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おのづから言はぬを慕ふ人やあるとやすらふほどに年の暮れぬる(西行)
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(つづき)

部屋の備え付けのポットに水を入れようとしていたツレが突然、

「○*★%※θ~~~!!」と叫んで走ってきたのです。

そう、出たのです。

アレが。

ふたり揃って大嫌いなアレが。

家に現れたら即引っ越しと決めているアレが。

宿の人が来るまでの時間が、どれだけ長く感じたか。

殺虫剤で退治してもらいましたが、もう寝るのも怖いし、

さっきまで続きの間でごはんを食べていた自分たちもおぞましいし、

ストレスを発散するはずの旅行で、

まさかこんなにストレスを抱えることになろうとは夢にも思いませんでした。

 

ひとついやなことがあると、なにもかもいやに見えるもので、

温泉に行くと、お風呂場に特産のシャンプーや石鹸や化粧水があるものですが、

とくに三朝はたくさん置いてあり、いろんな種類を試しては喜んでいました。

ところが今回はビジネスホテルと変わらない業務用のものしか置いておらず、

髪がきしきしになってしまいました。

あと、歯ブラシセットにはちょうど話題になった有害物質入りの歯磨き粉が入っていて、

夕方のニュースで観ていたので使わずに済んだものの、

使っていたらさらにブルーになったことでしょう(翌朝ちゃんと交換に来ました)。

 

温泉は結局夜遅く入って、いろいろな露天風呂をひとりじめして楽しみましたが、

朝に入り直す気力はありませんでした。

 

チェックアウトの際、フロントの若い兄ちゃんにお詫びを言われましたが、

もう少し誠意ある謝罪をしてくれてもいいと思うんですがね。

そりゃあ100%宿のせいではないし、我々が極度のアレ嫌いというのもありますが。

一般的にはどうなんでしょう。さほど問題にしないものなんでしょうか・・・?

高級ホテルではないですが、いちおう観光地の大きな宿ですよ。

じゃ○んなどでも評判がよかったからここに決めたのに、本当にガッカリでした。

 

気を取り直して、今回のメイーンエベントへ。

 

4月にオープンしたばかりの《坂の上の雲ミュージアム》です。

明治期の文化や歴史的背景が、主要人物3人の人生とともに紹介されています。

展示品のほとんどが複製なのと、ハコの大きさの割に中身が薄いのが残念でしたが、

壁一面に貼られた連載時の新聞小説と、映像になって流れるあとがきには感動しました。

 

つくづく運命とは不思議なものだと感じます。

明治という日本史上最大の転換点の中心にいた秋山兄弟と正岡子規が、

同じ松山で生まれ育っているのですから。

また、世界の流れが変わっていれば、秋山兄弟の名が残ることもなかったのですから。

 

以前、秋山真之をドラマでモックンが演じるのは合っていないと書きましたが、訂正します!

真之の若い頃の写真をはじめて見ましたが、モックンにそっくりでした。

意外に二枚目だったんですね。

逆に小説のイメージではぴたりだった好古と阿部寛が、まったく似ていませんでした。

ちなみに正岡子規と香川照之は瓜ふたつです。考えていますね、NHKも。

完成がますます楽しみになりました。

 

ミュージアムを出ると、真っ青な夏空が広がっていました。

百年前から同じ空です。

坂の上の雲に、松山の若かりし彼らはどんな未来を思い描いていたのでしょう。

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ヤスオーと古都の片隅で暮らしています。プロ野球と連ドラ視聴の日々さまざま。
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