
少しかわいそう。
だから、正直納得のいくラストではなかったですね。
それにしても、こういう大型企画の映画を作るのが得意な某キー局なら、
これでもかとばかり豪華キャストをずらりと並べるものですが、
これは主要人物以外は無名の俳優ばかりです。
それも上手ならいいのですが、いまいち・・・。
月とLとミサと総一郎以外はどうでもいいというわけではありませんからね。
それなりに脇も見ごたえある(ネームバリューという意味だけではなく)ようにしてほしかったです。
あ、ワタリがおひょいさんなのは笑えました。そのまんまやん。
評価:★★☆☆☆